▼高須院長 大村愛知県知事のリコール目指す会設立「県民として支持できない」 2020.06.02 デイリーニュース
https://www.daily.co.jp/gossip/2020/06/02/0013390853.shtml
美容外科「高須クリニック」の高須克弥院長(75)が2日、名古屋市のホテルで会見し、愛知県の大村秀章知事(60)の解職請求(リコール)のため、政治団体「お辞め下さい大村秀章愛知県知事愛知100万人リコールの会」を設立したことを明かした。
設立主旨とし、芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展」展示による主催者責任を問うことなどとした。税金で行った展示内容がふさわしくないと主張する高須氏は「愛知県民として恥ずかしいことをしてくれる知事は支持できない」とし、新型コロナウイルス流行以前から解職請求運動を考えていたと告白。名古屋市の河村たかし市長とも1日に会談したといい、大村知事に対する考えで「ズレは1つもない」と力説した。
住民投票実現には約86万人強の署名が必要とされ、高須氏は「たぶん大丈夫」と自信を見せた。自身が思う知事像を聞かれ、「河村市長に先頭に立っていただいて、知事をやっていただき、大阪のように市長を選ぶといういうのが1番いいと進言したが、河村市長は『国政を狙ってるから、知事なんてやっとれんがね』と言われた」と拒否されたことを明かした。
会見には高須氏に賛同した作家の百田尚樹氏、政治評論家の竹田恒泰氏、ジャーナリスト・有本香氏、武田邦彦中部大特任教授が同席した。出席者5人のうち、高須氏と武田氏が愛知県に在住している。
高須氏は大村知事から「府が医療崩壊を起こしていた」と指摘され、完全否定した大阪府の吉村洋文知事にも出席を呼びかけたが、この日は欠席。「公務でかなわなかった。(吉村知事の)お使いの方がいらした」と明かした。
今回、リコール運動へ至った事の発端は、8月1日に開幕した国内最大規模の芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画の一つである「表現の不自由展、その後」に展示されていた作品だ。反米、反基地、反ヘイト、憲法9条、慰安婦の写真、慰安婦像、裁判になってる群馬県朝鮮人強制連行追悼碑のオブジェなど、いわゆる政争の具であるイデオロギーを形にしたものが芸術として展示されていた。中でも、昭和天皇の肖像画を炎で焼き、その焼かれた灰を踏みつけるという行為の映像などは、純粋なアート表現とは決して言いがたい偏りすぎているイデオロギーの工作活動と受け取られかねない作風だ。これらに公金を使って展示する事に反対し、抗議の電話や脅迫のFAXまで届き、結果、安全面の保全を重視し主催者側が屈する形で、この企画展は開始3日目で中止へと追い込まれた。
この中止に至った結果に対し是々非々はある。それは憲法の争点だ。【憲法21条 1. 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。 2. 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。】そして、【憲法12条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。】この21条の自由という権利の濫用禁じたのが12条になる。従って、公金を投じた展示会については、公共の福祉の精神を軽んじることなく、展示内容を吟味する必要性があっただろう。この企画を容認してしまった主催者側のトップである愛知県知事にその落ち度の責任追及がなされた形だ。
しかし、実態はどうだっただろう。記者会見などの記録も残ってはいるが、この展示作品を決めたのは、津田大介芸術監督と「表現の不自由展」実行委員会の委員である、アライ=ヒロユキ氏、岩崎貞明氏、岡本有佳氏、小倉利丸氏、 永田浩三氏の5名 によって展示作品が決められた。昭和天皇の肖像画を用いた大浦信行作品の動画については、事務局もキュレーターチームも直前まで知らされていなかったという。
2020年に入り広島県で、ひろしまトリエンナーレ2020 in BINGOでも中止に追い込まれた事を、「表現の不自由展」実行委員会が、ホームページ上で広島県に対し抗議している。しかも、「表現の不自由展」実行委員会は昨年と変わらず同じメンバーだ。つまり、実質この5名により、今も公金を使った国際芸術祭の舞台へ食い入るよう働きかけている事は間違いないだろう。
高須医師が呼びかけたリコールを実現させる発会は、今回大村知事の首を取りに行く理由を説明したものであって、「表現の不自由展」実行委員会の運営に対して法的整備を求めたものではない。リコールに賛同した作家の百田尚樹氏、政治評論家の竹田恒泰氏、ジャーナリスト・有本香氏、武田邦彦中部大特任教授が同席し、それぞれが、今回の賛同理由を述べていたが、その出席者5人のうち、高須氏と武田氏は愛知県に在住で実質的な有権者だが、他の3名は県外在住者というあり様だ。
