ここで使うクレヨンはスティッククレヨンです。
以前ブログでも紹介したことがあります。
このクレヨンにしてからシニア皆さんの描画が更にイキイキとしてきた感じがしています。
力を入れなくてもするっと軽く描け、しかも発色も綺麗。
この感触には参加されたご家族からも「お~」と驚嘆の声があがるほど。
「好きな色、もしくは春を感じる色を一本選びましょう!!」
皆さんも静かにでも確実に一本を選ばれます。
「画用紙の端から端まで一本線を引いて見ましょう」
スルスルスルスル
「もう一本描いて見ましょう!!」
「今度は逆に・・」と進めていくと、
その後はまるでフィギュアスケートのリンクに様々なラインが描かれるように
画用紙がクレヨンで彩られていきます。
お父様のお隣に座った40年振りにクレヨンを握った息子さんはというと・・・
いつの間にか夢中になってどこかの風景を描いていました。
「どちらか思い出の場所ですか?」
「いやぁ~心象風景とでもいいますか~(笑)」
そうおっしゃりながらお父様と同じ丸い頭を掻きながら教えてくださいました。
しばらくこの絵を通してお父様を交えて話が広がりました。
お父様ははっきりとお話が出来るという訳ではありませんが
絵を見ながらこぼれる笑顔、そして声はいつも以上に張りがあって・・・
きっとお父様自身も息子さんの絵を見るのは多分数十年ぶり位でしょうね。
その様子を隣りに座っていた娘さんが目を細めて眺めていらっしゃいました。
もちろんお父様自身も何本も何本も色を変えて息子さんに負けじと描画されていました。
アートセラピーの素敵な所は一枚の絵を通して沢山の話が出来るという所です。
絵からコミュニケーションが取れるのです。
それはなぜか?「上手・下手」という判断をしないからでしょう。
私達はその一本の線を大事にし、そこにその方の生きるエネルギーが現れていると
捕らえています。
そしてただただ絵を通して気持ちに寄り添っていく。
気持ちを受け取ってもらえると安心感を得られお話しが弾んでいくのは、
子供でも成人でもそして高齢の方でもどなたでも同じです。
そしてそれは認知症の方にとってはなお更の事のように私は感じています。
この日参加されたもう1組のご家族
お母様と息子さん
気がつくとずっと息子さんはお母様の背中に優しく手を乗せて声を掛けていました。
このお母様は軽眠がちになったり、描画も普段ですと画用紙の下の方にちょっと描く
程度が 多いのですが、この日は本当にうれしかったのでしょう。
紙面に沢山の色を用いてとても力強い感じがします。
下記は同じ方の描画です。
エネルギーの違いがわかりますか??
もう少しこのお話しは続きます・・・・・
息子さんや、娘さんも、とても素敵な体験をされたことでしょうね。
アートって、素敵
お天気も去ることながら本当に暖かい時間でしたよ。
むふふ。
そして再び次回に続くのでした。。