朝日のまぶしさで目が覚めると彼は寝室にいなかった。
耳をすませるとリビングからギターの音がかすかに聞こえた。
「あ・・・ごめん起こしちゃった?
曲がうかんだから、忘れないうちに書いておこうと思って」
とはにかみながら彼は微笑んだ。
彼の瞳は、朝日をうけてキラキラと輝いていた。
生きとし生けるものの「生」の喜びが彼の魂に宿っているかのように
愛する人を失って、失意のどん底、暗闇の中に一人ぼっちだった私の心に、一筋の淡い光が差し込んできた。
「できあがったばかりなんだけど、曲聴いてみる?
まあ・・・これから何度か手直しが入るけどね
あ・・・そうだ自己紹介遅れたけど、俺は、神崎龍。
リュウでいいから。一応全然売れてないけど、自称アーティスト、これでもCD2枚出しているんだけどね・・・・
いつかは、チャゲ&飛鳥や浜田省吾のようにギター一本、フォークから始めた先輩達のように武道館を満員にするのが夢なんだ
といい終わるや否や彼はギターで曲を弾き始めた。
優しい旋律のアルペジオから始まり、単調な、でも規則正い、そうちょうど秋の海の波が打ち寄せては返すようなメロディー
そして最後は明るいストロークに変わり
徐々にゆったりとした、海に夕日が沈むことを想像させるようなアルペジオに戻り Fin
あまりの美しいいメロディーに気がつけば私はいつも間にか涙していた。
そして知らぬ間にポツリポツリと今回の愛する人との失恋話を昨日会ったばかりの少年に話をしていた。
「私の名は、美咲 美菜穂」
「じゃ・・ミナって呼ぶね・・・」
「ミナ、俺が今の曲に君から聞いた話を混ぜ込んで、究極のLOVE応援ソングを作るから楽しみにしていてね」
と彼は、かるくウィンクをした。
そして、それが、彼を一躍有名にした
「黄昏の街の中で」だった。
失恋し、何もかも失った女性達への応援ソングだった。
オリジナルポエム「黄昏の街の中で」
秋風を受ける波のように
寄せては返す心の痛み
氷のように凍てつく心
誰かが捨てていった空き缶一つ
君は、両翼をもがれた天使のように
小さく海辺でうずくまる。
失くした愛のカケラを一つづつ波に流すように
そして自分の心までも海の泡とともに消し去ろうかとするように・・・
遠いところから流れてきた流木たち
あてどなくただよう海草達
君は涙と悲哀と孤独と絶望で形造った舟で漕ぎ出すのだろか?
あの夏が残した恋の爪あとをオールにして
僕の傍においでよ・・・
傷を癒すことは出来ないけれど・・
せめて一緒に泣いてあげよう
人は哀しみが深いほど
真実の扉が見えてくるから・・・
僕の胸でおやすみよ
偽りの愛に惑わされずに、本当の愛を探しに行こう
心のコンパスが指し示す光を頼りにして・・・
過去の荷物は、海におろせば、波が全てを洗い流してくれるさ
涙で心を洗ったら
街の中へ戻っておいでよ
夏の暑さを残したアスファルトが
心地よい暖かさを残して君のことを待ってるよ
海の夕日は、淋しいけれども
都会の黄昏は明日への扉
君の傷が癒えるまで
僕が傍にいてあげるから・・・
この黄昏の中で
失くした夢や希望が見つかるように
君の心の翼になろう・・・
真実の愛が見つかるまでは・・・・
**********************************
私は、3年前のリュウとの出会いをぼんやりと思い出していた。
淡い間接照明が、シャンパングラスの中の泡を輝かせていた。
その泡をしばらく眺めてから、リュウが言った。
「今度の新曲、事務所が、俺にクリスマスソングを作れってさ
山下達郎さんのクリスマスイブのように毎年売れ続けるような
・・・」
といいうとシャンパンを一気に飲み干した。
「それと同時にCD発売日に握手会とサイン会だってよ
俺はアイドルか?俺は言っていたよな・・・つまらねえ大人にはなりたかねえ・・サラリーマンにはなりたかねえって。
でも事務所に所属し、歌の売れ具合で給料が変わり、上層部の言われたとおりの歌を作り、ヘラヘラと愛想笑いをし、俺の歌を流行歌だというだけで買っていく奴らと握手なんて真っ平だ
ぜ!!どうせ半年もすりゃ飽きちゃうようなファンとも呼べない奴らと・・・・俺は人寄せパンダじゃねえ!!
俺は・・・俺は・・・本当に俺を必要としてくれている、俺の歌にこめた気持ちがわかってくれるクラクション(仲間)達のために歌い続けたいんだ!!」
「結局、俺も今日で20歳。社会からみたら立派は大人だ。事務所から給料をもらい。サラリーマンと何が違うんだろう?」
彼はそういうとソファーの上で両手で足を抱えて頭をうなだれた。
私は、カクテルシェーカーを取り出し、おもむろに、リュウのためにショートカクテルを作るためにシェーカーを振り出し、カクテルグラスを彼の前においた。
「リュウ・・・見て・・・」
***********つづく***********
※この作品は、完全オリジナルフィクションで、写真はあくまでもイメージのために掲載しており、ストーリーとは全く関係ないことをご了承下さい。
耳をすませるとリビングからギターの音がかすかに聞こえた。
「あ・・・ごめん起こしちゃった?
