中1・中2の授業は、部活が活発な場合には授業時間である午後7時に生徒が揃わないことがたびたびあります。数学や英語のように各単元のつながりが強く、途中が抜けてしまうとその後の学習が困難になりやすい科目については、生徒が揃わないまま進めることは避けたいと考えています。そこで授業開始から数十分間は理科や社会の基礎的な内容を取り扱い、何度も繰り返すことで定着を図るようにしています。
例えば私が担当する社会においては、世界の国名や都道府県、県庁所在地のプリントを何度も何度も実施します。都立高校入試の社会では、一定量の文章やグラフなどの資料から国名を直接答えることはまずありません。該当する国の場所を地図から記号で選択する形式が取られます。普段から国の場所を把握しておく必要があるのです。教科書や参考書を丸暗記しているだけでは得点しにくい出題なのです。
さて、このような基礎定着を家庭でも気軽に頻繁に取り組んでほしいと考え、スマートフォンやタブレット端末で使えるアプリを探していたところ、世界の国の場所を答える面白そうなアプリが見つかりました。創研塾で準備しているタブレット数台にこのアプリをインストールし、生徒たちに休憩時間などに自由に使わせたところ、何人もの生徒が夢中になって取り組むようになりました。タイムトライアル機能があるため、他の生徒と競い合うことも楽しかったのだと思います。
このアプリに夢中どころから、まさにはまってしまっている中2の女子生徒がいます。家庭でも何十回も繰り返し、タイムトライアルでは私では全く歯が立ちません。冒頭の世界の国名を答えるテストでは半年前はわずか8個程度しか答えられず、「世界の国のプリントは嫌だ。」と言っていました。ところが、今では53問すべてに正解するようになりました。さらに、アフリカの小さな国々の場所と国名を覚えたり、ヨーロッパやアジアの国々をほとんど覚えてしまったり、国名に関する知識ではこちらも私など足元にも及ばないくらいになっています。この生徒にとってはこのアプリとの出会いは大変大きなきっかけになったのだと思います。
私の仕事は、このきっかけを逃さずに、地理にとどまらず歴史にも興味を広げ、さらに他の科目にも興味を広げられるように導くことだと思っています。これからも小さなきっかけを提示できるように、そしてそれを大きく広げられるように、私も多くのことに興味を持ち積極的に試してみることを心がけようと思っています。