1993年(平成5年)に三洋から登場した新要件デジパチ「ラスベガス」
★単色ドットマトリクス(赤)採用
★賞球…7&15
★大当り確率…1/299
★デジタル停止順…左⇒中⇒右
★2回ワンセットデジパチ
★最高16ラウンド継続
★平均出玉…2300個(ワンセットで4600個)
★アタッカー開放時間…29.5秒
★大当り図柄…「0~9、バニー(兎)、V、E、G、A、S、カクテルグラス」の各3つ揃い(計17通り)
★揃った図柄に拘らず、大当り後は小デジタル(フラッシュルーレット)の確変に突入
★小デジタル確率…通常時=1/24、確変時=1/2.4(10倍アップ)
★2回目の大当りが来ると、小デジ確変状態は終了(ループなし、ワンセット)
★但し、確変終了後の保留玉で連チャンがたびたび発生
★確変終了後に保留で連チャンすると、再び1回目の確変スタート(計4回の大当りが確定)
★小デジ確変中、実はメイン確率もアップしていた(但し、保4点灯が条件⇒後述)
★現役時の主な実戦店…「アラジン」(新宿)、「ミナミ」(下北沢)など(新橋「トヨタ」も設置)
★兄弟機…ラスベガスII(1993年)⇒大当り確率1/233、弱性保4連チャン機(保連率:10%)
この時期、「ラスベガス」と名のつく台が、各社から登場していた。まぁ、「流行りの機種名」(ギャンブルといえば、ラスベガスが定番)という奴だが、元祖の西陣はともかく、メーカー側も、もう少しネーミングにひねりを加えても良かったのでは…。せめて、スロの「ベガスガール」(IGT)くらいのアイディアは欲しかった(アレもいわくつきの機種だったが…汗)。
・西陣「ラスベガス」(旧要件デジパチ、1990年)…ドット、ノーマル機、腕時計止打ち「兜町打法」
・マルホン「ラスベガス」(新要件ハネモノ、1993年)…ラウンド抽選機能付、デジタル連チャン有
・三洋「ラスベガス(II)」(新要件デジパチ、1993年)
・京楽「CRラスベガス」(CRデジパチ、1993年)…「7」で当ると6連チャン確定
で、今回紹介するのは、三洋から1993年に出た新要件デジパチの「ラスベガス」である。
朝一出目は、当時の三洋お馴染みの「341」(サンヨーイチ)。ただし、「モーニング」機能はない。
(中には、確変を仕込んだモーニング台を用意する店も、あったかもしれないが)
本機は、いわゆる「確変デジパチ」で(当時、小デジ確率がアップする台をこう呼んだ)、どの図柄で当っても確変に突入し、次回大当りまで確変が継続する「2回ワンセット機」である。2回権利モノ的な位置づけではあったが、保留連チャンも時折発生して、そこそこの爆発力は備えていた。
このテの2回ワンセット機では、ニューギンの「ニューエキサイトキングAW」なども有名だった。「AW」の場合、確変中にデジタルの連続回転が途切れると、確変が終了する特徴があった。一方、本機にそういった不利はない。ただし、確変中は極力保4を点灯させないと損をする(後述)。
(小デジタル=フラッシュルーレット)
デジタル左右のスルーチャッカー(LUCKY)通過で、デジタル下のルーレット役物(フラッシュルーレット)が回転する。ちょうど、カジノのルーレットのような感じで、割と魅せる演出だった。ルーレットには「1~9」「00」と計10種類の数字があって、正面に「7」が止まれば小デジ当選。ヘソ下の電チューが短時間だけ開くが、通常時の小デジ当選率は1/24と低く、電チューの拾いも悪い。
(フラッシュルーレットの正面に、「LUCKY7」と書かれた「7番」が停止すれば電チューが開放)
一方、小デジ確変に入ると、このルーレットは大活躍する。確変時は、ルーレット当選で電チューが1.5秒×3回の開放を行う為、通常時よりも断然拾いが良くなる。さらに、小デジの当選率も1/2.4と10倍アップするので、電チューはパカパカ状態となる。もちろん、スルーが絞ってあるとキツい。
因みに、兄弟機の「ラスベガスII」にも、デジタル下に同タイプのルーレットが付いていた。但し、コチラは「逆転ルーレット」という機能を有するもので、リーチがかかって、右デジタルが「バニー」図柄で外れた直後、逆転ルーレットが回転する。そして、ルーレット正面に「バニー」絵柄が停止すると、「復活」で大当りとなる仕掛けだった。
(リーチアクション)
左・中とテンパイするとリーチとなり、三洋お馴染みの「中速スクロール⇒手前2コマから超低速(スロー)アクションに切り替わる」動きを毎周繰り返す。あの「ジリジリ感」にはイライラさせられたが、結構な中毒性もあった。いわゆる「アメドリリーチ」という奴である。
