Life is ART!

高齢者施設で活躍しているアートワークセラピスト達の旬な声をお届けします。

見えないパス?!が飛び交う現場

2015-08-16 15:14:27 | 素敵な現場
夏が終わりに近づいていることを告げるかのような蜩の声を
耳にすることが多くなった今日この頃、皆さまはいかがお過ごしでしょうか?

こんにちは、Shikibuです。

今日はシニアの現場を一緒につくっている仲間について。



シニアの現場は1年の中で2回、期が変わります。
そしてその都度、現場を一緒につくりだす仲間を募っています。

今年4月からのメンバーは1年以上のベテラン組と初参加組が入りまじった形と
なりました。
個性豊かな面々ながら、シニアはもちろん、キッズや同世代対象等々、アート
セラピーで活動している分野を持っているという点、そしてしっかり者、という点
で共通しています。

しっかり者なので頼もしいことこの上ない!のですが責任感ゆえか何かあると抱え
込んで一人で解決しようとしてしまいがち。

そんなメンバーが4月にチームになり、試行錯誤を経て、ようやくこの2回くらいで
変わってきたなと感じます。

やや気難しい印象のシニアのM様。このところは以前よりはアートセラピーの時間を楽しん
でいただいているかな・・と窺える時はあるものの、基本表情は固い・・・

以前は「これは私の作品じゃありません!!」とおっしゃったことがある位、はっきりと
自己主張はしてくださる方ですがどうしたらもっとご自身の表現としてのアートを、この
時間を楽しんでいただけるだろうか・・・
と毎回ああじゃないか、こうじゃないかとセラピストとしての関わり方について仲間全員
で試行錯誤の日々でした。

そんなM様、この日は机の反対側にいたセラピストのYちゃんを強い目力で引き寄せます。
難しい人そうだけれど、M様と関わりたいなと思っていたというYちゃんは持ち場を他の
セラピストに託して席を移動。制作の間、M様に寄り添いながら会話とともに、言葉以外の
通い合うもの、を感じたそう。

毎回実施している、全員の皆さまの作品をご紹介する承認の時間、M様の作品をご紹介する
にあたり、一番関わってくれたYちゃんが「ひとつひとつ、丁寧に色を置かれていらっしゃ
いました。最後に金魚をお選びになり、この向きでこの場所に置かれました」
と説明してくれたところ、M様は思わずといったようにほころぶような笑顔を見せてくだ
さいました。

M様の気難しい、という印象が覆される一瞬です。
その作品がこちらです。



こんな風に、その方が本来お持ちの柔らかな気持ち、表情を引き出せるのはまさにセラピスト
の関わりがあってこそ、のこと。

とはいえやはり相手は人間。

実はこれ以前のクラスでM様のこういった表情を引き出せず、難儀したことが多々ありました。
他の人ではなかなか引き出せなかったM様の柔らかさがYちゃんの関わりで自然と生まれ出た
ことでその場の空気が和らぎます。

人間ですから相性もあるし、接する方や自分自身のその日その時の体調や気分により、声掛け
や関わりがうまくゆかない時もあります。
無理してがんばってもなかなか事態は好転しない・・・

こんな時、他のセラピストに引き継ぐことで、空気が変わり、結果良くなることがあります。

責任感が強いセラピストは「自分が頑張んなきゃ!」と思ってしまいがちですが、
こんな風に手放す、手渡すことも時には大事。
しかし、手放せるのは手渡した先との信頼感があってこそ、ではないかと思うのです。

アートセラピーの時間が終わった後、毎回行う振り返り。

終わった時は明るかったはずの外が、振り返りを終えて施設を出るころにはすっかり夕暮れ、
ということがしばしば・・・

そのくらい、シニアの皆さまの事を考え、腹を割って、自分の体験や意見をシェアし合う・・
セラピストとして、また一個人として気持ちを分かち合うことから、より良い現場を皆で作って
ゆきたい、ゆこう、という気持ちが醸成されてゆき、その結果、自分が困った時にはパスを投げ、
それをしっかり受け取ってくれる仲間がいる。
そんな、仲間同士の安心安全の土台が出来上がってくるのかな、と感じます。

たったの半年(未満!)、しかも顔を合わせるのは毎月1回。なのに阿吽の呼吸、とまでは
いかなくても、見えないパスが飛び交い、想いのリレーがつながる現場になりました。

セラピストとしてシニアの皆さまに安心安全と自分らしさを感じていただける場をつくりだすこと、

のみならず仲間との関わりを通して自分自身も成長してゆける場、それがシニアアートセラピー
の現場です。

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そんな素敵な仲間とつくりだした先月の現場。
テーマは「夏祭り、からの祭りうちわ」でした。
仲間で浴衣や法被を着て東京音頭を歌って踊ると一緒に踊りだす方、歌う方、手拍子
される方、じいっと見守ってくださる方・・・場のテンションが上がります。
そんな中で、お祭りのうきうきした気持ちを色に代えて、最終的にうちわに仕上げてゆきます。

水面を泳ぐ金魚が涼しげなうちわ、
故郷の花火を思い出して描いたうちわ、
お友達から「これ使うと良いわよ」と切り絵ももらうも「これちょっと合わないから」と
ご自身のセンスで仕上げられたうちわ
 (実はこの方、普段とてもおとなしい感じの方なのでこの主張に驚きました)、
ご自身が着ているお洋服の色と同じ青をお使いになられたうちわ
 (お伺いしたところ青がお好きなのだそうです)
”泣いている顔”のようなうちわ(いつもはとても朗らかな方なのに涙のうちわ・・・)

・・・等々、ひとつひとつの作品にその方らしさや想いが表れることに毎回新鮮な驚きと
喜びを感じます。







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こんな素敵な現場で次期、10月からサポーターを募集しています。(毎月1回、土曜日のクラスです)

アートセラピーの学びに入られている方、学びを終えた方で、もっと成長したいと思われて
いる方、実践を通して研鑽をつみたい方(本当に、すごく勉強になります)、仲間とのまっすぐな
関わりを通して自分だけではできない何かを体験したい方・・・

現場のサポーターになって、一緒に場をつくりませんか?
(今現在、活動の場を持って無くてもサポーターになることはできます。
 むしろここからがスタートになるかも?)

もう少し詳しく話が聞きたい、ちょっと興味が湧いた、という方はどうぞお気軽に一度ご連絡ください  



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