第10回ミステリーズ!新人賞受賞作(表題作)他4編のミステリ―連作。昆虫マニアで探偵役の魞沢泉の推理が難題を解決する。
ホームレスを強制退去した公園の治安のため、ボランティアで『見回り隊』が結成され、ある夜、見回りをしていた吉森は、公園に居座る奇妙な客たちを追い出す。ところが翌朝、そのうちのひとりが死体で発見される。事件を追う吉森に、公園で出会った昆虫採集に勤しむとぼけた青年魞沢(えりさわ)が、真相を解き明かす。・・・表題作。観光地化に失敗し訪問客が減少した高原での密かな計画が・・・「ホバリング・バタフライ」。街の片隅のバー「ナナフシ」での偶然出会い酒を酌み交わした一人が殺された・・・「ナナフシの夜」。火事の引金となった悲劇とは・・・「火事と標本」。他に「アドベンドの繭」
昆虫を追いかけてどこにでも現れる30代の昆虫マニアのオトボケ青年、魞沢泉の遭遇する事件は、軽やかな推理で鮮やかに反転する軽いタッチの作風。もう少し主人公の内面や生活感の記述が欲しかった。
2017年11月東京創元社刊
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