詩絵里(★シェリー★)の星の囁き達

尾崎詩絵里(★シェリー★)の自作恋愛小説及びポエム、写真専用部屋です。掲載文の引用、転載は固くお断りいたします。

「悪魔に魂を売った女 沙羅」NO.5~「潮騒」続編

2010年12月12日 | 小説「悪魔に魂を売った女 沙羅」
この小説は、オリジナルストーリーで完全なフィクションです。
WEB公開するのを直前までためらった
通常の作者とはかなり異なるタッチの小説になっております。

ご了承の上、お読みください。

前作のシナリオ風小説「潮騒」の続編になります。
「潮騒」をお読みになっていらっしゃらない方は下記からお願いいたします。

http://blog.goo.ne.jp/sherry0324/e/f03e0f2b4a27e49ae5f0485daa09d4a0


「悪魔に魂を売った女 沙羅」第一回目は下記からお願いいたします。

http://blog.goo.ne.jp/sherry0324/e/2894361143b5bb47631d6480c47ce838


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第八章 オレンジ



駿は夢をみていた。そう、一番最初に沙羅と一緒に部室に行ったときの夢を・・・・

駿と沙羅は予備校が一緒だった。大学のキャンパスで沙羅に再会した駿は、お互いにポエムを書くのが趣味だとわかったため、駿の入っていた「夢追い人」というサークルに沙羅を誘った。それは、ポエム、小説、それに対する写真、イラストで同人誌をつくっているサークルだった。
沙羅と駿は、部長である岡田先輩から頼まれた、それぞれの詩を持ち寄ってサークルの部室にやってきた。
そこで岡田先輩から他のメンバーを紹介してもらった。

岡田先輩「こちらが副部長の、佐々木エリカさん 僕と同じく大学4年生文学部 おもに小説が中心だよ。こちらが、イラスト担当の、後藤良哉君 経済学部の3年生だ。
そしてこちらが、写真担当の、上杉信也君 法律学部の3年生
そしてこちらの女性3人組が、小説やポエムを書いている」

春美「うち春野春美よ。よろしく・・・今年は新入部員がはいってくるかどうか心配やったからめっちゃうれしいわ・・私たち3人組は、全員文学部のフランス文学専攻」

夏美「私が夏野夏美・・・・どちらかというと過激なポエムが多いんだけどね(笑)」

冬美「私が冬野冬美・・・・これでも推理小説を書いているのよ・・・」

春美「これで秋野秋美がいれば春夏秋冬だったのにね(笑)」

駿・沙羅「よろしくお願いします。」



(あのときの沙羅の笑顔、沙羅の髪、沙羅の香り・・・・・すべてを思い出し、駿は胸を苦しめられた。
悪魔になっていてもいい・・・・もう一度、沙羅がもし生きているなら会って、詫びたい。
俺は、俺は卑怯な男だ・・・・こんな状態になっても小百合ではなく沙羅のことを考えているなんて・・・

違うずっと卑怯だったんだ・・・・小百合が何度も自殺未遂をして、小百合の両親とうちの両親に攻め立てられて・・・・・そして情にほだされ小百合を選んだんだ・・・

あの時俺は、小百合が好きだと思ったけれどそれは情だったんだ・・・・

沙羅・・・沙羅・・・・生きているなら会いたい・・・・
あってもう一度抱きしめたい)

二人で見た、海に沈む夕日、すべてがオレンジ色に染められて
そしてはじめてのキス・・・・・


「駿・・・・駿」寝ているとふいに小百合に起こされた。「どうした小百合」

「なんか寝言といって苦しそうだったから・・・・それに沙羅・・・沙羅・・・・って」

小百合は、怒るわけでもなく泣くわけでもなくさみしそうな顔でいった。

「馬鹿だな・・・・・死んでしまった人間にまでやきもちやくな・・・」といいながら小百合のおでこをこづいたが内心では(小百合さえいなければ沙羅は死ななかった。今俺の隣で眠っているのは、沙羅だったんだ・・・・・)とだんだん駿の心の中にどす黒いものが膨らんでいった。


ちょうどそんなときだったプルルル 新しい電話に変えたばかりの駿の携帯電話が鳴った。
着信は公衆電話からだった。

どうだい・・・・・小百合君との生活は幸せかい・・・・?もし沙羅が生きていたとしたらどうするかい?
会いたいかい・・・・?それとも会いたくないかい?
まあ・・・・ここでは、答えにくいだろうから、明日の18:00駅前の噴水で会おう・・・・・まあ・・・君さえよければだが・・・私の言葉を信じるか信じないかは君次第だよ・・・・私は、君の顔を知っているからこちらから声をかけよう・・・・ガチャリ」


男の声は、ハンカチで送話口をふさいでいるようなくぐもった声だった。
駿は少しの間、今電話をかけてきた男性の言っていたことを考え迷っていた。
(沙羅が生きているかもしれない????まさか????だめだ!だまされちゃ・・・でももし万が一でも生きているなら会いたい・・・・)

「どうしたの駿?」「いや間違い電話だ・・・・」
というと「ちょっと外の空気を吸ってくる」と言って外に駿はでていった。

駿は、近くの自動販売機でここ数年やめていたタバコを買い、胸の奥まで煙を吸い込んだ。

一人になりたかった。ともかく。学校に行っても、家に帰ってきてもずっと小百合の事で悩まされていた。もうこんな生活うんざりだった。誰かが嫌がらせをしているのだが、その正体がわからなければ反撃にさえ出られない。不気味な男としかわからないのでは、嫌がらせをとめることもできなかった。

(もし、沙羅が生きていたら沙羅に詫びて・・・・小百合と別れられるのか・・・・でももういやだ・・・
こんな生活も、小百合とのぎすぎすした関係も・・・・すべて投げ出して人生をやり直したい)

・・・・そう悪魔は、人間の一番心が弱っている時に、そっとそっと背後から近づき、人間の心の隙間に忍び込み、魂ごと人間悪魔に変えてしまうのであった。


*****つづく*****



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