漫画の方でなくて小説のほう。
ご存知のとおりさくらももこさんは自身の少女時代をモデルとしたコミック『ちびまる子ちゃん』が代表作で1965年生まれ乳がんで若くして2018年没。配偶者2名。
「ちびまる子ちゃん」は静岡県清水市(現 静岡県静岡市清水区)を舞台に小学校3年生のまる子と家族や友だちとのほのぼのとした日常を、楽しく、面白く、時に切なく描いた心温まる作品であるが、こちらの「ひとりずもう」はもっとももこさんが大きくなった時のエッセイ。思春期や性のこと、漫画家になるまでのことが赤裸々に書いてある。
この本の中には「何もしない青春の夏休み」の章があって、これがとても良い。
以下一部引用。
夏は、家でダラダラするに限る。この過ごし方は私の子供の頃からの習慣であり、多分正しいのだ。なぜ正しいと言えるのかといえば、うちにはクーラーが無かったので、ダラダラする以外にはやる事が無い。もし、ダラダラ以外に何かをやろうとすれば、暑さにやられ体力を著しく消耗し、倒れる事になるだろう。だからダラダラしているのは正しいのである。
(略)ひとつも悪い事はしていないのに、私は毎日母から文句を言われていた。ダラダラするなと言うのである。こちらとしては、ダラダラする以外にはやる事が無いというのに、それすらしてはいけないなんて言われたら、死ねと言われているのと同じだ。
(略)もしも夜中が無かったら、私は考える力が0のまま大人になってしまっただろう。
その後、ダラダラしていたももこさんが、漫画家になりたいという夢のために脇目も振らず一心不乱に漫画を描く日がやってくるのだが、それもまた良い。
私の人生にもダラダラしているときもあったし、必死に追い込まれている時もあった(もう追い込まれるのは勘弁)。
ダラダラしかしたくないとかゆっくり生きてるとか言うとすぐに批判の対象になってしまうから、この「ひとりずもう」を読んで、となりのクラスの子の日記を読んでいる気がして、なんだ〜私だけじゃなかったや、となんだか心強い。
私は大人になって忙しくなったももこさんとは違って、大人になっても変わらぬ夏のお休みを過ごしているけれど、そんな夏に度々読みたくなる本かもしれない。
相変わらず平日はしぶしぶ仕事して終わったらゴロゴロして、土日もゴロゴロしてしぶしぶプールいってkindleの積読を読む生活を送っている。
夏は、毎年、季節が変わるまで永遠に終わらない夏休みを送りたい。
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