オリンピックの意義を問うサスペンス。五輪を潰せ!新たなスポーツ大会「ザ・ゲーム」の計画が浮上した。メディアを一切排除し、アスリートファーストの大会開催が秘密裏に進む。コロナ禍にもかかわらず、強引に開催された東京五輪の最中、大学教授が、「五輪は集金・分配システムに変化し、意義を失った」という言葉を残して、日本を去った。数年後、東日スポーツの新聞記者菅谷建人がある情報を手にする。世界的IT企業が、新たなスポーツ大会「ザ・ゲーム」を企画している、と。菅谷は、この大会を仕掛ける、謎の組織の正体を暴くため取材を続ける展開。「開催地アテネ固定」「選手は個人」「全参加費選手負担」「スポンサーなし」「TV中継なし」「メディア対応なし」「無観客」そして中継は「VR&ストリームONLY」。きわめて現代的で興味深い設定で斬新だ。既存秩序に対する破壊的な挑戦。オリンピックと同時開催。まさにオリンピックを殺す日。スポーツと新聞・マスコミの関係に興味が感じたが、ミステリーサスペンスとは思えなかった。
「スポーツは本来アスリートのためのものです。国を背負って欲しくない。国の代表でなく、個人で参加すれば・・・今のアスリートは、いろんなことに縛られて、自由を失ってしまった。」(P355)
2022年9月文藝春秋社刊
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