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昨晩の『 秘密のケンミンSHOW 極』の中で、『かぶと揚げ』なるものが紹介されていた。
下味は塩コショウのみ、衣にだって秘密にするようなことはない。
唯一違うのは『真っ黒な揚げ油』だという。
それは、60年間継ぎ足してきた油に沁み込んだ素材の旨味だという。
そこでふっと思い出した店がある。
そこの油も真っ黒だった。
新居浜は花園町『若鳥』は、老夫婦二人で営む古い、鶏の唐揚げ専門店。
そこを知ったのは、私が当地にUターンして間もない頃だから、もう43年ほどになる。
高校の同級生が勤める先の先輩の行きつけと、3人で行ったのが最初。
7~8人座れるカウンターと小上がりに座卓が二つだったか?
メニューは、ももと手羽の唐揚げとざんき程度だったように思う。
手羽と言っても、胸から手羽にかけての部位だからがっつり大きい。
ももはコッテリ、手羽はアッサリ。
私は大抵1個ずつ、もう少し欲しい時はそれに手羽をもう1枚。
カリっとした衣の下がジューシーなのがももで、ホッコリしたのが手羽だった。
突き出しとして、ざく切りにしたキャベツが出る。
客はほとんどがおっさん。
店の角の上方にある古くて小さいTVは、夏場はいつもナイター中継だった。
おっさんたちは、そいつを見上げながら、唐揚げを頬張り、ビールを飲む。
生ビールなんて、洒落たものは置いてない。
瓶ビールとポンシュのみ。
それも、3本までとの制限付き。
まるでTVドラマみたいだろ
その上で、不愛想なおじいとおばあ。
おじいは、黙って鶏を揚げる、おばあは、注文された品を客席へ運ぶ。
たまに口を開けたかと思うと、「あんた飲み過ぎ、もう終わり」ときたもんだ。
不愛想この上ない。
でも、客はみんな、この店が好きだった。
友人達とよく通った。
一度、結婚する前の細君も連れていった。
そこで垣生の知人と会ったりする。
いわば知る人ぞ知る店だった。
やがて、私は家庭を持ち、自分の店も始めた関係で、自然と足が遠のいた。
そして、その数年後に『若鳥』は看板を下ろした。
夫婦のどちらかが亡くなったからだという。
いい店だった・・・
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昨晩の『 秘密のケンミンSHOW 極』の中で、『かぶと揚げ』なるものが紹介されていた。
下味は塩コショウのみ、衣にだって秘密にするようなことはない。
唯一違うのは『真っ黒な揚げ油』だという。
それは、60年間継ぎ足してきた油に沁み込んだ素材の旨味だという。
そこでふっと思い出した店がある。
そこの油も真っ黒だった。
新居浜は花園町『若鳥』は、老夫婦二人で営む古い、鶏の唐揚げ専門店。
そこを知ったのは、私が当地にUターンして間もない頃だから、もう43年ほどになる。
高校の同級生が勤める先の先輩の行きつけと、3人で行ったのが最初。
7~8人座れるカウンターと小上がりに座卓が二つだったか?
メニューは、ももと手羽の唐揚げとざんき程度だったように思う。
手羽と言っても、胸から手羽にかけての部位だからがっつり大きい。
ももはコッテリ、手羽はアッサリ。
私は大抵1個ずつ、もう少し欲しい時はそれに手羽をもう1枚。
カリっとした衣の下がジューシーなのがももで、ホッコリしたのが手羽だった。
突き出しとして、ざく切りにしたキャベツが出る。
客はほとんどがおっさん。
店の角の上方にある古くて小さいTVは、夏場はいつもナイター中継だった。
おっさんたちは、そいつを見上げながら、唐揚げを頬張り、ビールを飲む。
生ビールなんて、洒落たものは置いてない。
瓶ビールとポンシュのみ。
それも、3本までとの制限付き。
まるでTVドラマみたいだろ
その上で、不愛想なおじいとおばあ。
おじいは、黙って鶏を揚げる、おばあは、注文された品を客席へ運ぶ。
たまに口を開けたかと思うと、「あんた飲み過ぎ、もう終わり」ときたもんだ。
不愛想この上ない。
でも、客はみんな、この店が好きだった。
友人達とよく通った。
一度、結婚する前の細君も連れていった。
そこで垣生の知人と会ったりする。
いわば知る人ぞ知る店だった。
やがて、私は家庭を持ち、自分の店も始めた関係で、自然と足が遠のいた。
そして、その数年後に『若鳥』は看板を下ろした。
夫婦のどちらかが亡くなったからだという。
いい店だった・・・
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