2015年4月30日のRP ONLINEのサイトに、
赤ちゃんポストについての記事が掲載されました。
その全訳です。
(メモ用の超スピード訳なので、誤訳等がある可能性もあります。悪しからず)
30. April 2015 | 08.17 Uhr
赤ちゃんポストの代わりに内密出産を
Vertrauliche Geburt statt Babyklappe
ベルリン:一年前から、緊急下の妊婦は、(産後に)子どもを引き取らずに、出産することができるようになっている。子どもは後に、自分の母親が誰なのかも知ることができる。これまでに、(そうした出産ケースは)95ケース(Fälle)ある。論争中の赤ちゃんポストも未だに存在している。(ヤン・ドレーベス:Jan Drebes)
子どもをこっそりと産もうとする妊婦には、常に、そうしようとする解決困難で個人的な理由(schwerwiegende persönliche Gründe)がある。性的暴力(Vergewaltigung)の犠牲者である妊婦もいれば、暴力行為を繰り返す子どもの父親(gewalttätigen Vater)を恐れている妊婦もいる。また、赤ちゃんのことを考えてパニックに陥る妊婦もいるし、過度に背負い込み過ぎている(überfordert)妊婦もいる。そういった女性たちのために、1年前から、いわゆる「内密出産」という選択肢(Möglichkeit=可能性)がある。つまり、妊婦たちは、自身の個人情報(Person)を提示することなく、病院で出産し、子を明け渡すことができるようになったのである。同時に、妊婦のデータは別の機関(an anderer Stelle)に保管され、16歳以上の子どもはそれを閲覧することができるようになった。こうすることで、後になって、「自分の親は誰か(wer ihre Eltern sind)」を知るチャンスを見出すことのできないような捨て子(Findelkinder)が再び生まれてくるという事態を回避することができる、と考えられている。これこそが、赤ちゃんポストや匿名出産の主たる問題の一つであった。
マヌエラ・シュヴェーズィヒ連邦家族省大臣(Manuela Schwesig:SPD)は、 この法の最初の一年を終えて、総括し、積極的に驚きを表明した。それによれば、2014年5月以降、ドイツ全土で、合計95人の女性たちが内密出産(の実施)を決めた。昨日、ベルリンで、シュヴェーズィヒは、「今日、私たちは、この法は有効である、と考えます」、と語った。それに加え、彼女は、この95の内密出産の中で5人の女性が、子どもについては賛成するものの、匿名性には反対の意見を表している、と語る。彼女の前任者(元家族省大臣)であるクリスティーナ・シュレーダー(CDU)は、緊急事態にある妊婦たちへのこの支援サービス(Angebots)の広がり(Erweiterung)を後押しした。シュヴェーズィヒは、当時、この法案に賛成したが、いくつかの陳述(Angaben)を受けて、最初の1年は、(実際よりも)はるかに少ない(内密)出産数(weitaus geringeren Fallzahlen)を想定していた。
当事者たちは、内密出産の道を簡単に歩むことができる。具体的には、女性たちは、まず妊娠相談を受け、そこで、内密面談の中で、無料の支援サービスの提供を受ける。最寄りの相談所(Beratungsstelle)がどこにあるのかは、インターネットのサイト(www.geburt-vertraulich.de)で確認することができる。
この相談所を通じて、後に、母親の名前は、必須の出生証明書(verpflichtenden Herkunftsnachweis)に記載される。 この証明書は、連邦家族省(Bundesamt für Familie)で保管される。連邦国がその費用を負担する出産の後、新生児は養子縁組(Adoption)へと出される。しかし、子どもの名前(Vornamen)は、母親が決めることが認められている-そうでなければ、児童相談所が名づけ役(Namenswahl)を引き受ける。最も早くて16年後に、子どもは、「誰が自分の実母(biologische Mutter)なのか」を、連邦官庁(Bundesamt)に問い合わせることができる。それに対して、父親は、これら全体的なプロセスにおいて匿名のままとなる。
だが、もし母親が永続的に匿名のままであることを望むのであれば、出産から15年目の年に、家庭裁判所(Familiengericht)に、「子どもに出自情報(Auskunft)を与えないでほしい(子どもが出自情報を得ることは認められない)」、と要請erwirkenすることができる。逆に、もし母親の気が変わり(überraschend)、自分の赤ちゃんを引き取ろうと欲するのであれば、母親は、たいてい1年後に終結する法的な養子縁組手続き(gerichtlichen Adoptionsverfahren)を止めさせることができる。(だが)ひとたび、子どもが公的に(offiziell)養子縁組成立となれば、実母はもはや(子を)取り戻す(Rücknahme)権利を失うことになる。
