わにの日々-中西部編

在米30年大阪産の普通のおばさんが、アメリカ中西部の街に暮らす日記

史上最低の大統領選挙

2016-10-27 | アメリカのニュース
 史上最低の呼び名高い、今回の大統領選挙、毎回、大統領選には熱くなって、このブログでも「アメリカの選挙」なんてカテゴリがある私ですが、今度ばかりは正直、興味が無いというより、むしろ見て見ないフリしたい。一度目の討論会は、トランプの声とネチャクチャした話し方が開始5分経たないうちに我慢できなくなり、2回目は最初の質問を聞いた途端にギブアップ、3回目は最初からチャンネルを合わせる気にもなりませんでした。

 私的には兎に角、トランプとか冗談じゃないと思っているので、ヒラリーさんに勝ってもらわねば、というスタンス。アメリカだけじゃなくて、あのおっさんは世界に毒だと思ってる。

 私は日本国民で、アメリカの市民権取得者ではないので投票はしませんが、米国生まれの息子たちは、今回初めて大統領選に投票します。二人とも、民主党候補のバーニー・サンダース氏を応援していましたが、予選でヒラリー候補に負けた今は、トランプを阻止するためにヒラリーを応援しています。

 自らを民主的社会主義者と評し、ユダヤ人であるサンダース上院議員は、若者層に圧倒的な人気がありました。上位1%の富裕層が全米の富の3割以上を所有している現状に対し、「我々は99%だ」と訴えた、2011年の「ウォール街を占拠せよ(Occupy Wall Street)」デモに賛同する世代に、サンダース候補者の行き過ぎた資本主義への批判は、熱狂的に受入れられました。

 公立大学授業料の無料化、連邦最低賃金の時給15ドルへの引き上げ、公共国民健康保険機関創立等、その資金は一体どこから??って、気もしたけど、徹底して拡大し続ける格差に反対する姿勢が、多額の学費ローンを背負い、学位は得たけど職がない、将来に不安を抱え、格差に不満を感じる世代の心情に訴えたのでしょう。

 ヒラリーに敗れてしまいましたが、接戦を繰り広げたバーニーズ候補は、自由貿易によってアメリカ人の職が奪われているとして、TTP(環太平洋パートナーシップ協定)にも反対していました。そのせいか、自分も、国務長官時代にその批准に協力していたはずのヒラリー候補も、反対している。天上天下アメリカ唯尊のトランプが、NAFTAやTPPに反対するのはともかく、ヒラリーよ、お前もか、になってる。

 ホントのとこ、TPPに批准したほうが、農産物や牛肉をガシガシ売れて、農業国のアメリカにはお得だと思うんだけどなぁ。製造業の雇用が減ったのはNAFTA(北米自由貿易協定)のせいだ!ってのも誤解で、過去の統計を見ると、NAFTAの前からアメリカでの製造業の雇用はじわじわーっと、しかし確実に減ってきてた。あんたら、人件費ばっか高くて、そんくせ品質のいいものが作れないんだもん、そんなん、安いメキシコに出すわー

 メキシコや中国に出したら、人件費の分は安いけど質が悪いこともある。そしたら今度は、機械に任せるわー(関連する記事はこちら)。製品が安定するし、祭日も夜も文句言わずに働くしー、って方向に向かうのは、しゃーないんでは。

 選挙の行方の鍵を握る重要州の一つのここ、オハイオも、かつては製造業で栄えていました。でも今では主要都市以外はさびれていく一方で、人口も減少しつつあります。ここでの「99%」は、同じアメリカ国内でのシステム的な格差ではなく、外国人や移民に仕事を奪われたという不満を持っています。ご近所中、トランプ支持の看板だらけで、やんなっちゃうよ。あんたら、本当に米国軍の総指揮官が、あの胡散臭いおっさんでもいいんかい??


長文におつきあい下さり、どうもありがとうございました。