今、辛夷(こぶし)、連翹(れんぎょう)、錨草(いかりそう)などの
花が咲いている。
辛夷(こぶし) 木筆(こぶし) 山木蓮(やまもくれん)
田打桜(たうちざくら)、こぶしはじかみ、やまあららぎ、幣(しで)辛夷
古来、辛夷が咲いた頃から農作業を始めたそうで、田打桜とも云うのだ
そうだ。各地で「コブシの花が多いと豊作」という諺が伝えられていると
いう。
天へゆく道あきらかに辛夷咲く 綾部 仁喜
辛夷(こぶし) 木筆(こぶし) 山木蓮(やまもくれん)
君が門こぶし花さくうす月夜 中 勘助
連翹(れんぎょう)
連翹のどこか投げ槍なる黄色 櫂 未知子
錨草(いかりそう)
錨草生れかはりて星になれ 鷹羽 狩行
ヒヤシンス
水にじむごとく夜が来てヒヤシンス 岡本 眸
ヒヤシンス
眼を伏せてほくろが媚びるヒヤシンス 日野 草城
ローズマリー
梅の花が咲いている。梅の花といえば、万葉集に見える梅花の
宴のことが想われる。
白梅 中粒の実梅で加賀という
万葉集巻五に次の詞書あり
梅花の歌三十二首
天平二年(730)正月十三日に、帥(そち)の老(おきな)の宅(いへ)に
萃(あつ)まりて、宴会を申(ひら)きき。時に、初春の令月にして、気
淑(よ)く風和(やはら)ぎ、梅は鏡前の粉を披(ひら)き、蘭(らん)は
珮後(はいご)の香(かう)を薫(くん)ず。・・・・・
・・・・・園の梅を賦して聊(いささ)かに短詠を成す宜(べ)し。
正月(むつき)立ち春の來(きた)らば斯(か)くしこそ
梅を招(を)きつつ楽しき終(を)へめ 大弐紀卿 (巻五-815)
・・・・・
わが園に梅の花散るひさかたの
天(あめ)より雪の流れ來(く)るかも 主人 (巻五-822)
主人とは大宰府の帥大伴旅人(当時六十六歳)である。
淡紅色の梅 大粒の実梅で豊後という
梅一輪一輪ほどの暖かさ 嵐雪