読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

藤岡陽子著「海とジイ」

2019-01-28 | は行

瀬戸内海の島、人の数より猫が多い佐柳島、その隣の高見島を舞台に3つがそれぞれリンクした短編。いじめが原因で不登校になってしまった小四の優生。ある日、父の依頼で瀬戸内の島に暮らす曾祖父を訪ねることになる。死期が近いはずの曾祖父・清次は、病人とは思えないほど元気に優生らを案内し、饒舌に振る舞う。その後入院となった曾祖父と優生が交わした二人だけの約束・・・「海神~わだつみ」。

70代後半の老医師とそのクリニックに20年以上勤め、支え続けてきた48歳看護師の女性。ある日、クリニックを閉院すると宣言した後老医師が失踪する。必死で探す看護師の女性が行き着いたのは瀬戸内の島。もう戻らない、と告げる老医師の覚悟とは・・・「夕凪~ゆうなぎ」。

高校生活のすべてを陸上競技に捧げて生きてきたが、怪我により人生どん底になってしまった澪二。センター試験を前に逃げるように子供の頃訪れていた島にある祖父の家へ。石の博物館のリニューアルオープンの準備を手伝ううちに、今まで知り得なかった祖父の青春時代、親友、そして唯一の後悔を聞き・・・「波光~はこう」。

最期を見据えた生き様から光を得る人生賛歌。美しくもありときに恐ろしい顔を見せる海と島。3人のおじいさん=ジイの生き抜く姿と,そのジイから思いを受け取る人々の心模様を温かく描いたドラマ。三人三様のジイの生き様。ジイたちは悲しみ、悔恨を抱えながらも生き抜いてきた年月の分だけ強く、その強さを分け与えてくれました。心にしみる物語です。「人生は短い今日一日を限界まで生きろ」

201811月小学館刊 


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