詩絵里(★シェリー★)の星の囁き達

尾崎詩絵里(★シェリー★)の自作恋愛小説及びポエム、写真専用部屋です。掲載文の引用、転載は固くお断りいたします。

小説「時空恋話~JIKUU-RENWA~No.16

2011年03月10日 | 小説「時空恋話」
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第十六章 紗枝の記憶

「紗枝ちゃん大丈夫?」

宏幸は、紗枝に秘密を話をしたことでほっとしたのか、今までの呼び方紗枝さんが紗枝ちゃんになっていた。

「うん・・・あれは私が7歳の時・・・・私交通事故にあったの・・・・」

「うん・・・」

「それで意識不明の重態になって・・・・そのときだわ・・
ICUで寝たきりの私のそばをちょっとの間両親が離れたのね・・・
もう今夜が山場だと言われていたので親戚に連絡をしにいったの・・・
もちろん後から聞いた話だけど・・
そのときに一瞬まぶしい光が見えて・・・・・
誰もいないはずの病室に二人の人間が立っていたの。」
「うん・・・それで?」

宏幸はなぜ急に紗枝が小さい時の話を始めたのか全く理解できなかったが、今は話を中断しないほうがいいような気がしていた。

「それでその人たちが言うの・・・・
『君はかわいそうだけどもう助からない。本来ならば死んでいくんだ』って
『でもここで君にこうやってであったのも何かの縁だね・・・私たちが君の命を助けてあげよう。でもこの話は誰にも話をしてはならない。君は本当なら、今日死に行く運命だったんだだから』 って
そう言うと、私の腕に一本の注射をしたの。
すると不思議なことに、さっきまで、痛くて、全く動かなかった体が動くようになったの。
『君は、本当は死に行く運命だった。私たちが今したことは運命を変えてしまったことなるんだ。君は本当なら未来を生きていけない人間なんだ。
それを覚えていて欲しい。もしかするとこの先君の運命においてなにか時空のゆがみが原因で不思議なことがおきるかもしれない。
それに結婚するときは気をつけて。君が負うべきだった運命が家族にふりかかる可能性もある。そして二つお願いがある

このことを公言しないで欲しい。といっても公言したところで誰も信じられないし、今の科学、医学では解明できないであろう・・・・
それと、世の中を変えるようなことをしないで欲しい。君が生きているだけで少なくとも未来が少し変わってゆく。それ以上に日本に、世界に影響を及ぼすと未来から君に対して殺人者が送り込まれてきて未来がややこしくなるからね』って」
「そうなんだよ・・・説明をすると複雑なんだけど・・・僕たちのミッションに過去に殺された人を助けるっていう役目もあるんだ。なぜならその人は未来にとってすごく大切な発明や政治を変える力を持っていた人たちだったから。でも、そのことを良しと思わない輩がもっと未来からその偉人達を殺しにくる。そこでまた僕たちの時代の・・・・・・
結局いたちごっこになっているんだけど・・・昔の戦国武将なんて本当は何度も暗殺されて死にかけて生き返っているんだ・・・

それより

もしかして君があったのは・・・まさか・・・白髪の髪の短い男性とショートカットの女性じゃ・・・・」
宏幸の心臓が早鐘を打ち始めた。

「そう・・・よ・・・・・・沢田さんとおっしゃってたわ・・・どうしてもお礼が言いたくてお名前をお聞きしたの」

「!!!!」

宏幸は一瞬の沈黙の後に静かに泣き出した。

「両親だ・・・僕の・・僕の両親は、医者だったんだ・・・・。そしてその時空移動マシーンの開発者だった。」
「・・・・・・・・信じるわ。あなたの言うことを・・・・
そしてあなたなら私の経験・・・を信じてもらえる
たった一人の運命の人・・・・・」
「信じるよ。もちろん・・・・・」

宏幸は、小刻みに震えている紗枝の手をとった。

「でも僕には調査をやりとげたら未来に戻らなくてはならない使命がある・」
「いや・・・離れたくない・・・別れたくない・・・・
せっかく気持ちが・・気持ちが一緒だってわかったんだよ・・・運命の人かどうかなんてどっちでももういい・・・私は宏幸さんが好きなの」

「紗枝ちゃん聞いて欲しい・・・僕と君とは運命が違うんだ・・・本当は出会ってはいけなかった人間同士なんだ・・・・」
「未来の事はよくわからないけど・・・未来でも恋とか恋愛感情はあるんでしょう」
「もちろんだ・・・人を愛する気持ちが、文化を人生を、生活をよりよくしていく・・」
「ならわかって・・・」

紗枝の愛くるしい瞳は涙でいっぱいになった。

「ごめん・・・・無理だ・・・・僕には帰るべき未来がある・・君のことは、一生忘れないよ」
「・・・・・・また、以前のようにあなたのことは夢だと思わされるのね」
「もしくは記憶抹消・・・君の記憶の中から僕だけが消える」
「そんなこと無理よ・・・私は絶対に覚えている・・・・」
「紗枝ちゃん、もうさよならまでにあまり時間がない。僕はそれまでにたくさん君と思い出が欲しい。」
「そして私には・・・消えるべき記憶が増えるのね・・・・」
「紗枝・・・」

宏幸はふいに立ち上がり座っているさえを自分を抱きしめた。
紗枝はその腕の中で次から次へと頬を伝う涙を抑えられなかった。

「紗枝・・・・僕も心から君が好きだ・・・君と一緒にいたい気持ちは一緒だ・
でもしょせん僕は期限付きでこの現代にきている人間だから・・・このまま隠れて君と一緒にいても未来から追っ手がくる。君を危険なことに巻き込みたくない。
僕はどちらにしても強制連行されるか抹殺される。」
「未来人だからってそんなに人の命を簡単に粗末に扱うなんて」
「規則なんだよ・・・規則は守るべきものだ・・守らなければならない」
「私はあなたをあきらめきれない」
「紗枝・・・僕だって胸がはりさけそうだよ・・・」

二人はお互いの思いをぶつけあい、さらに強く抱きしめあった。



そして自然に二人の唇は触れ合っていた。


第十七章「旅立ちの日」はこちらから
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