Life is ART!

高齢者施設で活躍しているアートワークセラピスト達の旬な声をお届けします。

おばあちゃんと一緒

2015-08-27 23:21:14 | 素敵な現場

 夏が過ぎ、秋の訪れを感じる今日この頃、皆さまはいかがお過ごしでしょう。

 涼しい風と共に夏の疲れがどっと押し寄せてきていたりして・・・

 こんにちは、Shikibuです。

 現場が始まる前にいつも私たちは皆で今の気持ちと今日、この場をどんな場に

 したいか、一人一人シェアします。
 
 先日はシェアの結果、なんだかみんな夏疲れを感じているよう・・・(笑)

 だったら無理に元気いっぱいを装うのではなく、

 「皆さまとゆったりのんびり、穏やかな時間を過ごそう」

 ということになりました

 テーブルのセッティングもゆったりした海をイメージ。

 

 そしてテーマは「窓から見える海」

 額縁を窓に見立てて、ご自身がかつて見た、行った、泳いだ海、

 あるいは
 
 いつまでも見ていたいと思う海、を作品として仕上げてゆきました。
 
 皆さまが制作されてる時、時々面会にいらしたご家族が付き添って

 くださったり、一緒に制作されたりします。
 
 今回は今までで最年少のゲストがいらっしゃいました。

 S様のお孫さん、6歳だそうです。

 最初に海を感じる色を並べた和紙の中から一枚選んでいただきました。

 S様と一緒にお孫さんも元気よく1枚選んでくださいます。

 S様が「ほら、今日はね、海を作るんだって」と声をかけると

 がぜんやる気になったのか、S様の隣にちょこんと座って無心に制作開始。

 S様は「あらー上手だねえ」「いいじゃない、これは?(素材をおススメ)」

 などとやわらかい笑顔でお孫さんの制作をお手伝い。

 ちょうどお隣にいらしたO様とお嬢様もついついお孫さんを見ては笑顔に

 なってしまうようです 

 

 そんなS様、これまでアートセラピーにいらっしゃるときは

  「すぐ帰るかもしれないから帰りやすい席がいいわ」

  「私こういうのわかんない」

 などとおっしゃいます。

 ところが、いざ制作が始まると夢中になり、最終的に作品ご紹介する際、

 ご自身のことを「私、アートSです」とおっしゃるほど実はアートがお好きな方。

 今回はお孫さんと一緒の制作でお二人を中心に場にふんわり優しい空気が広がって

 いきました。
 
 その作品がこちらです。
 
 

 作品完成後、お孫さんに「これはどんな海?」とお聞きすると

 「行ってみたい海!!」と元気よく教えてくれました。

 S様は「全部この子が作っちゃったわぁ」とおっしゃいながらも嬉しそうな笑顔。

 通常、アートセラピーの後は皆さまおやつの時間なのですが、S様は作品を手に

 お孫さんとご家族が待つお部屋にいそいそとお戻りになられました。

 お部屋からははずんだ声や笑い声がもれ聞こえます。


 もちろん、自分らしさを表現できるアートは素敵です。

 それと同じくらい、ご自身の近しい方と一緒に作るアートも素敵。

 お祖母様からお孫さんへ、お孫さんからお祖母様へ、アートを介して

 言葉を超えた愛情やいたわり、やさしい気持ちが通い合っている

 この空気感を何と表現したら良いのでしょう。

 後から職員さんにお伺いしたところ、

 「S様のあんな表情、初めて見ました。」

 とおっしゃるほど。

 S様はもちろんですがお孫さんが大きくなって、夏の終わりが来るたびに

 「そういえば今くらいの季節におばあちゃんと一緒に「窓から見える海」

  を作ったなあ・・・・

 なんて懐かしく思い出してくれると嬉しいな・・・


 そう思うと過ぎゆく夏もさみしくなくなった私です

 
 せっかくですから皆さまの作品もご紹介いたします。

 故郷の海、外房の波が荒い海、海辺に咲く花、スイスイ泳ぐ魚たち・・・

 窓から見える海が皆さまの大切な思い出と繋がっている、といいな。

 

 


 

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