Life is ART!

高齢者施設で活躍しているアートワークセラピスト達の旬な声をお届けします。

あたり前を大切に・・・

2009-04-27 17:30:46 | イトマリ
こんにちは。大阪担当のイトマリです。


4月になり気持ちも新たにまた新しい一年間がスタートしました。

大阪のシニアでは4月から3月までを一年としてサポーターを募り、
チームに分かれてそれぞれに施設で活動しています。

今年は11人のサポーターと共に新しいスタートが始まりました。
今年はどんなことが起こるのか今からワクワクです。




大阪のある施設ではリビングからとてもキレイな桃の花が見えるます。
その施設にいらっしゃる一人の女性とはもう6年のお付き合いになります。

先日も桃の花が満開のころにお邪魔したのですが、
その方のご様子が今回はいつもとちょっと違っていらっしゃいました。


その方はいつも身近にいる人の手を握っては
「おかあちゃん、だいすきやで」といって、
うるうるした瞳でじーっと見つめていらっしゃいます。

一緒にご入居されているみなさんはその様子を見て
あまり良いお顔はされないのですが、
ご本人はそんなことお構いなし。
私や職員の方の手を握っては「おかちゃん、だいすきやで」が始まります。



ところが先日のワーク中には「おかあちゃん、だいすきやで」が
一度も聞かれなかったんです。


そればかりかいつもよりもお声も大きく、
ワーク自体にも意欲的に参加参加していらっしゃいました。

いつもならサポーターに「やって」という作業も
ご自身で素材を選び、植木鉢に刺すという作業を
何度も何度も根気良く続けていらっしゃいました。


ワークが終わってみんなとのミーティングの時にその話をすると、
みんなもその方の変化に気付いていたようでした。



何が違ったんだろう・・・?



頭の中でその方の笑顔を思い出しながら、
ずっと寄り添ってくれていたサポーターに
ワーク中のご様子を詳しく聞いてみました。


「私も出来ないんです。っていって一緒に考えたり、
教えてもらったりしながら作っててん」

サポーターのこの言葉に私はハッとしました。


施設の中でその方は「何もできない人」として
いつも職員の方に全てを「やってもらう人」でした。


そして、私自身も「できることはご自身でやっていただく」と言いながらも
知らず知らずのうちに「甘えさせてあげる人」になっていたのかもしれません。


私が感じていたその方の変化とは「自立」だったんだと気付きました。
本当に目からウロコが落ちた瞬間でした。


「寄り添っていたつもりが、甘える気持ちを増幅させていただけかもしれない」
「私は他に人に対してはどう?」
「どうやって接しているだろう?」
「他の施設では大丈夫?」
頭の中で色んなことをグルグルと考えていました。



今回、寄り添う人の接し方でこうも変わるんだという事を知り、
改めて「自分はシニアの方たちとどう向き合っていきたいんだろう」と
考えさせられました。



沢山失敗もしたし、
今までやってきたことが正しいのかどうかもわかりません。


でも、改めて自分がどうしていきたいのかを考えた時、
「同じ目線になっておひとりおひとりのこころと
向き合いながら大切に受け取っていく」


当たり前のことだけど、当たり前を大切に・・・
これからもみんなと一緒に丁寧なシニアワークを続けていきたいと思いました。












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