(1)関連研究の動向
日本の民家の分布圏については、杉本尚次が、1969年に明らかにしたものがある。これは、民間を主屋、付属建物、屋敷林等の構成要素に分解し、各要素の自然あるいは生活様式との関係等に留意しながら、整理している。
さらに、藤島亥治郎は、1981年に、家居の系譜や住の源流について、生活機能が全て主屋一棟に集まった単棟型と、居住棟と炊事棟が別棟になった分棟型の2つのタイプについて . . . 本文を読む
(1)関連研究の動向
動物地理学は、ヨーロッパで1850年頃に生物相の境界線が唱えられるようになり始まった。日本では1880年に、北海道と本州の間で生物相が異なるというブラキストン線が提唱され始めた。これを皮切りに、渡瀬線、八田線、蜂須賀線、三宅線等が提唱されるようになった。しかし、1950年代には八田線をゆるがす発見もされており、現在特に注目されているのは、ブラキストン線と渡瀬線の2種類に留 . . . 本文を読む
1.関連研究の動向
20世紀初頭、フランスの言語学者J.ジリエロンが、地理言語学を打ち立てている。
日本では、柳田国男の『蝸牛考』(1927)が日本人による地理言語学の最初の著作とされている。
また、1953年に発表された東条操の方言区画図は、音韻・アクセント・文法等の言語の各分野を総合的に把握し、日本全土にわたる方言の分類を試みたものとして有名である。
さらに、1960年代には国 . . . 本文を読む
1.関連研究の動向
木地屋とは、山深い人里離れた場所に住み、椀・盆等の木地製品を製作しながら絶えず移動していく人々の総称であり、全国の各地に散在していた。
最初に木地屋集落を構成する木地屋の研究に着手したのは、明治時代後半に椎茸栽培や木炭焼製の技術等の山林副産の指導に従事していた田中長嶺であった。田中は、各地の山村を奔走している時に、木地屋の存在を知り、1900年にその概要をまとめている。 . . . 本文を読む
1.関連研究の動向
●民俗学における漁労社会の把握
わが国における漁民とその社会に関する研究は、1930年代から1940年代にかけて、組織的にその姿を整えている。この時期は動力船の普及と遠洋漁業への進出、水産加工技術並びに漁獲物の運輸技術等に著しい進展のみられた時期であり、多くの沿岸漁村において近世以来の伝統的生産構造や生活構造が急速に変貌を遂げようとしていた時期であった。
全国の漁村で . . . 本文を読む
環境省が試案として取りまとめた「生物多様性保全のための国土区分」では、日本の国土を地理的、生物的観点から、10地域に区分している。10地域とは、①北海道東部、②北海道西部、③本州中北部太平洋側、④本州中北部日本海側、⑤北陸・山陰、⑥本州中部太平洋側、⑦瀬戸内海周辺、⑧紀伊半島・四国・九州、⑨琉球列島、⑩小笠原諸島である。島嶼における地理的隔離と、動物地理区の境界線の他は、植生に大きく影響を及ぼす . . . 本文を読む
1.関連研究の動向
食に関わる問題は複雑で、味覚の嗜好、年間暦と食材の季節的な入手可能性、階級差、健康信仰、栄養の民俗概念、他文化の影響と食の変化、地域の集団組織と人間関係、自給自足率等の数限りない要因が関与する現象である。したがって、食文化に対する研究は、個別専門科学的研究、総合的研究等の様々な視点から行われている。
初期における食文化の研究では、19世紀の文化人類学において、食のタブーや . . . 本文を読む