リーチは最大で3周するが、3周目突入後、超低速アクションまで届けば実質的な「スーパーリーチ」で、ここまでくればアツかった(但し、1コマ手前を超えて「揃った」と思っても、1コマ先で外れる事アリ)。その他、特別なリーチ演出や発展などは一切ない。全般的にリーチはシンプルだが、それなりの「ツボ」を押さえていた。
(大当り判定方式、連チャン性など)
本機の大当り判定には、判定用カウンターA,Bを使用。
・カウンターA⇒「0~298」の299コマ
・カウンターB⇒「166~171」の6コマ
始動チャッカー入賞時、カウンターAが特定の1つの値を拾い、保留エリアに一旦格納する。デジタル回転開始時、カウンターBが特定の1つの値を拾い、「A=B」なら大当り。
⇒同時期に出た保4連チャン機「野球拳」(三洋)と同タイプの判定システム
※AとBを比較する「判定」のタイミング
単発打ち時=始動チャッカー入賞時 連続回転時=各保留に対応するデジタル回転時
すなわち、カウンターAが「166~171」(計6コマ)の何れかを拾い、かつ、Aの値とカウンターBの値が同じだった場合、「大当り」と判定される。よって、大当り確率は6/299×1/6=1/299。
実質的には、カウンターAが「166~171」の範囲内なら一次抽選を通過、さらにカウンターBがAと同じなら二次抽選を通過する「二段階抽選方式」といえる。
小デジ確変中は、小デジ(ルーレット)確率が10倍アップする一方、メイン確率に関しては、表向きは「不変」とされた。
しかし実際は、確変中に点灯した保4が、通常よりも大当りし易いように書き換えられていた。
具体的には、保4エリアのカウンターAの数値が、約1/6の確率で「170」に書き換えられていた。「170」は大当りの可能性があるカウンター値なので、書換え時は「一次抽選クリア」となり、メイン確率は6倍アップ(書換え率1/6で計算)の1/49.83となる。一旦書き換えられた保留エリアは保3⇒保2⇒保1と絶えずシフトするので、保4を経由する限り大当り確率はアップし続けた。
確変中に、「1/299」である筈の次回大当りが、やたらと50回転以内にくる事が多かったのは、こうしたカラクリが原因である。
但し、これには「保4点灯」が最低条件となる。確変中、玉を節約しようとして、リーチ時や電チュー閉鎖時に止め打ちをすると、保4点灯(=カウンターAの書換え)機会を多く逃すこととなり、結果的に次回大当りは遅くなる。一方、オヤジ打ちで保4点灯をキープした場合、点灯した保4は各1/6で高確率に書き換えられるので、確変中の次回大当りは早い。
さらに、上書きされた保留エリアは、確変終了後の保留消化時も、そのまま生き残る。よって、確変中に保4を常時点灯させる事ができれば、大当り後の保留連チャンの可能性も高くなる。逆に、保4非点灯の状態が増えると、保留連の確率も下がってしまう。
このように、本機は「技術介入すると、確変中及び連チャンが不利となる」仕様だった。オッちゃんオバちゃんが勝ちやすく、プロやセミプロが負けやすい…何とも皮肉なスペックだが、常連を重宝すべき地元密着型のホールにとっては、むしろ有り難い仕様ではなかったか。
ただ、惜しむらくは、短時間の爆発力を過度に恐れた多くの店が、ヘソやスルーの釘をガッツリ絞ってしまった事だ。もう少し甘い調整で遊べれば、本機の魅力をさらに理解出来たはずだが…。
※記事を読み返した後に気づいたのだが、「確変中に点灯した保4が高確率になる」仕様ならば、逆に保4を付けなければ、常に「1/299」という低確率で抽選を受けることになる。とすれば、電チュー狙いの止め打ちで玉が増える調整であれば、敢えて保4を付けないようにして、確変中に深くハマらせて玉を増やす事も可能だった筈である。あくまでもオヤジ打ち・保留連狙いで大量出玉を目指すか、或いは、確変中の電チュー狙い・保4非点灯で確実に玉を増やすか…そういった選択も可能だった事は付け加えておく。
※追記※(2014.4.23)
三軒茶屋「遊楽」、2000年当時の「みなし機」設置状況
ラスベガス(三洋)、アメリカンドリーム(三洋)、パニックランドV(三洋)、マリンギャルズII(三洋)
スーパーコンビSP(三共)、アクダマンSP(三共)、キャロットボーイ(三共)
プリティハート6(ニューギン)etc