Life is ART!

高齢者施設で活躍しているアートワークセラピスト達の旬な声をお届けします。

混ざり合い、重なりあって、色づかせる

2015-05-24 08:34:20 | 素敵な現場
シニア担当のYokoです。

私の家の近所のお家 そこには紫陽花があり、毎年通る人達を楽しませてくれます。

冬にはただの枝だけで丸裸状態なのに、春になると小さな葉がついて

ひとあめごとに葉は沢山 沢山 

そして小さなガク達がぎゅぎゅぎゅと葉っぱの真ん中に集まりはじめる。



「何色かな。。」 「あっ、咲いた」 「また咲いてる」・・

ただそこにある紫陽花の 毎日の変化にただただ楽しんでいる自分に気がつく。


先日の高齢者施設では、いつもよりも少し早く紫陽花をテーマにアートワーク


葉っぱを並べておくだけで、皆さん自然と手が伸びて、匂いを嗅いだり、手のひらに乗せて葉っぱの厚さや大きさをしっかりと味わって。。

土壌の栄養によって色が変わる紫陽花

私達の中にも紫陽花があるのだとしたら、一体どんな栄養を得てそしてそれはどんな色で咲くのでしょうか??

嬉しい事も悲しい事も 怒ってしまう出来事も 泣いてしまう寂しさも

沢山味わう感情は「生きている証」

全てものが混ざり合い、重なりあって 「私」という人を色づかせている


1人のシニアの女性が言いました。

「私はこうしてみなさんとアートセラピーができる時間が本当に幸せです」

お世辞でも嬉しい言葉です。もう7年 今のメンバーの中で一番の古株

作品にもそんな様子が現れている。


素材は今日は着物生地 絵の具でも折り紙でもない 着物生地だからこその和の色合いを楽しみながら

葉っぱのバランスやら、お花の形やら 

じーーーっと色紙を見つめていたかと思ったら、何かパッ!とひらめくと皆さん無言で取組みはじめます。



取り組まれるのに少し時間がかかりました。
「絵を描くのはできるけど、こういうことは・・・」
少し今日のワークに戸惑いがあったようです。
認知症傾向が少しある女性 
そこにサポーターが関わります。
生地を触ったり、お好きな色を話しをしたり、
それまで戸惑われていた顔に生気が満ちてくる

「若いころの夢」

その夢の内容は最後まで教えてもらえなかったと笑うサポーター
その女性の中にいつまでもこれからも咲き続けている「夢」
最後の最後にはさみを使って、小さく小さく 雨のようなしずくをひとつ
夢にみずみずしさが増していくかのようです。



「僕はね、ハッパも大事に」
いつも奥様と参加されるご主人の作品です。
「爽やかね」と奥様がおっしゃると、にやりと笑いながらでも大きな声で
「いや、でも僕はね、葉っぱ「も」大事なんだよ」
と「も」を強調されるところに、この方のお人柄が現れる。
郵便局のお仕事一筋 遊ぶことはあまりなかったというこの90近いの男性です。

紫陽花の花は大きな葉っぱの真ん中に支えられて花が咲きます。
この男性はいつも奥様を、ご家族を、お仕事仲間を、そして沢山の便りを待つ人達を
支えてきたのではないかと感じました。

そんな事をお伝えすると 男性はうんうんと頷きながら優しい顔で
「そうかもしれないね。ありがとう」と



「それぞれで花を咲かせてください」
こちらは奥様の作品です。
「これを見ている人がね、イメージしてね、それぞれでね、花を咲かせればいいと思うのよ」
まるで哲学のように考えさせ、見る側のイメージを広げ、そしてそれは結果その人の可能性を引き出すかのよう。

深い・・・・

私は思わず唸りました。。

シニアの皆さんと関わっていると、ふと自分の中の見ようとしなかった部分や
味わおうとしない感情にそっと触れられてしまうような感覚になる時があります。

どんな花を咲かせて生きて行きたいのか?


「先生と会えるのがうれしいのよ」
「まぁ〜 先生また綺麗になっちゃって!!」
「ほんとに、よーーーくいろいろ勉強されてるわね」etc

何気ない月に1回のこの時間 どれだけのあたたかい言葉を頂いていて
一緒に笑って、一緒に泣いて、沢山の時間を過ごし 味わって・・・
そしてお別れもあって・・・


シニアの皆さんと過ごす時間で、私の中の感情は「混ざり合い、重なりあい、色づいていく」
そしてそれらは私の心の栄養となっていく。。

「生きている証」

私の中に紫陽花があるのだとしたら、今、どんな色合いなのだろう。。

今日は散歩をしながら、もう少し深めてみようかと思います。


そしてみなさんはどうでしょう?

あなたの中にある紫陽花は どんな色合いなのでしょう??




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