宝島のチュー太郎

酒屋なのだが、迷バーテンダーでもある、
燗酒大好きオヤジの妄想的随想録

日本バーテンダー協会 その3(課題カクテル)

2006年02月23日 08時38分49秒 | チュー太郎のこと





課題カクテル部門とは、文字通り課題とされた同一のカクテルを各選手が作る競技です。

カクテルの処方には、ビルド、ステア、シェークとありますが、課題は、私の知る限りにおいてはステアするタイプのカクテルを作ります。

これは、技術の審査でもあります。
お茶の作法のごとく、所作に取り決め事があって、それらを踏まえた上で、より滑らかでかつ敏速な作業を求められます。

また、目分量の正確さも求められます。
一度に5杯調整するのですが、それらの配合は全て目分量で行わなければなりません。
全体の量を最後に入れる酒で合わせても、そこは、プロの審査員がしっかりと見ているので、ごまかしはききません。
配合比率通りにミキシンググラスに順に注いで、全体の量が5杯分でなければならないのです。

私は普段から、シングル(30ml)分を目分量で移すチェックをしていました。
ボトルから流れ出る量を一定にして、あとは、時間的な感覚です。
当時はほぼ定量を注ぐことができました。

では、ジガー(45ml)、ダブル(60ml)は?
これはその人の癖というか考え方で違います。
シングルを基本に、それで一回切るやり方と、1回で注ぎきるやり方があります。
私はシングルを尺度の単位とします。


グラスへの注ぎ方にも決まり事があります。
右端から順に左に向かって注いでいくのですが、右端は半量程度から始めます。
そして、その左隣はそれよりやや多く、その左もまたその右よりも多く注いでいき、左端のグラスには満度に注ぎ、今度は右に折り返していきます。
そして、右端にたどり着いたところで5杯全てが同量で満度に振り分けられてなければなりません。

ここで、カクテルグラスが5個と、少し離れてもう1個あるのがお判りでしょうか?

その1個は、残量確認用です。
5杯のカクテルを作って、尚かつミキシンググラスに残っている酒をそこに移します。
目分量、注ぎ分けが正しければ、基本はゼロの筈です。

5杯分の量にならないのは論外ですが、この「余り」も、グラスの半量もあれば、それは屈辱です。


ただ、ミスはつきものです。
そういうときは、各人でカモフラージュする方法を咄嗟に考えるようです。

例えば、最初の酒の量が若干少なかったとします。
ここで、配合比率を変えて総量を合わせると、完璧に減点対象です。
配合比率を変えずに進めると、当然全体量が少なくなります。

そういうときは感覚で「ヤバ、ちょっち足りんぞ。」と心のなかで呟きます。
でも、表情はあくまで冷静に予定通りの顔を装います。

回避策は、1杯の量を抑え目にしてやるのです。
それが余りに少ない場合は万事休すですが、グラスのどの辺りを満度とするかというのは、或る程度の主観が入ります。
ましてや、カクテルグラスは上にいくほど広がっていますので、1mmの違いで5杯分になると、かなりの調整が出来るのです。

ただ、その日の氷の状態によっても違ってきますので、やはり基本は、自分の目分量を信じないと、最後の最後で顔が真っ赤になるようなことになることもあります。

実際に、これまで見てきた中にはそんな失敗例もときにはあります。
均等に注ぎ分けたし、残量も無く、ピッタリなんだけど、よく見ると4杯しかなかったり、残量グラスにいっぱい入れてもまだミキシンググラスに残っていたり・・・

そういうときのご本人の心中は察するに余りあるものがあります・・・







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