Dr.keiの研究室2-Contemplation of the B.L.U.E-

ボランティアの魅力♪

今日はボランティアバス旅行だった。障害をもった子ら9人と学生12人、そしてその両親の方々など。でっかいバスを借り切っての日帰り旅行だった。

とはいえ、僕がボランティアをするというのではなく、僕の学生たちをボランティアに連れていくというもの。かつてボランティアに明け暮れていた若き頃、「いつか自分の教え子たちを連れて一緒にボランティアをしたいなぁ」、と思ったことがある。小さな夢だったが、実現できていることにこの上ない喜びを感じるのだ。

ボランティアというのは本当に面白い。普段出会えない人と不意に出会えたりするし、一期一会じゃないけど、その場を共に生きることだけを目的として集まっている。日常のわずらわしい喧騒から身を引いて、じっくりと他者とかかわることができる。また、そうすることで普段の自分では見えない自分というのに気付くこともある。いや、それ以上に、「色んな人たちが一つの場に集まる」っていうことにその魅力があるのだ。似たような同じような人間の集まりではなく、世代も立場も状況も全然異なる人たちが一緒に同じ時間を過ごす、これこそ本当の意味で「社交場」だと思う。

今日もたくさんの若者たちが出会い、刹那の短い時間を楽しんでいた。

最初はなかなかうまく交流することができない。知的に障害をもった人たちは言葉で「タテマエ」を話すことなどしない。社交辞令も美辞麗句もほとんどない。だから、学生たちはどのように関わっていいのかが分からない。だけど、不思議なもので、時間の流れと共になんとなく溶け合っていくのだ。「人間本来の共感機能」とでもいうものがあるのだろうか。ぎこちなくピーンと張ったような緊張感は徐々に解けていく。それが見ていて面白い。

言葉がなくても、身振りや手振りの合図がなくても、人間は他者と関わりあうことができる。これが僕の持論だが、まさにそれを目の当たりにしたような気がした。ただそばに寄り添い、相手がしようとしていることに注目し、またそれに対して何らかの応答を試みる。いや、応答すらいらない。それでも十分にコミュニケートしているのだ。休日にわざわざこうやって誰かのそばに寄り添い、共に同じ時間を過ごすだけでも、十分にコミュニケートしているのだから。

僕も学生時代はホントにボランティア活動に明け暮れていた。何かを探すように。何かを得たいがために(もちろんお金や賞賛などではない何か)。そして、たくさんの素敵な人たちに出会ってきた。自分よりも客観的にはとてつもなく困難な状況にある人が心からの笑顔を見せてくれたとき、自分の小ささを感じずにはいられなかった。ボランティアしているのに、なぜだかこちらが救われているような。。。これが「弱さの力」なのかな、と。 社会的には弱者であるのに、実存的には強者であったのだ。障害をもつ人から僕は「強く生きることの本来の意味」を学んだ気がした。

今日も、そんな場面がたくさんあった。ボランティアをしている学生たちはたしかにボランティアをしているんだけど、障害をもった人に助けられているシーンがたくさんあった。また、直接的には助けられていなくても、「生きる」という大きな観点から見れば、彼らの生から何かを受け取っているようにも感じられた。具体的にこうとはいえないような何かを。 

若者たちは人生というでっかい迷宮の入り口で色んな不安や戸惑いを感じながら生きている。その入り口の前にすでに立っている者もいれば、入り口が見つからずに躊躇している者もいる。どちらにしても、入り口を通り抜けていない点で共通している。一度入り口に入ってしまえば、その世界を否が応でも通り抜けなければならない。けれど、彼らはそういう義務を背負っていない。そういう意味では自由だが、だが自由がゆえの迷いや葛藤もあるのだ。

障害をもった人にももちろん援助は必要であろうが、不安定な若者にも様々な「手」が必要なのである。僕的には、障害をもった人は若者を支える「手」になれるんじゃないか、と思っている。学校やバイト先ではきっとそういう「手」は差し出されないんじゃないかって思う。僕だって、学校では人があまりに多すぎるので一人ひとりの学生に手を差し伸べることができないし、そういう「手」を差し出せていない。でも、ボランティア先であれば、そういう「手」になることもできる。ボランティアは、「教師―学生関係」をも崩すのである。

この先も、休日で許される限り、こういう風に学生たちとボランティア活動を続けていきたいと思っている。「ボランティアのススメ」、これからも声を大にして訴えていきたい。もちろん「強制のボランティア」(?!)なんて反対。やりたいからやる。それでいいのだ。分からない人には分からない複雑な味なのだから。

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「教育と保育と福祉」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事