Dr.keiの研究室2-Contemplation of the B.L.U.E-

少子化対策のためにも大学の学費を勤務年数で引き下げよ!

少子化が止まらない。

加速度的に止まらない。

どうしたらいいか。

今日のテレビ番組『日曜報道THEPRIME』で、高市早苗氏は(大意として)「結婚した夫婦に給付金を!」と言った。

対して、小川氏は「大学の学費の無料化」を訴えた。

小川氏の方が、実際に効果的だと思ったが、それだけでは不十分だとも思った。

小川氏の視点を踏まえつつ、自分なりのアイデアを綴ってみたい。

実際に色んな人に話を聴くと、

「大学に行かせるお金がないから」

「進学にかかる費用が出せないから」

という理由で、子どもをあきらめたり、断念したり、中絶したりする人が多い。

内閣府の少子化の原因分析はこちら

「最初に、少子化の原因である「未婚化の進展」、「晩婚化の進展」及び「夫婦の出生力の低下」について言及する。続いて、これらの背景にあるものとして、「仕事と子育てを両立できる環境整備の遅れや高学歴化」、「結婚・出産に対する価値観の変化」、「子育てに対する負担感の増大」及び「経済的不安定の増大等」を取り上げる」

ここにある「子育てに対する負担感の増大」及び「経済的不安定の増大等」の中に「教育にかかる負担」が潜んでいるように思う。

また、今の日本だと、「大学を出ていないと就職がない」という神話が強く、また実際にも、大学を出ていないと、職業選択の幅が狭まり、厳しい生活が待っている。そうなると、大人たちも「子ども」を躊躇うのも無理はない。

大学に行けと言うのは簡単だが、大学の学費を支払うのはとんでもなく大変だ。(小中高よりも、はるかにはるかにお金がかかるのだ!)

とはいえ、、、

実際の大学の現場を見ていると、「学問への高い理想と尊い志」をもつ学生が増えているわけではない。むしろ、何の追及心も探求心もなく、ただただ「大学卒業」の学位が欲しいだけで、我慢して4年間、無駄に過ごしている学生が増えているだけ、と思わざるを得ない。

行かせる親としても、自分の子どもが「毎年100万円分の深い学び(実利を超えた人間の叡智に触れる喜び=学び)」をしているとは思っていないだろう。

大学も大学で、一部の難関校をのぞいて、どこも「サービス業」になり果てている。あるいは「エンターテイメントパーク」に成り下がっている。あるいは、「就職予備校」に変わってしまっている。

そんな大学にかかる費用は、ざっくり年間100万円。4年間で400万円。その多くが学生たちの未来の借金となる奨学金で賄われる。その他、食費や生活費(交通費、交際費、日々の生活にかかる諸々の経費)などで100万かかるとしたら、800万円。

子どもが3人いたら、800万×3で2400万円。

今の日本では、どれだけ頑張っても、一部の成功者をのぞいたら、給与など上がるわけもなく、経済的に厳しい家庭がほとんどだ。2400万円をさっと出せる家庭なんて、ほぼほぼない。

とはいえ、大学の学費を無償化することも、今の日本の財政を考えたら、非現実的だ。大学の数を減らして、大学生を減らして、専門学校等を充実させる道もあるが、それも現実的には難しい。企業側がもっと「高卒」を積極的に採用してくれるのを期待したいが、それも現実的じゃない。

じゃ、どういう政策が有効か。

その一つの案を書いておきたい。

***

それは、ずばり、

勤務年数による大学の学費の引き下げ

だ。

単純に大学の学費(一年目)を100万として考えてみたい。

18歳で大学に進学した場合(0年勤務)、一年目の学費は100万となる。

19歳で大学に進学した場合(1年勤務)、一年目の学費は90万に引き下がる。

20歳で大学に進学した場合(2年勤務)、一年目の学費は80万に引き下がる。

21歳で大学に進学した場合(3年勤務)、一年目の学費は70万に引き下がる。

22歳で大学に進学した場合(4年勤務)、一年目の学費は60万に引き下がる。

23歳で大学に進学した場合(5年勤務)、一年目の学費は50万に引き下がる。

(この23歳が世界の大学一年生の平均年齢)

24歳で大学に進学した場合(6年勤務)、一年目の学費は40万に引き下がる。

25歳で大学に進学した場合(7年勤務)、一年目の学費は30万に引き下がる。

(7年勤務以降は、一律一年目の学費は20万円)

20万円であれば、4年通っても80万円なので、世界的にもぐっと安くなる。それに既に7年間働いているので、その何倍もの貯金もできているはずである。

この政策のメリットは、

①お金がなくても、いつかは誰でも気軽に大学に通うことができる(という安心感がある)。

②裕福な家庭で育ち、勉強のできる子は1年目から大学に通い、存分に勉強することは容易にできるし、競争相手が減る分、その子たちのゆとりや(無駄じゃない)無駄な遊びの時間も増える。

③経済的に厳しいけれど、「大学卒」が欲しい人は数年働いてお金を貯めて大学に行くことができる。

④社会経験がなく学問意欲のない若者たちに「社会経験」をさせることができ、その社会経験から「学ぶことの大切さ」を実感して、その後で大学に行くという道が拓ける。年齢も上がる分、その学びも18歳で進学するよりは深いものになる。社会人経験故に、高校生気分で講義中に無駄話をすることも減るだろう。

⑤厳しい国の財政状況の中、学費の無償化ほどのダメージはない。奨学金を借りる人も減るはずなので、その奨学金を本当に必要な学生(の家庭)に配ることができるようになる。

⑥若い時の数年だけの「雇用」を創出することで、企業側にもメリットが出てくる。任期付きの正規雇用も増やすことができる。高齢者施設等で働いてもらえれば、人材不足も少しは軽減される。

⑦数年働くことで若者たちに貯蓄が生まれる。その貯蓄で大学費用を賄えるようになれば、親の負担は軽減される。子どもを3人、4人作っても、みんなを(18歳では無理でも)大学に行かせることが可能となる。

⑧大学生の年齢が多様化されて、より複雑で多様な議論や関係性を築くことができるようになる。僕がかつて留学したコンスタンツ大学では、僕は2浪と同じ年齢になっていたが、僕より年下はほぼ皆無だった(実際、一人もいなかった)。だから、子どもじみた学生はほぼほぼいなかった。

まさに「いいこと尽くめ」ではないだろうか!?

