栃木県北東部に位置する町で民家の塀や壁にひたすら稚拙しか言いようのない絵を描く学習塾を営んでいた男、伊苅の「何故描くのか」という動機やそこに至る人物・人生をノンフィクションライターの鈴木が探っていくミステリードラマ。
犯罪など起きないが、人間の心や世界そのものがミステリーとなった哀しいながらも優しさと救いがある読後感のいい小説でした。
「才能の有無と、その人の価値は、まったく別の問題なの。才能があるからって、ただそれだけで人の価値が決まるわけじゃない。何をしたかがだいじなのよ」(P256)」
2016年10月文藝春秋刊
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