読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
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東直己著「疾走」

2009-05-10 | 東直己
元殺し屋の榊原健三がかつての恋人とその子供を守るために敵と闘うというストリー「殺し屋榊原」シリ-ズ「フリージア」日本推理作家協会賞受賞作「残光」の続編。 
低レベル廃棄物処理研究施設「えびす」を見学に訪れた中学生の高見沢恵太は、その警備の厳重さに驚いたのもつかの間事件は起こった。外国人らしき労働者が、施設から逃走を図り、警備員たちが所持していた武器で発砲をしたのだ。
異様な雰囲気のなか右往左往する職員や警備員たち。この施設で何が起きているのか。一時恵太たち見学者は、足止めをくらい軟禁され自由を奪われることに。
一方、かつて恵太の命を救った榊原健三は、恵太がバスに乗って施設に向かう姿を目撃する。やがて施設でただならぬ騒ぎが起きたのを察知した彼は、恵太の身を案じ、行動を開始する(恵太は、かつて健三が愛した多恵子の息子なのだ)。謎に包まれた組織に対し、健三は恵太たちを守りきれるのか
この物語の欠点は荒唐無稽に過ぎる点、重大なリアリティの欠如だ。
政治的な利権が絡む秘密のために、核廃棄物処理施設の運営組織「機構」という民間の組織が軍隊組織のようなものを持ち、殺人を犯すなど今の日本では考えられない。
政治と金の癒着、巨大な利権を守るために隠蔽される事件。
東ワールドとも呼べる独自世界的展開の物語で愛読者以外は入り込みに難点あり。
無駄にも思える程登場人物の個々の詳細な心理描写を描くことでリアル感を出そうとしているのだが今回も登場人物が多く話しがあっちこっちに飛び取り付きにくい約100ページ程はかなり我慢しながら読み続けたが途中から個々の展開がつながり逃亡と追跡のサスペンスが増す部分から俄然面白くなり最後まで読み通した。

2008年4月角川春樹事務所刊1995円

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