Life is ART!

高齢者施設で活躍しているアートワークセラピスト達の旬な声をお届けします。

「水温む、春の小川」

2013-05-07 07:08:27 | 素敵な現場
みなさん、こんにちは。

シニア担当の今井(いけ)です。

皆さんは「水温む」という春の季語をご存知ですか?

春になって寒さがゆるみ、池や川の水があたたかくなってくることを意味しているそうです。

今回はそんなお話をしながら、

シニアの皆さんと春の小川を描くアートワークをしました。



いつものように簡単な体操や歌などでウォーミングアップをしたあと、

シニアのみなさんとサポートで一緒に「春の小川」を歌いながら、

大きな障子紙の上に、白クレヨンで自由に線を描いていきます。

白い紙の上に、白いクレヨンなので当然見えませんが、

シニアのみなさんには「歌に合わせて、紙の上で腕を大きく動かしてみましょう」とお伝えし、

始めは少し戸惑いながらも、だんだんと歌のリズムに乗りながら、みなさん腕を動かし始めていきます。


そしていよいよ、水彩絵の具を解いた色水を刷毛に含ませ、紙の上を、

川の水がさらさらと流れるように刷毛を動かしていきます。


同じ色を、何度も塗り重ね深い色にしていらっしゃる方。

好きな色から塗りはじめ、だんだんと他の色を試している方。

見えないわ~と言いつつも、しっかりとご自分の好きな色を選んでいらっしゃる方。

切り取る部分と、飾りを選ぶことはご自分でされて、あとは「見学でいい」とおっしゃる方。

ほとんど、気持ち良さそうに眠っている方…。


皆さん、本当に自由にこの場に参加して下さっています。



今回、始まる前からいつもと少し様子が違っていた男性のKさん。

いつも、「これから何が始まるんですか?」と、私達が準備している所へ来て下さっている方ですが、

口調や表情から、この日は少しイライラしていらっしゃるような感じを受けました。

そしてとうとう、テーブルに着いた他の方と大声で喧嘩を始めました。

いつもの穏やかでニコニコしたKさんしか見た事のない私達は少しびっくりしましたが、

その後もKさんが近くを通るたびに声をかけ続けました。


結果としてKさんはこの日、作品作りには参加されませんでしたが、

後ろの方の席に自ら座り、私達が用意した春の花の写真を手に取って、

じっと眺めて いらっしゃいました。

その時のKさんはいつもの穏やかなKさんのように見え、

私はそれだけで何だかうれしい気持ちになりました。




少し脇道にそれましたが…

最後に、お好きな部分を選んで頂き作品を仕上げていきます。


さらに、春の小川を飾るものとして、春の小川の生き物と

サポートのSちゃんが作ってくれた春色の切り紙を皆さんにご用意しました。


では、皆さんの作品をご覧ください!




さらさらと、水の流れる音も聞こえてきそうです。




勢い良く流れる川の中で、楽しそうに遊ぶ生き物たち。



日の光を浴びてきらめく川面。
土手に咲く花々、顔をのぞかせる川エビ。



最後は、ゆらゆらと流れる川の中に
頭隠して尻隠さずの…??



みなさんと楽しい時間を過ごし、心も温んだ一日でした。

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