1990年代に放映されたパチンコ番組レビュー
「演歌歌手・笹みどり親子に密着」(1994年)
ナレーション・広川太一郎「晩秋のここは熊本・天草。九州公演でこの地を訪れた笹みどり親子の旅は、この天草から始まります。」
(右:笹みどりさん、左:母・千枝子さん)
取材班「熊本のパチンコ屋さんっていうのは、行ったことありますか?」
笹「割に出たんですよ、ええ、熊本の市内が。」
取「じゃ、記憶としては…」
笹「ええ、出てます、出てます。」
母「今までで一番出したのは、二人で十何万ね。」
取「(今回も)勝てばいいですけどね。」
笹「ねぇ、なかなかね、今は…」
母「勝てば、パッと行きましょう!」
(一同、笑い)
ナレ「親子の公演先での楽しみは、土地土地のパチンコ店を回る事です。」
(楽屋でくつろぐ笹さん。)
ナレ「旅に同行するお母さんの仕事は、着物の「着付け」。早々と準備を始めます。」
ナレ「天草での仕事はディナーショー。リハーサルに入る笹みどりさん。その間、お母さんはさっそく地元のパチンコ店へ、下見を兼ねた試し打ちです。」
母「ショーの前に、私が下見に行きます。」
取「大体いつもですか?」
母「はい。」
母「これが、パチンコ専門の財布です。」
取「おー、(中身を確認して)結構持ってるじゃないですか。」
母「アハハハ(笑)」
取「これは、パチンコの為だけに使うお金ですか」
母「そうです。」
(天草「サンライト」に到着)
母「車が一杯あるしね、出るんじゃないかな?」
ナレ「出ると期待して入ったお母さん。調子はどうなんでしょう、なかなかエキサイトしているようです。」
(試し打ちしている台は、平和のデジパチ「弾丸物語SP」。「ドクロボトル」のリーチが外れて悔しがるお母さん。)
ナレ「リーチは掛かれど、大当りしないお母さん。台にアタります。気持ちは判ります。」
ナレ「お母さんの隣には、なんと笹みどりさんの専属司会者、水木じゅんさんの姿も。お母さんの気合が伝わったんでしょうか、隣の水木さんにもリーチが掛かりました。天国と出るか、地獄と出るか?」
(7のリーチが二つズレで止まり、「ああっ!」と悔しがる水木さん。)
ナレ「負けていれば、粘りたいのが人情。しかし、ショーの時間は迫ります。お母さん、名残惜しげに退散です。試し打ちは失敗に終わりました。」
母(掌を指さして)「(パチンコから)帰ると、いつもここが紫色になってる(笑)。」
取「手が紫になっている?どういう風にして?」
母「ここで(ドンっと台を叩いて)、揃わせようとするから。」
取「あー、台をね。それで、揃います?」
母「揃わない(苦笑)。」
ナレ「息の合った親子コンビ。着付けも、お互いにあうんの呼吸で慣れたものです。お母さんも、この時だけはパチンコを忘れます。」
ナレ「ベテランでも、ステージ前は常に初心です。」
ナレ「笹みどりさんの大ヒット曲、『下町育ち』に聞き惚れる、天草の人々。」
ナレ「今は元気にステージに立つみどりさんですが、17年前、大病を経験しています。」
ナレ「この時のリハビリで始めたのが、実はパチンコだったのです。それからは、親子仲良くパチンコ人生。」
ナレ「公演が終わり、みどりさんも加わって、熊本のパチンコは親子そろい踏みとなりました。」
ナレ「そして、先に大当りが出たのは娘の方。」
(フィーバーパワフルIIIで7が揃い、「アハハハハッ」と大笑いする笹さん。さらに…)
(保留玉でダブって、無邪気に喜ぶ笹さん。カラカラという笑い方が、いかにも楽しそう。)
ナレ「しかも、すかさず2連チャンの大ラッキー!」
ナレ「笑いが止まらない娘と正反対に、お母さんの方は地獄モードの真っ只中のようです。」
(絶好調の笹さんから軍資金を手渡されるお母さん。)
(お母さん、ただ今8000円の負け。笑顔で両替機に向かっていたが…)
ナレ「つぎ込めばつぎ込むほど、ツキに見放されていくお母さん。下見の時の元気はどこへやら、台を叩く手にも迫力がありません。」
熊本の結果はご覧の通り。お母さんにとっては最悪の日になったようです。
ナレ「翌日、パチンコ親子は次の公演地へと、熊本を後にしました。もちろん、車中の話題は専らパチンコの事ばかり。」
笹「今日行くところに、パチンコ屋さんあるかね?」
母「あるでしょ。」
笹「うん、もしあったら…」
