毎月、自信を持っておすすめできる劇場鑑賞作品をご紹介しています。
2023年7月は、豊作でした!
鑑賞した作品の半分ほどがおすすめしたい作品でした。
5本ご紹介します。
◎デヴィッド・バーナード監督『エリック・クラプトン アクロス24ナイツ』(イギリス)
余計なインタビューがなく、純粋に演奏が楽しめます。
特別ファンではないけれど、それでも楽しかったです。
◎パオロ・タヴィアーニ『遺灰は語る』(イタリア)
計算し尽くされたモノクロの構図で芸術作品のよう。
風景、建物、インテリア、ファッション、どこを切り取っても絵になります。
カラーになって以降のシーンも、色合いがとても美しいです。
◎ルーカス・ドン監督『CLOSE/クロース』(ベルギー/オランダ/フランス)
ザ・思春期。
ちょうどその年頃の少年が思春期を表現するのはとても難しそうですが、見事に演じていました。
ふたりとも天才子役。
何か最悪なことがあったとき、視界がぐわんぐわんに揺れてキーンという耳鳴りにかき消されてまわりの音が聞こえなくなることがありますが、それが完璧に再現されていました。
悲しくて繊細なストーリーです。
◎熊切和嘉監督『658km、陽子の旅』(日本)
主人公の陽子が完全に憑依した菊地凛子の演技は鬼気迫るほどです。
旅の途中で出会う人々も味がありました。
今の時代に女性がひとりで生きていくことの現実が、陽子の旅にそのまま投影されていました。
現実は、厳しくも温かくもあります。
ジム・オルークの幻想的で浮遊感のある音楽も良かったです。
◎オレシア・モルグレッツ=イサイェンコ監督『キャロル・オブ・ザ・ベル 家族の絆を奏でる詩(うた)』(ウクライナ/ポーランド)
第二次世界大戦開戦直前のポーランドから物語は始まります。
ユダヤ人、ポーランド人、ウクライナ人の3家族を通して戦争の理不尽さや悲しさ、その先にある希望を描いた作品です。
無難にまとめてくるかと思いきや、状況が次々に変化するので最後まで飽きずに観られました。
わりと観る人を選ばないと思うので、たくさんの人に観ていただきたいです。