この研究では耕地土壌の透水性、土壌断面の各層位毎の化学分析・土性とセシウム137及びストロンチウム90の関係も調べています。
A町で近接する水田土壌の非常に排水が良い乾田、表層土壌の粘土の割合が7%、砂が60%、腐植含量2%と、排水の悪い湿田、表層土壌の粘土の割合が38%、砂が18%、腐植含量が8%で比較しています。湿田では下層まで粘土含量と腐植含量が乾田と比べて高いです。土壌採取は1965年です。
その結果、土壌1Kg換算で乾田ではセシウム137が0~12cmに78Bq、12~23cm31Bq、ストロンチウム90が0~12cmに24Bq、12~23cmに16Bq、23~37cmに6Bq、37~50cmに1Bq蓄積していました。
土壌1Kg換算で湿田ではセシウム137が0~12cmに98Bq、12~23cm25Bq、23~37cmに6Bq、37~50cmに7Bq、ストロンチウム90が0~12cmに38Bq、12~23cmに11Bq、23~37cmに1Bq、37~50cmに0.4Bq蓄積していました。
この結果から、セシウム137とストロンチウム90は粘土含量と腐植含量が多い、湿田で高くなります。毎年耕作されていますので、耕作により湿田では下層土で保持されています。
次に、G市の沖積水田土壌と約1Km離れたM町の火山灰水田土壌を比較しています。土壌採取は1967年です。
沖積水田土壌の表層土壌の粘土の割合は26%、腐植含量は4.3%です。火山灰水田土壌の表層土壌の粘土の割合は32%、腐植含量は10%です。これら土壌の粘土と腐植は土壌下層まで同じ傾向を示しています。
沖積水田土壌のセシウム137は0~16cmで91Bq、16~25cmで8Bq、25~35cmで11Bqです。ストロンチウム90は0~16cmで27Bq、16~25cmで12Bq、25~35cmで4Bq、35~50cmで3Bqです。
一方、火山灰水田土壌はセシウム137は0~15cmで132Bq、15~28cmで12Bqです。ストロンチウム90は0~15cmで48Bq、15~28cmで33Bq、28~38cmで14Bq、38~50cmで10でBqでした。
これらの結果は粘土と腐植が多い火山灰水田土壌では沖積土壌と比較してセシウム137とストロンチウム90の保持量が多いことを示しています。
次回(可能ならば明日)は立地条件を異にする水田土壌について報告します。