2022年度に、武蔵野大学しあわせ研究所の研究予算を使い、地域におけるゼロカーボンや気候変動適応、SDGsへの取組を進めるための統合転換を担う人と組織に関する研究を行いました。その概要をここに報告しておきます。
1.研究の背景
気候変動による非常事態が露わになるなか、ゼロカーボンに向けた緩和策(温室効果ガスの排出削減)の加速化と、緩和策の最大限の実施でも避けられない気候変動の影響に対する適応 . . . 本文を読む
地方自治体における環境基本計画は、大気・水質の保全や化学物質対策、地球温暖化、廃棄物・リサイクル、生物多様性等の環境政策を統合し、全体の基本方針や施策方向を定める総合的な計画である。この計画の動きをみることで、地方自治体における環境政策の中心課題の変遷、新規課題の動向をみることができる。
さて、環境省の調査によれば、2013年度時点で、都道府県及び政令指定都市の100%、市区 . . . 本文を読む
人口減少が進むなか、地域間交流の促すことが重要な地域戦略となっている。しかし、交流による地域影響は必ずしもプラス面だけではない。
過去の研究では、交流の活発化に伴うマイナス面も指摘されている。交流の成果を実りあるものとするための地域戦略を考えていく必要がある。
●交流の影響の両面性
例)交流により全般的に生活環境がよくなったという評価が多いが、一方でごみや汚水の問題、人や車による山林や水辺 . . . 本文を読む
ライフサイクル全体の改善を図る際、表には見えない部分で発生している環境負荷を明らかにして、その改善を考えなければならない。この見えない部分を明らかにするために、「エコロジカル・フットプリント」、「エコスペース」、「地表面集約度」、「エコロジカル・リュックサック」、「隠れたフロー」、「フードマイレージ」等の指標が提起されている。
なお、時代を少しさかのぼると、E.P.オダムが著書「基礎生態学」( . . . 本文を読む
地方自治体における環境政策は、里山等の身近な緑の保全・活用、廃棄物の処理・処分等が優先されがちであり、温暖化防止というトップダウン的テーマの優先順位は相対的に低い。自治体がとるべき温暖化防止戦略について、地域づくりにとっても得になる両立的、能動的な側面の捉え方を記述する。 . . . 本文を読む
「循環・共生圏」は、耳慣れない言葉である。環境庁委託調査の報告書の中に、この言葉を用いた例があったと記憶するが、公式文書、学会論文での使用例はないだろう。しかし、弊社では、これに関連したいくつかの調査を受託している。その成果を活かして、「循環・共生圏」に係る議論の整理と若干の提案を試みたい。
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コモンズという古くて新しいテーマを取り上げ、過剰利用と利用放棄という2つの「コモンズの悲劇」について、その成立条件(あるいは回避条件)の考察を行う。次いで、持続可能システムとして、コモンズを見直し、それを再生する方策を提案する。
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市民は、環境問題の加害者、あるいは被害者であり、さらには環境問題の解決のための啓発・活動主体である。こうした様々な利害側面において、市民は環境行政への参加の度合いを強め、担い手となっていく必要がある。
しかし、一口に市民参加といっても、市民主導性の程度において、様々な段階がある。このことを、米国の社会学者であるアースタインが「参加の梯子」という考え方で整理している。行政計画のパブリックコメント、あるいは有識者で構成される委員会への市民参加等は、アースタインがいう「形式的な意見聴取」に留まる場合が多く、真に市民の声を反映したり、市民の力を活かすことにはならない。より市民主導性の高い参加型環境政策を進めていく必要がある。
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