母「すぐ行っちゃおう(笑)」
ナレ「2人がやって来たのは、人口の割合に対してパチンコ店の数が日本一の宮崎県。」
ナレ「当地に到着するや否や、お母さんはパチンコ店に。」
母「私が暇をもらって、先に来ています。あの人(笹さん)は、仕事が終わり次第、後から来ます(笑)」
(下見に訪れた店は「モナコパレス・高鍋店」)
ナレ「日本一のパチンコの町でお母さんが目を見張ったのが、お客さんから預かっている、このドル箱の山。」
(カウンター前に別積みされたドル箱の山に、思わず「スゴイね~!」と驚くお母さん。)
店員「これが大体、一箱が約1万円近いですから、全部で12万円にはなりますね。」
母「うわあ!」
(宮崎のパチ屋の出玉の凄さに、かなり興奮気味のお母さん。)
ナレ「人の物でも、つい触ってみたくなるのが人情というモノ。これで運が付けばいいんですが。今日こそ頑張って下さいよ~!」
ナレ「その頃、笹みどりさんは新曲のキャンペーンの真っ最中。」
(「JA児湯・ふれあい農業祭り」で、当時の新曲「みぞれ雨」を熱唱する笹さん。)
(トークコーナー)
司会・水木じゅんさん「実は、お母さんが先程からいないんです。恐らく、高鍋の方へパチンコ屋へ行ってるんじゃないかと思うんですよ。」
笹「アハハハハハ!」
水木「でもお母さんてね、平均負けません。」
笹「でも、昨日はね、ちょっと負けたんだけど。」
水木「昨日はね、三万くらい負けたの。青くなってぶっ倒れました(笑)」
笹「アハハハハ!」
(しかし、今日のお母さんは一味違っていた。大一「エスケープ2」で確変「777」を当てる)
ナレ「ところがどっこい、お母さんにもツキが回ってきました。こうなったら、娘の本番どころじゃありません!」
母「来たよ!来た!7、7!」
母「パチンコは、人生だー!」
(公演が終わり、ホールへ急ぐ笹さん。)
ナレ「みどりさんも、パチンコの事となると、つい小走りになってしまうようです。」
(2人並んでエスケープ2を打つ笹さん親子。笹さん、早速リーチが掛かり…)
(お母さん譲りの「ドツキ」でデジタルを止める)
(すると、見事に確変で大当り!)
ナレ「台を叩いて大当りを出すなんてところは、やっぱり親子。」
(それにしても、取材の二日間とも連チャンや確変を引くとは、笹さんヒキが強い…)
笹「パチンコは、やっぱり負ける時もあるけど、出る時の感触が何ともいえないですね。」
母「よし、やったーって言う感触ね。」
笹「アハハハハ!」
ナレ「親子揃って打つパチンコは、楽しいに違いありません。ところがお母さん、持ち玉があるのに、再びお金を使い始めました。」
(お母さんの手元には、大量の百円玉が。)
(出玉があるのに玉を買い足すのは、等価以外は明らかに損だが…)
母「(買い足しの理由を)出玉が減ってくと、損するみたいだから…」
取「お母さん、お金使った方が損するよ!」
母「ハハハ、お金使っても、これ(ドル箱)貯まってた方がいいよ!」
ナレ「さっき大当りで出した玉は、お母さんの手にしっかり握られていました。勝ち負けよりも、銀玉の感触を愛するお母さんは、根っからのパチンコ好きなんです。大当りも出たし、今日のお母さんは、何となくはしゃいでるみたい。」
(和やかな雰囲気で、エスケープ2を楽しむ笹さん親子。LNの持たせ札には「1,3,5,7スタート⇒6,8終了」と書いてある。「2,4」で確変が終わっても、持ち玉で遊べるルールだ。)
ナレ「ここ宮崎での収支決算は、大当りを出したにも拘らず、お母さんは12000円の負けでした。」
笹「お母ちゃんはね、割に負けても平気なんですよ。好きなもので負けるから…。私はお蔭さまで、お客様から頂いたチップとか(大笑)、そういうのでやりますので、自腹はあんまり切らないようにしております(笑)。」
笹「お母ちゃんは、チップじゃなくて年金でやってますので(笑)」
(笹さんの大笑いに釣られて笑うお母さん。勝ち負けよりもパチンコを愛する姿が伝わる。)
ナレ「お客様のチップでパチンコ台に向かう娘と、年金で玉を打つ母。演歌親子のパチンコ旅は、人生の旅そのものなのかもしれません。」
(普段は、歌手である娘・笹みどりさんの「裏方」に徹するお母さん。しかし、このパチンコ企画の主役は、明らかにお母さんの方だった。)
「演歌歌手・笹みどり親子に密着」の回、了