赤字ローカル線の終点・根古万知。駅前は、わずか八店舗ほどが細々と営業するシャッター商店街である。数年前、猫の町「ねこまち」としてブームになりかけたこともあったが、それも一時のこと、以来、ジリ貧状態だ。離婚を機に、そんな町に戻ったラーメン店の娘・愛美は、緑色の大きな目と灰色の毛が愛らしい拾い猫を飼うことになった。ノンちゃんと名付けたその猫が、ひょんなことから一日猫駅長を務めると駅は再ブレイク、商店街にも観光客が訪れる。愛美は久しぶりに賑わう光景を見て、今度こそ、元気いっぱいだった頃の根古万知を取り戻したいと動き出すが・・・。
受け身の姿勢ではなく、自分にも何かやれることはあるのじゃないかなと思わせる、元気をもらえる猫が引き起こした、ほんの小さな奇跡の現代のおとぎ話の物語でした。「あなたは愛するものがたくさんあるから・・・人に対して誠実であろうとしているんだ。だから窮屈だったり、息苦しかったりする。でもその窮屈さ、息苦しさこそが、あなたがひとりぼっちでではない、という証なんなんですよ。」(P358)
2017年11月祥伝社刊
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