Dr.keiの研究室2-Contemplation of the B.L.U.E-

【民主主義】と【自由】と【連帯】-シュテルニパルクの幼児教育実践

先週、【損得の人】と【愛の人】について書きました。

今回は、【民主主義】を生きるための【自由】と【連帯】について書きたいと思います。

教師や保育者に是非知っておいてもらいたい話です。

「批判的思考」をもつ実践者になってもらいたくて。

批判的に自らの実践を自省し、そして、教育や保育をよりよい方向に創造していくために。

まずはこの動画をご覧ください。

この動画は、ウィスコンシン州マディソンの首都ロタンダで、音楽に合わせてコールするデモ参加者たちです。

ここでのコールアンドレスポンスは…

Tell me what democracy looks like!(デモクラシーがどんなものか教えて!)

THIS is what democracy looks like!(これがデモクラシーってやつだよ!)

となっています。

このコールアンドレスポンスが日本に入って来て、

「民主主義って何だ!」

「これだ!」

っていうフレーズが一時期流行しました。

2015年の安倍政権下で「安全保障関連法案」が強行採決される時の、市民による「抵抗運動」「デモ」の中で、使われた言葉でした。その中心にいたのが「SEALDs」という10代~20代の若者たちのグループでした。

今思えば、この2015年が「日本の曲がり角」だったようにも思います。

この動画を見ると、当時の若者たちは必死に声を上げていました。

でも、その声も虚しく、強行突破され、安全保障関連法案は可決されました。

当時、憲法学者や法学者たちの9割以上が「違憲だ」と判断していました。

国民の声も聴かず、学者たちの声も無視して、強行採決したんですね。

この安全保障関連法は、「他国のためにも武力行使ができるようにする集団的自衛権の実現や、後方支援の名目で他国軍への弾薬・燃料の補給等を世界中で可能とするもので、憲法改正手続も経ずにこのような法律を制定することが憲法9条及び立憲主義・国民主権に反する」、とされました(引用元はこちら)。

ここで、みんなが「憲法守れ!」と叫んでいることの意味も、分かりますね?!

与党が憲法を無視して、民意も無視して、学者も無視して、強行採決したんです。(国葬の問題も、この問題とつながるかと思います)

この時、ホントに多くの若者たちが(大切な青春時代を自分のためにではなく)この国に生きる人たちのために(利他的に)声を上げていました。

この「民衆の歌」は、なかなかいい曲です🎵

このアメリカと日本のコールアンドレスポンスを知った上で、次のこの動画をご覧ください。

「する」ことで直す、民主主義! 民主主義って何だ!?(テツガク編)① Progressive! Channel 中野晃一

上智大学の先生で、政治学者の中野先生の「民主主義って何だ」は、民主主義の基礎の基礎を教えてくれています。

民主主義を意味するDemocracyが、「Demos(民衆)」+「Kratos(権力)」から来ているという指摘は覚えておいてほしいですね。上の学生たちの歌も「民衆の歌」でした。そして、その民衆の力のことを、People Powerと言っています。

民衆、すなわち、僕ら全員が最高の権力者なんだ、というわけです(山本太郎氏も、このことを常に民衆に呼びかけています)。

そして、この動画にあるように、デモに参加することは、民主主義の基礎であり、ヨーロッパでは常にどこかでデモが行われていたりします。

この民主主義への幼児教育をしているのが、赤ちゃんポストを創った「シュテルニパルク」です。

シュテルニパルクは、2020年以降、コロナ禍の中、自宅にいる子どもたちのために「YouTube」を積極的に活用して、「お家保育園」の動画を多数上げています。

Kochen für Kids: Geschmackstest

お家でできる「味覚」(食育?)の楽しい実践です。

そんなシュテルニパルクは、今年勃発したウクライナ戦争の時に、子どもたちと路上に出て、みんなで「戦争反対」の声を上げました。その動画があります。

Kinderdemo für den Frieden

こんな感じで、幼稚園や保育園の子どもたちとその先生たち、そして保育士養成校の学生たちがみんなで、デモを行ったんです。

子どもたちの「戦争反対!」の声がドイツ第二の都市であるハンブルクに響いたことでしょう。

シュテルニパルクは、こんな風に「民主主義への教育」を行っているんです。

このデモの詳しい話はこちら

シュテルニパルクの民主主義への教育の基本は、「自由」と「連帯」です。

民主主義社会で守るべきものは、個々一人ひとりの「自由」であり、そして、その一人ひとりがつながる「連帯」です。どちらかが欠けてはいけません。「自由であること」と「連帯すること」の二つがセットで、民主主義が成り立つわけです。

