あるところに兎と狐と猿がいて、三匹とも仏の道を守って仲良く生きていた。その三匹の獣の道心を試そうとして、仏様が痩せこけた爺さまのなりをして現れ、なにか食物をもってこい、俺は餓えて死にそうだといわれた。すると猿は木に登って木の実をとり、狐はお宮さんにいって捧げ物を物をとってきた。兎だけは走り回るばかりで何もとってこない。それをみて狐と猿が責めると、兎はそれじゃお前たちは火を起こしてまっててくれ、いまいい食い物をもってくるから、と言ってどこかに飛び去った。狐と猿とが火を起こして半信半疑で待っていると、何かがわっと飛びこんで来て火の中で焼けた。見ればそれは兎だった。爺さまのなりをした仏様はそれをご覧になって、兎をあわれみ、いつまでも生きられるようにと月の世界に送りこんでやった。それがいま月に見えるあの兎なんだ。・・
これは、先日読んだ中野孝次「暗殺者」の中の一節です。月には兎がいて餅つきをしているんだよ、と教えられて信じた話は昔話になってしまっている。今はめざましい進歩で、いまや月に行ける時代となっている。日本でも月周回衛星「かぐや」の8月16日打ち上げが来月に延期された、などといった新聞記事が載っている時代なのです。今の子ども達の考えが(夢)が科学的な考え(夢)へと変わってしまっているのは無理もない話しである。
追記:小説は山本周五郎や藤沢周平が好きだ。今日も5時に枝豆を収穫し、7時に出荷作業がが終了した。