第一回は、総勢16人の卒業生が集結した。最初、5,6人くらいかなぁ~と思っていたのだが、予想以上に集まってくれて、かなりビックリだった&嬉しかった。集まった卒業生も非常に様々。保育園、幼稚園、学童保育、乳児院、大学進学などなど、バリエーションはかなり豊富だった。キャストに不十分さは感じられない。さて、どんな会になることか。まあ、やっていくうちにカラーも出てくることだろう(他力本願?!)。僕としては、マニアな会になればそれでOKかな、と思っているが・・・
今回、行った実践検討は以下の三つ。
①現保育士(保育園勤務:二年目)の実践記録の検討
②某幼稚園のオペレッタの最先端を観る(ビデオ観賞)
③現保育士(こども園:一年目)の実践報告(口頭発表)
この三つの実践検討だけで、3時間半。中身の濃い検討会となった。
①は、今年、私立から公立に移動した保育士先生(二年目)の一年目の実践記録を読む、というものだった。「ぎゃー」と発する1歳児の「奇声」に対してどう取り組むか、という内容だった。テーマ的には、一歳児の集団活動の可能性(奇声から遊びへと向かわせる)をさぐる、というものだったが、日曜日の会では、さらにつっこんだ議論が展開された。報告者のSさんは、「奇声」をあげる一歳児に対して、ことばによる指導を行っていた。だが、Sさんは、それでは「奇声」をやめない、ということに気づき、限界を感じ始める。あるとき、ふと思い立って、「オオカミが来るぞ~」と言って、1歳児に迫っていった。そうしたら、ただ単に奇声をあげていた子どもたちは、オオカミを怖がって、押入れの中に隠れ始める。もちろん、奇声をあげることを忘れ、必死に、オオカミさんに食べられないように!と息を潜めた。そんな内容の報告だった。
この発表に対して、最初、①走り回ることを禁止している園ではどうやって対応したらよいか、②子どもに対する説明による奇声の抑制はどこまで可能か、という質問が出た。だが、これは場当たり的な問いなので、議論の発展は乏しい(どうしたらいい、とか、こうしたらいいというHow to的な質問は役に立ちそうで実はあまり参考にならない!)。そこで、③こどもはなぜ人間の言葉による働きかけには応じないが、オオカミによる働きかけには敏感に応じるのか?、という問いを投げかけた。「子どもの意味世界」に目を向けようと思った。奇声をあげるだけの一歳児であっても、「オオカミ」を恐れて、押入れで息を潜めて見つからないようにすることはできるのである。「オオカミ」(総じて「動物・生物」)に、いかなる力があるのか、そういう議論へとシフトしていった。特に、子どもにとって動物や昆虫は人間以上に身近な存在で、親しい間柄なのである。アリに過剰に反応を示す子どもは多くいる、という意見も出された。
②では、或る意味、実践を極めた幼稚園のオペレッタ実践の映像をみんなで観た。4歳児による20分以上のオペレッタ。とても見よう見まねで真似できるようなものじゃない。この映像について、参加者からは、「すごい」、「ビックリ」、「或る意味、気味悪い」、「真似できない」、「どうやったらこんなことできるのか」、「これを嫌がる子どもにどう対応したのか」、「自分が親だったらきっと泣いてしまう」、といった意見が出された。参加者たちは、少なからず、良くも悪くも強く反応していた。こういう極端に極めた保育を見ることも悪いことではないだろう。(この真似をするかどうかは別として、どのような表現活動を創造していくのか。これは初等教育・保育の大きな課題であろう)
③は、まさに新しく保育の世界に飛び立った新米保育士Oさんの実践報告となった。「私の園は、今年開園されたばかりの新しい園。そして、新しい子どもたちが園にやってくる。最初の一日目は、親がそばにいたので、泣いたりぐずったりはしなかった。でも、次の日(二日目)、朝親が子どもを園に連れてきて、親が帰ろうとすると、ものすごい勢いで泣き始める。抱っこしても、おもちゃをみせても全然だめ。三日目も四日目もダメ。何をしても泣いてしまう。けれど、一週間が経ち、二週目になると、少し泣き方が変わってくる。抱っこをすると泣き止む。笑うこともできるようになる。おもちゃを見せると、それに関心を示す。二週目の最後になると、園ではおとなしい子が、お母さんを見るなり泣き出す場面も出てくる。今後、その子らにとって園がどのような場所なのか、観ていきたい」、そんな話をしてくれた。今後、Oさんの園児への見方がどのように変わっていくのか、連載っぽく報告してくれることとなりそうだ。
さて、【第三日曜日の会】、どうなることか。僕も迷い迷いに舵取りをしていきたいと思う。「分かっていることが分からなくなる」、「当たり前のことを問い直してみる」、そういう体験を引き出す場にしたいと思う。中には、わざわざ東北から来てくれた卒業生もいた。一年ぶりくらいに再会した卒業生もいた。みんな、学生時代とは違い、それぞれ自分の職場で、一人、孤独に仕事に励んでいる。でも、一人じゃ、やっぱり心細いし、自分のやっていることがどうなのか見えにくくなる。是非この会を利用して、自分の実践を不断に問い直していってもらいたい。
*来月も、第三日曜日(PM13:00~)に行います。コアな卒業生・在校生・関係者のみなさんは是非来てみてくださいませ♪
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