1.「気候変動の地元学」とは
2013年から、「気候変動の地元学」を全国各地に提案し、実践をしてきた。「気候変動の地元学」とは、「地域住民等が、地域における気候変動の影響事例調べを行い、それらを共有し、影響に対する具体的な適応策を話し合うことで、気候変動問題を地域の課題あるいは自分の課題として捉え、適応策への行動意図と能力(具体的な備えや知識)の形成を図り、適切な適応策の実施につなげる環境学習 . . . 本文を読む
気候変動(地球温暖化)が進行する中、温室効果ガスの排出削減を図る緩和策の最大限の実施ととともに、適応策の検討が活発化してきた。国内においては、環境省の「第四次環境基本計画」(2012年)に適応策が記述され、2015年11月には「気候変動の影響への適応計画」が閣議決定、2018年12日には「気候変動適応法」が施行され、地方公共団体における地域の気候変動適応計画の策定が進められてきた。
地域の適 . . . 本文を読む
「気候変動の地元学」は、市民参加型の気候変動の影響調べにおいて、市民学習をさらに促せないか、また学習した市民を主役として気候変動適応策の検討ができないだろうかという観点で、考案し、試行してきたボトムアップによる気候変動適応策の検討手法である。
1.「気候変動の地元学」とは
各地域において、適応策を計画に記述する動きが活発化しているものの、その多くは適応策に相当する関連施策を . . . 本文を読む
環境新聞「地域の教育・研究機関と持続可能な地域づくり」第18回目より転載
気候変動適応研究における市田柿との出会い
気候変動の悪影響が顕在化する中で、緩和策(温室効果ガスの排出削減)では避けられない気候変動の影響に対する適応策の検討が進められている。これまで適応策の検討は、気候変動の地域への影響の将来予測という“専門知”を起点とするトップダウン・ . . . 本文を読む
2019年8月20日開催したシンポジウムの報告です(環境新聞より転載)
西日本豪雨から1年を経て
平成30年7月豪雨(西日本豪雨)は、九州から中国、四国、近畿、中部といった広範囲に、深刻な水土砂災害の被害をもたらした。気象庁は、梅雨前線の停滞による異常気象であるが、地球温暖化に伴う水蒸気量の増加が影響していると見解を示した。未だ復興が完了したとは言えず、被災された方々にお見舞 . . . 本文を読む
【背景と概要】
「第二次環境基本計画」(2000年)では、第一の道(これまでの大量生産、大量消費、大量廃棄の生産と消費のパターンを今後とも続けていく道)、第二の道(現在の社会のあり方を否定し、人間活動が環境に大きな影響を与えていなかった時代の社会経済に回帰する道)に対して、第三の道(これまでの生産と消費のパターンを見直し、これを持続可能なものに変えていく道)の必要性を提示した。しかし、2000年 . . . 本文を読む
2017年も、気候変動適応策の研究として、地域における気候変動適応策のアクションリサーチを実施しました。以下に報告します。
気候変動の将来影響の予測に不確実性があるなかでの管理手法として「順応型管理」の方法を気候変動適応分野に当てはめて、理論化・具体化する研究の成果を論文(日本計画行政学会)にまとめ、農村計画学会や環境情報科学の機関誌でも順応型管理を紹介する寄稿をさせていただきました。 . . . 本文を読む
地球温暖化対策地方公共団体実行計画(区域施策編)のガイドラインが作成され、都道府県・政令指定都市において、2030年に向けた緩和策(温室効果ガスの排出削減)の計画が求められている。それとともに、同実行計画に適応策の計画を含めることが促されている。
いくつかの地方自治体からアドバイスを求められる機会があった。その際に個別に申し上げたことを踏まえ、私のアドバイスを5点にまとめておく。もちろん、地 . . . 本文を読む
1.はじめに
気候変動政策においては、緩和策に重点があったが、気候変動の悪影響が顕在化する中で適応策が注目されてきた。従来の大気汚染等の環境問題においても、環境問題の原因となる環境負荷の削減という緩和策のみならず、環境悪化の影響から身を守る適応策はとられていたのであるが、緩和策に加えて、適応策が強調されることはなかった。それだけ、気候変動の問題への緩和策は実行が難し . . . 本文を読む
水・土砂災害や熱中症対策、農業の被害等、気候変動のマイナスの影響への対策を強化したり、長期的に備えることが「適応策」である。
しかし、「適応策」には、気候変動のマイナスの影響を回避するだけではなく、プラスの側面を活かすという側面がある。また、「適応策」を通じて地域再生を図ろうという動きもみられる。
気候変動を追い風にする研究開発の動き
気候変動(地球温暖化)による気温上 . . . 本文を読む
2015年度は、「気候変動の地元学」を、全国各地で実施させていただいた。地球温暖化防止活動推進センターの職員研修としては、宮崎県を皮切りに、愛知県、沖縄県、鳥取県、川崎市で実施した。また、近畿地方環境事務所の予算により、大津市、宝塚市、丹波地域(丹波市と篠山市)で実施した。
今年度は、2回に分けて実施する方法とした。1回目は気候変動の影響や適応策に関する知見や政策動向、考え方 . . . 本文を読む
気候変動の適応策の理解においては、「気候変動により社会が受ける影響は,気候外力と抵抗力(レジリエンス:適応能力と感受性)の関係性によって決まる」という基本理解が重要である(図1参照)。緩和策は気候外力の上昇を抑制するものであり、適応策は抵抗力を改善するものであり、どちらも気候変動の影響の抑制を目的とするが、改善対象となる要因が異なる。
抵抗力にも適応能力と感受性の要因があり、 . . . 本文を読む
中国四国地方環境事務所主催の気候変動適応研修会が高松であり、講演者として参加してきた。その際、デング熱の話を聞くことができた。感染症研究所の津田先生が、昨年、代々木公園での感染が問題になったが、その後の顛末や取るべき対策を具体的に説明された。
講演では、感染を媒介するシマダラカのことを理解し、平時におけるシマダラカの防除対策の必要性と方法が、科学的知見をもとに説明された。
. . . 本文を読む
気候変動適応策に関する研究プロジェクトを5年間、担当し、気候変動適応について、人によって、捉え方が違うことを知る機会が多く、あった。
適応策について、基本的考え方や理論的枠組みの設定を行う研究をしていた立場からいえば、「適応策は知られていないだけでなく、誤解して捉えられることが多い」と言いたくなる。
ただし、適応策が(私からみれば)誤解されている理由は、適応策を . . . 本文を読む
従来、日本の気候変動政策は、1998年に制定された「地球温暖化対策の推進に関する法律」に代表されるように緩和策に重点があったが、気候変動の悪影響が顕在化する中で適応策に注目が集まりつつある。
気候変動への適応策は、確実性の高い現在・短期的な影響への対応と、影響の程度や発生時期の予測に不確実性を伴う中・長期的影響への対応に分けられる。前者への対応は適応策と位置付けら . . . 本文を読む