福岡万葉散歩

街の様子や木々や草花を眺め乍ら、先人の俳句や和歌を織り込んで、今の季節を楽しみたい。たまには万葉散歩も楽しみたい。

2012.9.26(水) 名残りの曼珠沙華と白曼珠沙華

2012-09-26 | 万葉紀行
ヒガンバナ科の多年草。「曼珠沙華(まんじゅしゃげ)」の名は法華経の摩訶曼陀羅華曼珠沙華(まかまんだらげまんじゅしゃげ)から出たともいわれ、梵語で赤い花の意という。

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曼珠沙華(まんじゅしゃげ)  手前の赤い穂状の花はコッキネア(サルビアの一種)

 曼珠沙華群れて日暮れを拒み居り  高橋 治

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白曼珠沙華(しろまんじゅしゃげ) 手前の赤紫の花はオシロイバナ

   路(みち)の辺の壱師(いちし)の花いちしろく
      人皆知りぬわが恋妻を
                     柿本人麻呂(万葉集巻11-2480)

 大意:道のほとりのイチシの花のようにはっきりと、人は皆知って
    しまった。私の恋しい妻を。
  (日本古典文学大系6 岩波書店)

 イチシ:諸説がある。羊蹄(ぎしぎし)(タデ科の草木。淡緑の穂
     状の花が四、五月ごろ咲く)、
     クサイチゴ(バラ科の宿根草。初夏に白い目立つ花が咲く)、
     エゴノキ(エゴノキ科の落葉喬木。純白の五弁の合弁花が
     初夏のころ咲く。長い柄があり、総状に垂れ、目につく花)
     など。
                 (日本古典文学大系6 岩波書店)

     イチシ(壱師)の花は、この外にも「イタドリ」や「赤い
     ヒガンバナ」を当てることがあり、定説がない。

     僕はこれを「白いヒガンバナ(白曼珠沙華)」に当てたい。
     素人考えであるが、「壱師(いちし)の花いちしろく」を
     そのまま読めばいいのではなかろうかとも思うのだ。

     曼珠沙華が日本に渡来した時期は不明だが有史以前の
     ようだ。
     この花を表す方言、異名數多く、「日本植物方言集」には
     400ほどの方言が記録されているという。
     
     


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