新潟県知事が、東京電力の再稼動申請を条件付で容認しました。この決定にはベント使用には新潟県の許可が必要となっています。新潟県知事は東京電力に対して、様々な指摘と安全性に関する要求を行ってきました。立地自治体の県知事としては異例の抵抗をしてきたというのが事態ではないかと思います。しかし、自民党政権からの政治的圧力、東京電力の融資不可能、経営破たん(現実には破綻しているが)の要因を作ったと濡れ衣を着せられる可能性などがあり、申請自体は容認したというのが真相のようです。過去において新潟県知事は稼動反対を貫く「死ぬ」かも知れないともらしていたそうです。真相は闇の中です。
東京電力は実質的に経営破たんをしています。事故対策費用、地元住民の保証金、汚染水対策など、資金が回らずに税金が東京電力に投下されています。その金額は兆円単位に上っています。それ以外に大手金融機関からの融資を受けているわけです。借り換えを含めて融資が受けられなくなれば、表面上は、倒産ということになりかねないーーそう脅しながらの交渉、政治的な圧力であったのだと思います。
東京電力は資金面ですでに破綻した状態です。東京電力を整理し、破たん処理をすべきです。その上で原子力発電所を廃炉にする。その廃炉費用は東京電力の資産売却、株式、融資している金融機関、利益を享受してきた重電メーカー、ゼネコンが負担する。それでも足りない分(必ずそうなると思いますが)は税金を投入しても対応する。これしか、道はないと思います。
安倍、自民党政権は東京電力経営の維持、原子力発電所にこだわることで東京電力の生き残りを図ろうとしています。そのために、原子力発電所、特に、新潟の柏崎刈羽原子力発電所を稼動させることを最優先させているのではないかと思います。新潟県知事に対する政治的な圧力、威圧はそのようなことが要因になっています。
そもそも原発は安全だといってきたのは自民党政権であり、東京電力です。ところが、地震(福島第一、柏崎刈羽ともに)、津波(福島第一)、火災(柏崎刈羽)で幾度となく危機管理が出来きませんでした。今度は、事故を起こすことを想定してベントを装置として用意するから申請をさせて欲しい。これが今回のやり取りの内容です。ベントで数百ミリの放射性物質が周辺に降り注ぐことが東京電力の試算であきらかになりました。
どうして、関東の電力供給のために、新潟県民、柏崎刈羽住民、周辺自治体、福島県民、東北の住民が放射能で被爆しなければならないのでしょうか。東京電力の融資のために、なぜ、犠牲を強いられなければならないのでしょうか。どうしても必要ならば、東京都(株主)はなぜ、融資実行に貢献しないのでしょうか。オリンピック招致には安倍、知事、都議会議員が動きましたが、なぜ、東京電力の融資のために資金を負担しないのでしょうか。東京電力は必要ないのであれば、破たん処理すればよいのですが。その判断もせずに放置することが理解できません。
<東京電力柏崎刈羽原発の排気装置>
東京電力の広瀬直己社長は25日、柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市、刈羽村)で設置を計画中の「フィルター付きベント(排気)装置」を使用した場合、原発の敷地境界で住民に数百ミリシーベルトの被ばくが生じ得るとの試算結果を明らかにした。この日会談した泉田裕彦・新潟県知事の指摘などを受けて答えた。
健康に影響が生じ得る被ばく量で、今後、同原発と同じくフィルター付きベント装置の設置を計画している全国の沸騰水型原発で住民の避難計画作成の重要性が高まりそうだ。
知事は会談で「県の試算では『甲状腺等価線量』で260ミリシーベルトだ」と指摘。これに対し広瀬社長は県の結果を認めながらも「敷地境界にじっとしていた場合の数字で例外的」と主張。会談後に「数字はいくつかあるが(甲状腺等価線量でなく全身線量で)数百ミリシーベルト」とした。
一方、知事は会談で「中越沖地震の際は渋滞で車が進まなかった。じっとしているのは例外ではない。ベントの前に避難できるのか」と懸念を示した。
<記事>
東京電力は26日、柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)6、7号機の再稼働に向けた安全審査を27日午前に原子力規制委員会に申請すると発表した。新潟県の泉田裕彦知事が26日に審査申請を条件付きで承認し、東電に伝えた。東電は来春の稼働を目指す。東電の経営再建の前提だった柏崎刈羽原発の再稼働に向けた手続きが前進する。
東電の増田祐治常務執行役が26日午後に新潟県庁を訪れ、県の山田治之防災局長から条件付き承認の文書を受け取った。過酷事故時に放射性物質を大幅に減らして原子炉の格納容器内の気体を外に逃がすフィルター付きベント(排気)装置の使用には、県の事前了解を条件とした。
泉田知事は26日夜、今後の東電との協議について「住民の被曝(ひばく)を避けられるかどうかが焦点だ」と指摘した。「ベントを使うと健康に危険が及ぶことを(東電側と)確認した」と語った上で、排気装置を極力使わないことを前提とする「条件付き承認」と説明した。東電が提示した追加の排気装置は「県の主張に沿ったもので進展した」と評価した。
東電の広瀬直己社長は26日夜、事故時の避難態勢や排気装置の運営を巡って地元の自治体との十分な協議が必要と強調。知事の了解を受け「(再稼働に向けた)ひとつのステップだと思う」と語った。
再稼働の時期を左右する規制委の審査は少なくとも半年程度かかるとされる。対策不足や書類の不備が指摘され、長引く可能性もある。通過後には県知事の同意を得るハードルが待ち構える。
東電は当初、2013年度内の再稼働を目指していた。規制委の審査を踏まえ、14年4月以降にずれこむとの見方が強まっている。東電は昨年5月に政府とまとめた総合特別事業計画で、13年度に経常損益を黒字転換させることを明記。3期連続の経常赤字となれば、金融機関からの融資を打ち切られる懸念がある。東電はコスト削減の上積みや来年度以降に修繕を繰り延べるなどして利益を捻出し、黒字化への努力を続ける。
東電は10月末に800億円弱の借り換え、12月には3000億円の新規借り入れが控える。柏崎刈羽原発の再稼働に道筋をつけたことで、金融機関の理解も得やすくなると期待している。
規制委には早期の審査を求める原発が列をなしており、柏崎刈羽の扱いは不透明だ。すでに関西電力や九州電力など4電力会社が合計6原発12基の安全審査を申請済み。中部電力も25日に浜岡原発(静岡県)4号機について今年度内に申請する方針を発表した。
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