環境新聞で5月より、連載「リスク社会と地域づくり」の2回目より転載(図は変更)
近年のパンデミック
パンデミックとは、地理的に広い範囲の感染流行、あるいは非常に多くの数の感染者や患者を発生する流行を意味する。2020年から私たちを苦しめてきた新型コロナによる累積死亡者数は600万人超。2000年以降に限ってみれば、SARS、MERS、エボラ、デング熱といったパンデミックが起こ . . . 本文を読む
環境新聞で5月より、連載「リスク社会と地域づくり」の1回目
大地震、豪雨・台風、パンデミック
日本は地震大国と言われる。阪神・淡路大震災(1995年)、東日本大震災(2011年)ではともに最大震度7を観測した。新潟中越地震(2004年)、能登半島地震(2007年)、熊本地震(2016年)等も地域に甚大な被害をもたらした。
豪雨や台風による水・土砂災害も頻繁にある。近年でい . . . 本文を読む
2020年後期の吉備創世カレッジ(2020年10月16日18:30~20:00)において、「リスク社会を生きる~新型コロナ、異常気象(気候変動)」と題した講演をさせていただいた。内容を報告しておく。
1.リスクとは何か
・リスクとは、危険性、すなわち将来、何か悪い事が起こる可能性のこと。リスクを評価する場合、不確実性×影響の度合いで評価する。
・リスクを発生構造を . . . 本文を読む
西日本豪雨により被災をされた方々に、心よりお見舞いを申しあげます。そして、今後のいち早い復旧・復興をお祈り申し上げます。
私自身は、復旧・復興に直接役立つ専門もなく、岡山に移住してきたばかりで直接的な強い関わりがない中、まずは情報整理だけでも行うことにしました。
また、気候変動適応策(二酸化炭素の排出削減を最大限に行うとともにそれでも避けられない影響への対策)の研究に参加してきた立場として、気 . . . 本文を読む
阪神大震災、中越大地震、そして東日本大震災といった自然災害の経験を経て、環境政策は自然災害リスクへの対応と.の統合という側面にも踏み出してきている。
環境問題における発生源の不特定多数化、グローバル化が進行してきている今日、環境配慮は自分以外の他者(将来世代、他地域、他生物等)へのつけ回しを改善する利他的な側面が強くなっている。一方、自然災害や原発事故による放射能汚染等のリスク問題は、 . . . 本文を読む
ウルリヒ・ベッグは、「危険社会」(1986)において、「社会がリスクの根源を外部に求めることができなくなっており、自らの在り方と対峙せざるを得なくなっている」とし、「現代社会はリスクそのものである」と記述している。
直感的に同感する人は多いだろう。筆者もその一人であるが、このことの意味を再考してみよう。まず、現代社会が掲げているリスクにはどのようなものがあるだろうか。ここでは、災 . . . 本文を読む
1.はじめに
気候変動(地球温暖化)の影響は、地球規模で発生することから、自らの居住する地域あるいは生活者自身の問題として捉えにくい。このため、廃棄物問題への取組みや身近な環境保全等と比較して、気候変動は地域の取組課題となりにくく、地域住民の主体的な取組みを引き出しにくい面がある。
しかし、気象庁(2012年)1)が指摘しているように、日本国内の1990年代 . . . 本文を読む
私たちの現在の暮らしは、巨大かつ複雑で、連鎖関係が強いシステムに、過度に依存して、成り立っている。このため、豪雨や地震等の強い外力が働き、システムの一部に障害が生じると、私たちの暮らしは停止状態となる(過度なシステム依存の問題)。そして、1つのシステムの障害が他のシステムの障害に連鎖的に波及し、被害が増幅する(複合リスクの増幅問題)。
こうした問題を実感する機会が増えている。 . . . 本文を読む
政策的な議論をする場合、インフラストラクチャーに相当する日本語は、国土基盤あるいは社会資本であろう。私の記憶によれば、国土基盤は旧国土庁の用語で、社会資本は旧経済企画庁の用語である。両方とも、道路・橋梁・空港・港湾等の交通基盤、公園・緑地、医療・福祉・教育施設、情報通信等を指すが、国土基盤の方が民間住宅を含める分だけ、社会資本より広い範囲を対象にしていたと思う。ここでは、用語の厳密な定義は別の機 . . . 本文を読む
自民党が、昨年作成していた国土強靱化基本法案を見てみた。
次の3つの基本方針が示されて、それに対応して基本施策が列挙されている。
1.経済等における過度の効率性の追求の結果としての一極集中、国土の脆弱性の是正
2.地域間交流・連携の促進、特性を生かした地域振興、地域社会の活性化、定住の促進
3.大規模災害の未然防止、発生時の被害拡大の防止、国家社会機能の代替性の確保
1と . . . 本文を読む
防災分野で、「事前復興計画」という考え方がある。これは、震災や津波等の災害の被害を想定し、「事前に復興に備える」もので、阪神淡路大震災の後に注目され、1998年の災害対策基本法等で示された考え方である。
東北大震災の被災地で作成されている復興計画は、既に起こってしまった震災害からの「事後復興計画」であるが、日本全国各地の地域もなんらかの被災の可能性があり、「事前復興計画」を作成し、その実践を進め . . . 本文を読む
道路や公園整備を中心とした震災・戦災後の復興
1923年(大正12年)、関東一円で発生した震災は、マグニチュード7・9の激しいものあった。昼時で火災が広がったことから、死者は10万人を超えた。その後の復興で描かれた計画は、東京全体を改造する大規模なものであった。しかし、予算との兼ね合いから、実際の整備は消失した下町を中心に限定的になされた。
そして、第二次世界大戦。 . . . 本文を読む
リスクマネジメントというカテゴリーをたてたが、なかなか投稿できないでいるので、少しずつ書いてみる。様々なリスクを総合的に評価、マネジメントをすることに関心があるが、勉強しながらの投稿になる。
さて、最初に、リスク管理を行う主体の問題として、公助、互助、自助について、若干整理する。
●気候変動への適応策における公助、自助、互助
私が参加している気候変動への適応策の研究では、例えば温暖化の影響で . . . 本文を読む
仙台市でコンサルタントをしている佐藤正記さんの案内で、名取、仙台、石巻、女川、南三陸、気仙沼、陸前高田の被災地を見てきた。
佐藤さん自身も震災後、1月はお風呂も入れず、電気、ガス。水道なしで過ごしていたそうだが、現在では仙台市街地の都市機能は元通りに復旧しているようにみえた。
しかし、広瀬川の中流にある市街地を離れ、下流の沿岸部に入ると景色は一変する。ガレキは片付けられているが、つみあげられた . . . 本文を読む