武蔵野大学環境研究所の紀要に下記の原稿が掲載されました。
「政策と連動する気候変動教育の実践と評価:「気候変動のおかやま学」実践塾のケース」
次のような内容です。
(1)本研究の目的
筆者が首謀し、2021年度に岡山市の事業として実施した「気候変動のおかやま学」実践塾(以下、おかやま実践塾)について、気候変動教育のあるべき要件を満たすどうかを評価し、今後の改良点などを検討することを目的と . . . 本文を読む
気候変動に対する緩和策と適応策
気候変動対策には、緩和策と適応策という2つの対策がある。
緩和策とは、大気中の温室効果ガスの濃度上昇を抑制し、安定化させるための対策である。石油資源の消費抑制のための省エネルギー、再生可能エネルギーの導入、森林整備による二酸化炭素吸収等が緩和策である。緩和策の到達目標がカーボンゼロであり、地球上の温度上昇をどの範囲まで許容するかによって、これからの排出枠(カーボ . . . 本文を読む
多くの主体がカーボンゼロ社会(及び気候変動適応社会)を学び、考え、動きだすような大きな仕組みづくりが必要です。この大きな仕組みの一部として、また中核となるように、岡山市内の企業・市民活動・行政における各分野において、カーボンゼロ社会(及び気候変動適応社会)を担うフロントランナーの人材育成を行なうことを目的とした実践塾を始めます。
実践塾参加者にとっては、異なる立場の参加者とともに将来ビジョンを考 . . . 本文を読む
気候変動(地球温暖化)の非常事態、カーボンゼロ社会を目指すというが、市民はそれほど本気になっていない。
その前提となる理由(原因ではなく)は何か。市民はどのような考え方でいるのだろうか。
例えば、次の前提があると考えられる。こうした前提は正しいのか、変えられるのか、変える必要があるのか、どうしたら変わるのか。
自分の考えにもっとも当てはまるものを選び、相互批判をしあう対話は効果があるだろうか . . . 本文を読む
2020年度に設置・開催してきた「地域の主体による持続可能なカーボンゼロ社会の選択に向けた研究会」(主宰:白井信雄 山陽学園大学 地域マネジメント学部 教授)では、岡山県岡山市をケースとして、次の検討を行ないました。
1.省エネルギー技術と再生可能エネルギーの導入といった「技術対策」によってカーボンゼロを実現する可能性の試算
2.価値観や生活様式、社会や地域の構造の転換といった「根本対策」も . . . 本文を読む
はじめに
気候変動(地球温暖化)の問題は、不特定多数を発生源とする問題であるため、不特定多数の意識・行動変容を促す普及啓発手法が重要である。このため、社会心理学や行動経済学に基づく普及啓発施策が実践され、気候変動の問題への関心づけや100人の最初の1歩を促す段階において、成果を得てきた。
例えば、2010年にマイナス6%削減を目指した国民運動では、クールビズの普及に成功した。その後 . . . 本文を読む
地球温暖化対策計画(2016)において「環境・経済・社会の統合的発展」、さらに長期低炭素ビジョン(2017)においては「環境と経済社会の同時解決」という方針が強調された。脱炭素に向けた取組は、人口減少・低成長時代における社会経済問題を解決するチャンスとだと位置づけられている。
こうした統合的発展や同時解決という点を加味した脱炭素社会の方向性を表に示す。
表では、筆者が持続可能 . . . 本文を読む
温室効果ガスの排出量は、省エネや再エネ導入といった削減努力だけでなく、人口や経済活動の量、産業構造の変化によって規定される。次のように中間項の分解を行なって、各要因の増減を見ることができる。右辺の第1項は炭素密度、第2項はエネルギー原単位である。
二酸化炭素排出量=
二酸化炭素排出量/エネルギー消費量 × エネルギー . . . 本文を読む
「私たちは気候変動時代をどう生きるか」セミナー&シンポジウム(構想案)
発案者:白井信雄(山陽学園大学 地域マネジメント学部 教授)
1.開催趣旨
●異常気象は気候変動と関連する
近年、猛暑や豪雨といった異常気象が頻繁となり、甚大な気象災害がどこでも起こり得ることを覚悟しなければいけない状況となっている。異常気象は人類の活動を原因と . . . 本文を読む
低炭素社会の定義について、検索した結果をまとめてみました。
低炭素であることは共通しますが、それとどのような側面を両立させていくか、構造やシステム・ライフスタイルの変革を求めるか求めないか、などが価値規範の置き方によって異なることがわかります。
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ウキペディア
低炭素社会(ていたんそしゃかい、low-carbon society)とは、二酸化炭素の排 . . . 本文を読む
2015年度より、再生可能エネルギーの導入による地域社会の構造的再生(変革)の目標として、5つの目標側面を設定し、全国8か所の先進地域でのアクターへのインタビュー調査を行ってきた。これにより、5つの目標側面に対応する具体的な取組を抽出し、5つの目標側面を実現するアジェンダを具体化した。
現段階でまとめている5つの目標側面での、合計15のアジェンダを示す(今後、さらに改訂する可能性あり)。
8か . . . 本文を読む
再生可能エネルギーと生活者はどのように関わることができるか。その多様な選択肢を解説する、これまでにない本です。
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第1章 再生可能エネルギーと電力の基本を知る 基礎知識編 1 エネルギーとは何か? ~その源を探る~ 2 再生可能エネルギーを定義する 3 再生可能エネルギーの強みを生かす 4 日本が抱えるエネルギー事情 歴 . . . 本文を読む
京都議定書目標達成計画の進捗状況(平成25年4月5日)を見直してみた。
これまで、日本は地球温暖化防止のための温室効果ガスの排出削減対策(低炭素施策)として、何をどのように実施し、どれだけの効果を得てきたのか(得てこなかったのか)。
これまで実施されてきた施策のメニューは多いが、特に削減効果がはっきしており、大きな効果をあげてきた対策はいくつかに絞ることが . . . 本文を読む
これまで、日本では、国と地域を独占する電力あるいはガス会社が一体となり、社会経済の安定のためにかかせないものとして、エネルギーの供給を行ってきた。生活者にとって、ネルギーは与えられるものであり、自分たちが選択したり、自分たちで電気をつくるというような発想は持ちえないものであった。しかし、時代は変わりつつある。
生活者が主体となった再生可能エネルギーの導入を考える際に、よく参考にされる国 . . . 本文を読む
居場所を変えることもパッシブなエネルギー利用
パッシブなエネルギー利用は、家の中に届く自然の風や光、熱を受け身で移動することだけではない。自分の居場所を変えて、自然エネルギーを利用することもパッシブなエネルギー利用である。
例えば、わが妻が行っている小さな工夫だが、夏と冬で過ごす部屋を変えたりすることも自然エネルギーの利用である。夏は2階の部屋が暑くなるので、できるだ . . . 本文を読む