「たとえこの法律の導入前に、度重なる感情的な議論があったけれども…」。 ディアコニー(Diakonie:ドイツ・ディアコニー事業団)は、昨日、最初の積極的な結論を出した。「内密出産は、一つの大きな成果である(Die vertrauliche Geburt ist ein voller Erfolg)」、と、このプロテスタント系社会福祉事業団の社会政策執行部長(Vorstand Sozialpolitik des evangelischen Wohlfahrtsverbands)のマリア・ローアイデ(Maria Loheide)は言う。それに対して、批判者たちは、この(内密出産の)支援サービスの未だ不透明な諸効用(die noch unklaren Wirkungen des Angebots)を示唆している。いずれにせよ、この内密出産の導入は、原初的には、出産時において妊婦と子どもたちを守り、児童遺棄を回避する、という目的を持っている。赤ちゃんポストに預け入れられた新生児の数もまた、この支援サービスによって、減るだろうと考えられている。最終的に、赤ちゃんポストに置かれた子どもたちには、後々、誰が自分の親なのかを見いだすチャンスがなかった。また出産も、しばしば、医師によるケア(ärztliche Betreuung)を受けておらず、健康上のリスク(Gesundheitsrisiko)がとても高いままで行われてきた。
児童支援団体「テールデゾム(Kinderhilfswerk Terre des Hommes)」では、最終的に、報道報告に基づくと、亡くなった子どもの数の若干の減少(einen leichten Rückgang)は歪曲であると結論づけた。2014年、合計16人の新生児が死んで発見された。(*21人だった)2013年よりも5人少ない。この団体の報告によれば、2012年に、公式では27人の児童殺害があり、2011年では16人であった。「この数の揺らぎ(Schwankungen)から、『私たちは、赤ちゃんポストも内密出産の支援サービスも影響(Einfluss)を与えない女性たちの様々な諸問題や運命に関わっていかねばならない』、ということが推測できるはずだ」、と同団体のスポークスマン(Sprecher)は言う。赤ちゃんポストが在るがゆえに児童殺害が減った、という証拠(keinen Beweis)がこれまでに存在しないがゆえに、今後もこれを拒否し続ける、という。最終的に、匿名で預け入れられた新生児の数は掌握されていない、とこのスポークスマンは言う。だが、これまでの評価では、1999年の赤ちゃんポスト導入以後、最初の10年間の間に(in den ersten zehn Jahren)、100ケース以上の預け入れの事例(mehreren Hundert Fällen)が報告されている。
今、家族省(Familienministerium)は、この機関(Institut)に、内密出産のサービスがどの程度赤ちゃんポストへの子の預け入れの数に影響を与えているのかについて、継続的に調査させている。 評価委員会の委員長、イェルク・ゾンマー(Jörg Sommer)は、「あらゆる階層(sozialen Schichten)、あらゆる年齢層(Altersklassen)の女性に、緊急状況下(Notlagen)に陥る可能性がある」、という点を強調する。赤ちゃんポストが今後も存続するということについては、大臣のシュヴェーズィヒの観点からすれば、大きな問題ではない。その逆である。つまり、緊急下の女性に対する(支援の)オプションが増えれば増えるほど、よりよいだろう(Je mehr Optionen es für Frauen in Not gebe, umso besser)、と大臣は語る。だが、彼女は、赤ちゃんポストの幾つかの運営団体(者)が、リーフレット(Broschüren)やインターネット(Internet)で、内密出産の情報を示していないことに、納得していない。また、シュヴェージィヒの選挙区のシュヴェーリン(Schwerin)にあるヘリオス病院(Helios-Klinik)も、自身のインターネットのサイトに、大臣の(出した)相談支援サービス(Beratungsangebot der Ministerin)へのリンクを貼りつけていない。当の病院のスポークスマンは、「見直しをしたい」、と問い合わせに対して応えた。
Quelle: RP
今、ネット上で上がっているドイツの赤ちゃんポストと内密出産について記事としては、よくまとまっているもの。
匿名の母子支援を考える上で、貴重な情報が色々と出ていました。
まだまだ、やることがいっぱいあるなぁ、、、と。