曲がうかんだから、忘れないうちに書いておこうと思って」
とはにかみながら彼は微笑んだ。
彼の瞳は、朝日をうけてキラキラと輝いていた。
生きとし生けるものの「生」の喜びが彼の魂に宿っているかのように
愛する人を失って、失意のどん底、暗闇の中に一人ぼっちだった私の心に、一筋の淡い光が差し込んできた。
「できあがったばかりなんだけど、曲聴いてみる?
まあ・・・これから何度か手直しが入るけどね
あ・・・そうだ自己紹介遅れたけど、俺は、神崎龍。
リュウでいいから。一応全然売れてないけど、自称アーティスト、これでもCD2枚出しているんだけどね・・・・
いつかは、チャゲ&飛鳥や浜田省吾のようにギター一本、フォークから始めた先輩達のように武道館を満員にするのが夢なんだ
といい終わるや否や彼はギターで曲を弾き始めた。
優しい旋律のアルペジオから始まり、単調な、でも規則正い、そうちょうど秋の海の波が打ち寄せては返すようなメロディー
そして最後は明るいストロークに変わり
徐々にゆったりとした、海に夕日が沈むことを想像させるようなアルペジオに戻り Fin
あまりの美しいいメロディーに気がつけば私はいつも間にか涙していた。
そして知らぬ間にポツリポツリと今回の愛する人との失恋話を昨日会ったばかりの少年に話をしていた。
「私の名は、美咲 美菜穂」
「じゃ・・ミナって呼ぶね・・・」
「ミナ、俺が今の曲に君から聞いた話を混ぜ込んで、究極のLOVE応援ソングを作るから楽しみにしていてね」
と彼は、かるくウィンクをした。
そして、それが、彼を一躍有名にした
「黄昏の街の中で」だった。
失恋し、何もかも失った女性達への応援ソングだった。
オリジナルポエム「黄昏の街の中で」
秋風を受ける波のように
寄せては返す心の痛み
氷のように凍てつく心
誰かが捨てていった空き缶一つ
君は、両翼をもがれた天使のように
小さく海辺でうずくまる。
失くした愛のカケラを一つづつ波に流すように
そして自分の心までも海の泡とともに消し去ろうかとするように・・・
遠いところから流れてきた流木たち
あてどなくただよう海草達
君は涙と悲哀と孤独と絶望で形造った舟で漕ぎ出すのだろか?
あの夏が残した恋の爪あとをオールにして
僕の傍においでよ・・・
傷を癒すことは出来ないけれど・・
せめて一緒に泣いてあげよう
人は哀しみが深いほど
真実の扉が見えてくるから・・・
僕の胸でおやすみよ
偽りの愛に惑わされずに、本当の愛を探しに行こう
心のコンパスが指し示す光を頼りにして・・・
過去の荷物は、海におろせば、波が全てを洗い流してくれるさ
涙で心を洗ったら
街の中へ戻っておいでよ
夏の暑さを残したアスファルトが
心地よい暖かさを残して君のことを待ってるよ
海の夕日は、淋しいけれども
都会の黄昏は明日への扉
君の傷が癒えるまで
僕が傍にいてあげるから・・・
この黄昏の中で
失くした夢や希望が見つかるように
君の心の翼になろう・・・
真実の愛が見つかるまでは・・・・
**********************************
私は、3年前のリュウとの出会いをぼんやりと思い出していた。
淡い間接照明が、シャンパングラスの中の泡を輝かせていた。
その泡をしばらく眺めてから、リュウが言った。
「今度の新曲、事務所が、俺にクリスマスソングを作れってさ
山下達郎さんのクリスマスイブのように毎年売れ続けるような
・・・」
といいうとシャンパンを一気に飲み干した。
「それと同時にCD発売日に握手会とサイン会だってよ
俺はアイドルか?俺は言っていたよな・・・つまらねえ大人にはなりたかねえ・・サラリーマンにはなりたかねえって。
でも事務所に所属し、歌の売れ具合で給料が変わり、上層部の言われたとおりの歌を作り、ヘラヘラと愛想笑いをし、俺の歌を流行歌だというだけで買っていく奴らと握手なんて真っ平だ
ぜ!!どうせ半年もすりゃ飽きちゃうようなファンとも呼べない奴らと・・・・俺は人寄せパンダじゃねえ!!
俺は・・・俺は・・・本当に俺を必要としてくれている、俺の歌にこめた気持ちがわかってくれるクラクション(仲間)達のために歌い続けたいんだ!!」
「結局、俺も今日で20歳。社会からみたら立派は大人だ。事務所から給料をもらい。サラリーマンと何が違うんだろう?」
彼はそういうとソファーの上で両手で足を抱えて頭をうなだれた。
私は、カクテルシェーカーを取り出し、おもむろに、リュウのためにショートカクテルを作るためにシェーカーを振り出し、カクテルグラスを彼の前においた。
「リュウ・・・見て・・・」
***********つづく***********
※この作品は、完全オリジナルフィクションで、写真はあくまでもイメージのために掲載しており、ストーリーとは全く関係ないことをご了承下さい。