シュテルニパルクは、それをかなり自覚して、これまでの様々な活動をしてきました。

先日、また、とある動画を出しました。

Starke SterniPark-Frauen zeigen sich Solidarisch mit den Frauen im Iran

この動画の冒頭で、ライラ・モイズィッヒが「Für die Freiheit(自由のために)」と言っています。

この動画は、先日、イランの22歳のクルド人女性のマフサ・アミニさんが死亡するという事件を受けて撮影されたものです。イランでは、女性は「ヘジャブ(ヒジャブ)」と呼ばれる顔や身体を覆う布を着用しなければいけません(女性の意志や願いではなく…)。

アミニさんは、この強制的なヘジャブ着用に反対し、抵抗した女性でした。22歳のこの若い勇敢な女性が突然死亡してしまったのです。

このことへの抗議と、またアミニさんとの連帯を訴えかけたのが、この動画でした。

この動画に出てくる人たちの中に、僕がこれまで出会った人も結構でてきます。

彼女たちはみんな、シュテルニパルクの幼稚園の先生や保育者たちです。

これが、「シュテルニパルク」なんです。

シュテルニパルクは、常に「今起こっていること」に着目し、その都度、その時代に必要なことや必要な行動をしてきた幼児教育団体でした。

今から22年前、シュテルニパルクが直面したのが、ハンブルクで立て続けに3人の赤ちゃんが遺棄されて死体となって発見された、という事件でした。

<続く(かな)>

PS

最後に、この動画を見てみてください。

この動画の途中に、子どもたちの姿が見えます。

日本でも、小さい幼児がデモに参加するってことがあるんです。

こういう経験を子どもたちに与えることもまた、「民主主義への教育」の実践なんです。

権威主義に染まった(あるいは国の意向に沿う)幼稚園や保育園では、まずこういうことはしないと思います。

でも、だからといって、「してはいけない」というわけではありません。

ホンキで、「民主主義」に向き合い、「自由」と「連帯」を求めて、自ら行動することの大事さに気づいたら、こういう「民主主義への教育」の実践をしたい、と思うのではないでしょうか?!

コメント一覧

sehensucht
Densukeさん

貴重なコメントありがとうございます。「2015年に関しても、単に米国からもっと兵器を買えるようにする、ということで、国家を守るとかとは関係無いと思っています。この嘘をつき通すために幾千の嘘が積み重ねられていて、日本は嘘で固められてしまっている」というのは、まさに…、と。国民主権の国になっていない、というのは、ホント重いご指摘です…。

Unknownさん

ご感想を書いてくださり、ありがとうございます。できるだけ面白いブログにしたいなって思いますが、全部の記事が面白くなくてもいいかな、とも思っています。自分が今、「書きたい!」と思うことを自由気ままに書き残したくて、このブログを続けています。政治の話もその中の一つですね。「政治の話なんて聞きたくない!」という気持ちも分からなくもないですので、「あ、これ、政治っぽいな」と思ったら、スルーして頂いて、ラーメンの記事だけ楽しんでもらえたら、幸いです。

小笠原のラーメンレポはかなり気合を入れて面白く書いたつもりなんですけど、、、ダメでしたか??💦
Unknown
最近ラーメン以外ばかりでつまらないです
ラーメン記事もそれに引っ張られてか、昔ほど文章が面白くないです
ラーメンの記事で政治の話とか聞きたくありません
一度ラーメン記事のみに専念してはどうでしょう
余計なお世話コメントでした
Densuke
日本が持つ一番の問題は、日本国が主権国家では無い、と言う事ではないでしょうか、、と言うと?とか右翼?とか思われるかもしれませんが、そうではなくて、日本ではズルズルと戦後統治が続いていて、とある政党がそれに加担しており、甘い汁を吸っている、そしてこれが多かれ少なかれ隠されている、と言う事かな、と。2015年に関しても、単に米国からもっと兵器を買えるようにする、ということで、国家を守るとかとは関係無いと思っています。この嘘をつき通すために幾千の嘘が積み重ねられていて、日本は嘘で固められてしまっているとも言えるかと思います。楽しい話でなくてすみません。
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