ならおうは穏やかに語る

Fly Fishingを中心に難しい話からヨタ話まで支離滅裂な雑文。
(09/08/23カウンターを付けました。)

私的経済論(需要喚起で経済活性化)【長文:備忘録】

2009-08-12 08:32:07 | Weblog
所得税率ダウン、消費税一定または若干のアップで需要喚起。

まず、現在の日本では生産性向上による経済活性化はありえない。
これはモノ不足の時に通用する手法。
以前も記しましたが、

------引用-------

まんじゅう製造販売業者として考えてみましょう。一日百個のまんじゅうを作っていました。景気がよいと消費者はついつい余分に買ってくれるのでお店の早じまいもできました。
しかし、景気が悪くなってもまんじゅう製造能力は変わりません。ところが営業時間内に百個売り切ることができなくなります。業務効率が低下しています。売れ残りも出てしまいます。ここで、銀行が低利だからとまんじゅう製造装置の追加投資を促してもまんじゅう製造販売業者は投資しません。しかし、景気がよいと設備投資もするでしょう。この状態で景気過熱を防ぐために高利にすることは有効です。

では、どうすれば需要が増える(景気がよい)のかを考えると、マネーを需要側、消費者に配ることが重要です。可処分所得の増大。これに尽きます。
その意味では給付金は的を射ていました。業務コストを考えると減税するだけですが・・・。

----------引用終わり---------

需要がたくさんあるのにモノが少ない時は一時的にモノの価格が上がります。
生産能力が不足しているからで、高価高利であると参入業者が増えます。
参入業者に負けないために設備投資競争もします。
そして供給量が需要と均衡して価格が落ち着く。

今の日本で考えてみましょう。
均衡後、供給過剰になると低価低利の競争になります。
市場シェアの奪い合いが始まります。"Red Ocean"ですね(紅海じゃない)。
競争のない未開拓市場"Blue Ocean"を目指す考えもありますが、モノ余りが顕著な現在日本ではバリューイノベーションがかなり難しいですね。当たればでかいですが・・・。
Red Oceanであろうがガラパゴスであろうが巨大市場であれば(例:米国市場)人は参入します。
※米国市場向けが世界標準というのは単に巨大市場であるからです。
==閑話休題==
さて、ガラパゴス市場でも1980年代後半は高活性化経済(行きすぎてバブルになりましたが)でした。このときはマネーが銀行・不動産・証券を通じて市場に降りました。なんとか成金がたくさん出現して、その余波でみんなそれなりに楽しめました。
失業どころか3K(きつい、汚い、危険)人手不足倒産という状態でした。額に汗をかかないものはどうのこうのという論調も有りましたが、いずれにせよ好況であるというのは良いことです。
では好況とは?結局金回りがよいと言うことですね。
金回りがよい・・・消費者がモノを買うことが一番でしょう。設備投資は確かに大きいのですが、設備投資の前提は巨大市場へのモノの投入です。上述の饅頭屋さんの機械もそうです。
消費が冷え込んでいると設備投資の必要はありません。
日銀が低利にしても企業は設備投資意欲が無いので金は銀行にプールされたままです。金が動きません。いずれにせよこれ以上の設備投資に意味がないと企業が判断した状態では膠着状態です。そしてデフレスパイラルへ。といって、日銀が高利にしてもさらに金を借りようとしません。

前提が消費市場の冷え込みを無視しているからです。

消費市場の冷え込みは最近の冷や水(地方税アップ、保険料アップ)政策に追加して、将来不安、低利預金、失業不安、倒産不安などの不安要素の増大で消費者が現金を持っておこうと考えることに帰因します。
「欲しいモノがない」→「今でも十分モノがある。」→「余分な物を買いたくない」→「色々な不安があるから生活費はなるべく多く(長くなるように)確保したい」に兆しているのではないでしょうか。

この「不安」を取り除くのが政治の役目なんですが、ここで財政再建論者は現在の国の借金を減らすために増税すると言います。私には彼らの作ったシナリオが理解できません。
「赤字を短期の増税で埋め合わせる。」→「これで将来の禍根(憂い・不安)を断つ。」→「将来の不安が無くなるので余分な物を買う。」→「よって経済が活性化する。」

現在の日本で増税すると消費意欲はさらに縮退します。そうすると企業は売上が減ります。すると固定費(人件費)削減→人減らし・・・・と十年以上未来の赤字不安解消の前に数年・二~三年以内の自分の失業不安に直面します。公務員は解雇されませんが、民間は解雇されますので・・・。
で、解雇された方々が新たな職に就けるのか?って市場が小さいと就職市場も小さく"Red ocean"になります。この辺は膚で感じるところでしょう。

ところで、消費税は経済(金銭のやり取り額:国民総生産高)に比例して税収が増える税制です。経済が活性化するほど税収が伸びます。所得税は給与等の一次収入に課税するので給与所得者
からの徴収は確実ですが、所得税が高くなると可処分所得が減るので経済は沈滞します。
経済活性化のための減税はセオリーじゃないかと考えています(増税すると一揆(生活が苦しい・・・可処分所得はない)の逆と考えています)。

なので、所得税をガツンと下げて経済カンフルとすれば、可処分増加で、近々の不安が解消され、物を買う気になるでしょう。そうすると企業も設備投資もしますし、人も雇います。さらに経済が活性化されて消費税収が伸びれば、それで赤字の埋め合わせもできます。こういう需要喚起は政治が行うモノで、単年度予算の官僚にはできません。

そして、経済が活性化されるとデフレスパイラルから脱却して、モノの価格が上がります。
これは需要が増えると供給能力が低下するからで冒頭の記載になります。
そしてインフレが生じます。このインフレは金利調整で沈静化するように金利上昇で可能です。

デフレの低金利では金利調整不可能です。しかし、マイナス金利・・・金を借りるとお金を与える。お金を借りて使うほどお金がもらえるという不思議な現象になりますが、実際はマイナス金利はできませんが、お金が回るほどみんなにお金が行き渡るという考えは所得税減税による可処分アップと根本は同じです。

まとめると
1)減税で可処分所得を向上する。
2)可処分所得向上で購買意欲を刺激する。
3)購買意欲向上で需要を拡大する。
4)需要拡大で企業は設備投資と雇用拡大を促す。
5)失業・倒産不安が薄れる。
6)さらに購買意欲が向上する。
7)需要増大でインフレになる。
8)インフレは金利政策で抑制する。

と夢物語の様に記しましたが、増税から始まる不安増大よりはマシかと思います。

さて、インフレになると借金の実質低減効果もあります。
ディスカウントキャッシュフロー。金利がプラスの時は現時点の現金は一年先の現金よりも価値があるという考えです。仮に年利5%とすると今の現金一万円は一年後は10,500円になります。
つまり一年先の現金一万円は今の現金9,500円程度の価値と言うことです。
借金の低減には金利以上の経済成長率を持てばよいとなります。
金利が5%で経済成長率が6%だと差の1%が借金低減効果になります。だから経済成長率を高くしようとするのですが、経済成長率を高めるには内需拡大が必要です。内需拡大には上述の可処分所得の向上が必要となるでしょう。

さらに給料増大も必要です。企業の利益を内部留保するだけじゃなく、従業員に供出することが重要です。これでさらに可処分所得が増えますから経済が活性化します。これは企業による投資みたいなモノと考えています。

でもこの考えが今度の選挙に反映されるとは思わないのが哀しいところか(笑)。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。