環境未来都市の計画をみていると、「ライフスタイル革新」という言葉がでてくる。その内容は、住宅用太陽光発電の普及に伴う発電量の見える化と節電行動のナビゲーションをさしている。
ただ、これは日常生活におけるエネルギー消費行動の改善努力を求めるもので、抜本的という意味での「ライフスタイル革新」にはなっていない。生活様式自体はなんら変わらないからだ。
「ライフスタ . . . 本文を読む
様々な環境イノベーションの普及について、データや知見をまとめたり、普及要因等を抽出する作業をしたいと考えている。住宅用太陽光発電については、自分の博士論文のテーマとして、分析をしたところである。次は、パッシブソーラーを含めて太陽熱利用の普及も研究する予定である。
また、HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)についても、国や地方公共団体による補助金等が設置され、 . . . 本文を読む
■環境イノベーションに関する2つ定義
アジア太平洋地域の非公式の環境大臣会合である「エコ・アジア」では、アジア太平洋地域における環境協力と持続可能な開発の実現に貢献することを目的とし、「アジア太平洋環境イノベーション戦略プロジェクト(APEIS:The Asia–Pacific Environmental Innovation Strategy Project)」を進 . . . 本文を読む
荒川区のエコセンターに出向き、エコポイントの検討会で話をさせてもらった。
同区では、低炭素都市づくりのための重点施策の1つとして、エコポイント事業を示している。しかし、カードの導入等では初期投資が必要であり、それに見合う効果を疑問視する声もあるようだ。
そこで、私は、3つの点を強調して話をさせてもらった。
1つめは、エコポイント . . . 本文を読む
オピニオンリーダーは、パーソナルなコミュニケーションにおいて、態度の改変等の影響を与える人のことをいう。
このオピニオンリーダーは、そうでない人よりも積極的に情報を入手し、それを他者に伝え、影響を与えるという「情報の2段階の流れ」という仮説がある(E.カッツ、ラザースフェルド)。
さて、環境配慮の普及において、オピニオンリーダーはどのように存在し、オピニオンリーダーはどのようなメディアか . . . 本文を読む
普及に係る既往研究(文末参考文献参照)をもとに、地球温暖化防止に係る普及啓発に関して、得られる示唆を整理する。
①イノベーション自体の普及しやすさを高める
普及を図るイノベーションには、普及しやすいものと普及しにくいものがある。Rogersが示すように、有用であり、環境面の効果だけでなく、経済面のメリットもあり、わかりやすいもの、試してみれるもの、効果が目に見えるものなどが、普及しやすい。
. . . 本文を読む
青池愼一先生の「イノベーション普及過程論」(慶應義塾大学出版会、2007年7月)を読んだ。Rogersをはじめとするイノベーションの普及に係る研究を、体系的にレビューしている。
ここでは、青池先生の本から、イノベーションの決定過程におけるコミュニケーション・チャネルについて、要点をお借りし、それを環境配慮に応用する可能性をメモとしておく。
以下、「」内は青池先生の本の引用」
Roge . . . 本文を読む
青池愼一先生の「イノベーション普及過程論」(慶應義塾大学出版会、2007年7月)を読んだ。Rogersをはじめとするイノベーションの普及に係る研究を、体系的にレビューしている。
私は、かねてより、イノベーション普及学を環境配慮の普及に応用することが有効だろうと考えている。Rogersの本は持っているが、それが以外の論文をきちんと読んだわけではないため、青池先生の本は大変、参考になった。
. . . 本文を読む
写真:浜松駅前のイルミネーション
エコポイントによる省エネ家電製品の普及が進められている。
グリーン家電エコポイント事務局が、平成21年11月13日に公表した資料によると、
7~10月の申請件数は3,772,189件(個人申請)と報告されている。
電子情報技術産業協会(JEITA)によれば、2009年10月の民生用電子機器の国内出荷金額は、前年同月比14.9%増の2596億円であり、3カ月 . . . 本文を読む
写真:エキナセアとアガパンサス
■チェンジ・エージェントの役割と秘訣
ロジャースの普及理論では、チェンジ・エージェントについても、示唆深い知見を記している。以下に抜粋する。
ここでチェンジ・エージェントは、普及対象者のイノベーションの採用決定を促す役割をもつ個人のことをいう。
・チェンジ・エージェントは、2つの問題に直面する。1つめは、彼らの社会的境界性という問題である。これは、彼らが普 . . . 本文を読む
写真:ヒマラヤタンポポ
ロジャースによれば、普及速度は、5つのイノベーション属性に規定されるという。これを、環境イノベーションへの当てはめてみよう
1.相対的有利性
・イノベーションを利点があるものと知覚する程度。利点とは、
経済的観点、社会的威信、便益性、主観的な満足等。
・相対的有利性が高いほど、普及が速い。
●環境配慮による環境改善効果が大きい場合は普及しやすい。
2 . . . 本文を読む
写真:キバナコスモス
環境配慮行動や、環境配慮商品の購入はできるだけ多くの市民が取り組む必要がある。
しかし、実際にはおおよそ10数%の人たちが採用しているだけの取り組みが多く、ロジャーズの普及理論で言う「マジョリティ」にまで普及できていないのが現状である。
これは、キャズム理論における初期市場はほぼ普及し終わったが、キャズムに陥りメインストリーム市場に入ることができない状況である。
キ . . . 本文を読む
地域づくりを考える上で重要なことは、地域を活性化させる事業を成功させ、生産額を高め、雇用創出を図ることだけではない。そうした目先の成果ではなく、それを支える地域力を高めることが大切である。
地域力とは、地域を活性化させる事業を生み出すインフラであり、地域づくりの波及や連鎖をダイナミックに生み出す潜在的なものである。
地域力が高い状態とは、次のような側面で整理できる。
①各主体が関心 . . . 本文を読む
写真:エキナセア(庭咲き)
環境配慮の普及は、主体の能動性の観点から、3つのステージで捉えることができる。
■第1ステージ 受動的
第1ステージは、受動的な環境配慮商品の購入(行動の採用)段階である。例えば、環境配慮商品の購入でいえば、詰替容器入り洗剤・シャンプーや省エネ家電製品などの購入は負担が少ない。
これらは、環境配慮意識に関わらず購入をせざるを得ない商品であるが、新規商 . . . 本文を読む
普及の時系列的な過程を研究する研究の対象は、大きく、次のように分類される。
(1)普及の社会過程(集団間過程)
(2)普及の個人間過程、個人過程
(3)普及の供給側の過程
ここでは、(2)について、基本的な理論を説明する。
①フェスティンガーの認知的不協和理論
アメリカの心理学者であるレオン・フェスティンガー(1919-1989)が提唱したのが認知的不協和理論である。自らの行動を肯 . . . 本文を読む