巷を騒がす西成ストーカー殺人事件を担当している、大阪地検一級検事の不破俊太郎と新米検察事務官の惣領美晴。どんな圧力にも流されず、一ミリも表情筋を動かすことのない不破は、陰で能面と呼ばれている。自らの流儀に則って調べを進めるなかで、容疑者のアリバイは証明され、さらには捜査資料の一部が紛失していることが発覚。やがて事態は大阪府警全体を揺るがす一大スキャンダルへと発展するのだが・・・・。
能面検事と呼ばれる不破と、すぐに感情的になってしまう美晴の対比したコンビが面白い。物語にリアリティがあり、不破が何事にも動じず真実を追い求めていく姿にグイグイ引き込まれた。過去の取り返しのつかない失敗が元で、感情を一切表に出さなくなった不破検事。その現実離れした、徹底した忖度のなさが、小気味いい、今野敏著「隠蔽捜査」の竜崎にも似たぶれない姿勢が良かった。続編シリーズ化期待。
2018年7月光文社刊
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