今回、この会見に、そもそも違和感を覚えた。一つは、問題の本質である「表現の不自由展」実行委員会が働きかける公金を使って、再びイデオロギーの工作活動を国際芸術祭で試みようとしている事をおざなりにし、地方行政長である愛知県知事の座を失脚されることを目的とし、5名が集まり会見に臨んでいる事だ。愛知県に投票権のない作家の百田尚樹氏、政治評論家の竹田恒泰氏、ジャーナリスト・有本香氏、の3名のリコールに対する言動は、地方選挙の投票権に対する越権行為であり、単なる煽動に過ぎないと、私には写った。
仮に、県外在住の彼ら3名が、問題の本質である「表現の不自由展」実行委員会が、再びイデオロギーの工作活動を国際芸術祭で試みることを阻止できるよう法律改正を望むための呼び掛け運動なら、何の問題もなかった。この本質的な問題に光を当て、リコールとは別に、理路整然として公に向けての呼び掛けであれば、地域を問わず広域に渡って賛同を得られたかもしれないだろう。
しかし、大村知事のリコールを優位し、リコールする投票権利のない県外在住者が、愛知県民である高須医師と同じ場所で机を横へ並べ、同じように着座し、等しくマイクを握り、持論を述べる行為そのものが、失礼ながら、煽動行為に見え、愛知県民に対し無礼に感じた。リコールする投票権利のない県外在住者の記者会見は、単純に煽動運動に直結してしまうため、本来は避けるべし行為だっただろう。自ら住む地域を良くしたいなら選挙へ行き、どの人を選ぶか自分の頭で考え、1票を投じる。この基本姿勢にこそ、その地域に住む者の責任であるからこそ、行政に対してまた指南も言えるからだ。
リコールする投票権利のない県外在住者の記者会見から想起したのが、自治基本条例の住民定義だ。過去に全国の地方自治体で賛否が起こった”自治基本条例”の制定問題で、重点協議事項が住民定義であった。自治省が推奨したこの条例は、その地域に住まなくても、住民と同じ権限が付与されるという外国人地方参政権と同列で問題視された条例で、全国あちこちで制定されてしまった。住民定義は各市町村によって協議の結果が異なるわけだが、当時この自治基本条例の制定に猛反対し、市議にも働きかけたが、残念ながら私の住む市も議会の多数決で可決されてしまった。
この時に感じた制定への違和感は今でも覚えているが、制定の阻止を試みた理由には、自分の地域の事は自分達で決めるという郷土への想いが強く背景にあった。今回、愛知県の事に他県在住者のこの3名が口を挟む行為を自らが良しするならば、この自治基本条例の住民定義が関係している可能性はゼロではないとも推察した。しかし、この条例は保守の市民団体が猛反発し、否決されるよう広報活動も行なっていた。従って、条例が仮に可決されたとしても、保守派が忌み嫌った住民定義を寛容とし、他所の行政運営に自ら行動し意見する行為は、道理から外れた話だろう。同席された3名が、そこまで条例の住民定義にまで視野に入れ、ご意見を述べているとは考えにくいが、ふと、彼らの越権行為が自治基本条例を想起させた。
また便乗する形で、大阪府知事までがリコールに賛同している話は、さらに嘆かわしく、自らの指揮下にある大阪府の改善のために行政運営に集中して頂く事を知事へ期待したい。他県知事のリコールの行方が気になるのを我慢し、私心は腹に収め、男なら黙っておく事に尽きるだろう。
これらの動向からも、実質的にSNSを通じてリコール運動というよりも煽動運動になりつつあると思われるが、その大村知事は、2019年2月の知事選で一騎打ちとなり、得票数は1,774,763票、共産党が推薦した候補者の得票数は355,311票、投票率は35.51%で、3回目の当選を果たした。投票率は確かに低いながらも、この選挙で1票を投じられた1,774,763名の方々の民意は、今でも尊重すべしだと思っている。従って、居住地外の他県である行政長の運営に対しては、その地域に住んでおられる方々によって行政運営を精査し、是々非々でご判断いただく事が一番正しいと思っている。
昨今は保守もすっかり変わってしまったのか、はたまた合理化が進んだのか分からないが、物事の順番や手順を軽んじ、問題の本質をおざなりに煽動を行うようでは、信頼も薄れていく一方ではないだろうか。見るべきは、行為。そして、順番。保守を自称される方々は、この2つの要は、重んじて頂きたいと願う。
米国では、警察官が黒人男性を殺害した事を口実に、ANTIFAが破壊行為を繰り返しているが、日本人ならば、せめて他人を貶めるための煽動は慎むべきである。愛知県知事の首を取るか、否かは、愛知県民の行為のみでしか答えは出ないのだから。