僕の教育的使命の一つに「18歳総進学主義を壊す」というのがある。

18歳で大学にいく必要性も必然性もないのに、この国では何者かに取り憑かれたかのように18歳で大学に行かせようとしている。その18歳総進学主義は、本当に強く固定化されていて、どこからどう叩いても壊れようがない。

他方で、全く学問をせず、学問に触れず、学問的探求をせず、一度も研究室を訪れることもしないで、(無駄に?)毎年100万円を納めて(捨てて)いる学生がごまんといる。彼らの目的は「大卒」だから、そうなるのも仕方ない。そういう学生の「学費」をアテにしなければいけない大学経営にこそ、問題があるはずだ。実質上、オーキャンや高校訪問は「単なる営業」でしかない。そういう仕事に振り回されている大学は、もはや大学ではないのだ。

僕は決して大学教育を否定しているわけではない。逆だ。大学教育の重要性を誰よりも強く感じているからこそ、あえて「10代で大学に行かなくてもよい社会」を作りたいと願っている。

勤勉な学生が増えれば、大学のくだらない仕事も減る。ゴミにもならない満足度アンケート用紙や学力調査用紙の束を燃やさなくても済む。出席したかどうかの「無駄な管理」もしなくてよくなる。「本当に学びたい学生がとことん学べる知の集合体」としての学び舎になることができる。

でも、実際は全然違う世界がそこにある。

そんな大学界を健全化させることと少子化対策を連動させることで、子どもの数が増え、大学教育が改善され、よりよい人間がたくさん増えることで、日本は再び活気のある国になると思う。

かつて「書を捨てよ、町へ出よう」という言葉が流行った。

今は違う。

「大学を捨てよ、働きに出よう」

この言葉が世に広まれば、親たちも「じゃ、もう一人頑張ろうか」とか「それなら、もう少し子どもを産みたいな」って思う人が増えるんじゃないか?!、と。

それに、大学生の年齢が多様化されれば、結婚に相応しい時期(20代後半)にキャンパスライフを過ごすことができ、「出会い」もアプリやサイトを使わずに生じるようになる。コスパもいい。

今の大学生の恋は、高校生の延長線上の子どもの恋愛で、その多くが「結婚」と結びつかない。でも、大学生の年齢が上がれば、自ずと「結婚」を意識した「大人の恋愛」が増えることになる。結婚の前提となる「出会いの場」となることも可能となる。今の若い大学生が妊娠したら大騒ぎだが、20代後半にもなれば、色々と選択肢も広がるだろう。

上の内閣府の記事でも、「18~24歳では、男性、女性ともに「まだ若すぎる」、「必要性を感じない」、「適当な相手にめぐり合わない」をあげる人が多い。…25~34歳では、「適当な相手にめぐり合わない」をあげる人が最も多い」とある。25歳くらいから大学に入ることは、ヤングアダルトたちの「めぐり合いの場」の提供にもつながるのだ。

また、年齢が上がり、「少し大人な学生結婚」が増えれば、大学内の託児施設も充実するだろう。世界の大学には、託児所が設置されている大学も少なくない。

20代の前半は、自分のため、世のため、社会のために働いて、そして20代後半で大学での学びを深め、結婚相手を探す。学費は働くだけ安くなるシステムなら、子どもを想定上に産んでも、経済的な負担も将来的な不安も解消されることになる。

何よりも、知的で賢くて、人生経験も豊かで、多様な人間社会の実現に近づくことになる。

という「妄想的アイデア」を書き綴ってみました。

当然、異論や反論もあると思います。

このアイデアに対して、異論や反論があったら、是非コメント欄に書いてみてください。(僕への誹謗中傷や人格批判でない限り、コメント返しいたします!!)

防衛費に10兆円注ぎ込むことができるなら、これくらいの政策はすぐに可能だと思うんですけど…

それに日本の防衛上一番まずい(ヤバい)のは、「知的エリートの不在」と「少子化」ではないでしょうか。言い方はあれですけど、バカな国じゃ、どれだけお金を出しても、どこにも勝てるわけありません!

コメント一覧

Densuke
今の日本に欠けているのは将来のビジョンと明るい見通しではないかと思います。政治ビジョンの欠落は勿論の事、個人レベルに於いても将来に光が見えない。仕事は辛い、通勤も辛い、住環境も悪い、ご近所はうるさい、聞こえるのは文句ばかり、、そんな世の中で子供を作って育てていこうとする欲求が激減するのは当たり前かな、と。総てがネガティブな方向へと突き進んでいるのに、今の老人はたっぷり年金貰っている人が多いからか、遊びに精を出して世の中の事は知らんぷり。若い世代が子供を作ろうという気になれないのは当然だと思うんですが、政治家やお役所は自分達のせいで少子化が進んでいるとは言わないでしょうね。
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