仙丈亭日乘

あやしうこそ物狂ほしけれ

読書録 2024年1月後半

2024-02-01 06:50:00 | 読書録(備忘)

1月16日
『海辺のカフカ』 村上春樹 2002年

再読。
調べたら、2005年9月23日に読了していた。順序は逆になるが、8月に『アフターダーク』を読んで失望していたようで、そのせいか『海辺のカフカ』には感銘を受けていた。
1944年11月に山梨県のお椀山で起きた少年少女16人の集団昏睡事件。うち一人、中田少年はしばらく意識不明となり、目覚めた時には自分が誰かもわからなくなった。
15歳の誕生日に家を出て高松市内で図書館通いをしている僕、田村カフカ。そしてカラスと呼ばれる少年。
猫探しの知的障害のある初老のナカタさん。猫と会話ができる。
これら三つの物語が並行して綴られてゆく。
シャム猫のミミを殺させまいとして、ジョニーウォーカーを殺すナカタさん。このシーンがいい。
空からイワシは降るはヒルは降るは。
ナカタさんはホシノさんと出会って高松へ。カーネル・サンダーズが登場。「入り口の石」へ導いてくれる。
一方の田村カフカ少年は、高松の図書館で大島さんと佐伯さんに出会い、図書館で暮らすようになるのだが…
僕は田村カフカ少年よりも、ナカタさんとホシノ青年の旅のほうが楽しめた。ホシノ青年がナカタさんと旅をすることで、ベートーヴェンの「太公トリオ」と出会い愛聴するようになるなんて、いいエピソードだと思う。
ナカタさんの死を看取り、ナカタさんの使命を引き継ぐ決心をしたホシノ青年。何かしら邪悪な気配を感じさせるモノを退治して、渾身の力を尽くして「入り口の石」をひっくり返して入り口を無事に塞いだホシノ青年に心からの拍手をおくろう。

1月25日
『騎士団長殺し』 村上春樹 2017年

初読。
生活のために肖像画家となった主人公。一方的に妻に去られたのち、肖像画の仕事を放棄して東北・北海道を彷徨、その後、友人・雨田政彦が所有する小田原の山上にあるコテージで暮らすことになる。
その友人の父・雨田具彦は著名な日本画家で、そのコテージをアトリエとして使っていたが、認知症を患い、今は施設に入っている。
主人公はそのコテージの屋根裏で、おそらく雨田具彦が描いたと思われる『騎士団長殺し』という日本画を発見する。
コテージと谷を隔てた対岸に住む免色渉という人物の肖像画を描くことになった主人公は、不思議な経験をすることになる。
なんと騎士団長が現れた!
その時の会話の面白いこと!通勤電車の中でひくひくしてしまった😄
騎士団長はイデア。騎士団長を殺してメタファーの世界へ。
免色の娘かもしれない秋川まりえ13歳。彼女の人生に幸あれかし。
それにしても「白いスバル・フォレスターの男」ってなんだったのだろう。

1月26日
『オレたちバブル入行組』 池井戸潤 2004年

再読。
半沢直樹。
1988年といえば、僕が積水ハウスで採用担当になって2シーズン目。ちょうど今の社長、仲井くんが入社した年だった。あの代では関西だけでも学卒文系男子を80数人採用したので、顔と名前を憶えるのに工夫を凝らしたものだった。
この本を最初に読んだのはいつだったか…。確かドラマが流行った後、何冊か他の作品を読んで面白かった記憶がある。
主人公はドラマで有名になった半沢直樹。組織の中で自分の信念を通すことは難しい。それはどんな組織であれ云えることだが、それが銀行となるとこんなにもややこしいことになるのか。
勧善懲悪を絵に描いたよう。そして「十倍返し」!

1月29日
『オレたち花のバブル組』 池井戸潤 2008年

再読。
半沢直樹シリーズ第2弾。
近藤が融資先の会社に総務部長として出向。銀行の大和田常務からの要請で銀行から融資を受けてそれを大和田常務の妻が経営する会社に転貸している事実を掴む。
メンタルを病んで休職していた近藤が、出向先での冷たい処遇に耐えながらも戦う姿勢を取り戻して復活していく過程がいい。

1月31日
『ロスジェネの逆襲』 池井戸潤 2012年

再読。
前作で与えられたミッションをやり遂げて銀行の窮地を救った半沢だったが、一部勢力の反感を買い、行内政治によりまたもや子会社の東京セントラル証券に出向。
電脳雑伎集団が東京スパイラルを買収したいと東京セントラル証券に声をかけてアドバイザリー契約を結んだのだが、母体の東京中央銀行の証券営業部が東京セントラル証券に何の挨拶もなく横取り。しかも東京スパイラルの役員から時間外取引で3分の1もの株を取得。さらにはフォックスに融資をして東京スパイラルの新株を取得させ電脳による買収を妨げると見せかけて、実はそのフォックスを電脳が買収するというスキーム。
これに対抗する半沢は東京スパイラルとアドバイザリー契約を結び、母体の東京中央銀行と全面対決の様相を呈することになる。
「人事が怖くてサラリーマンが務まるか」by半沢。
そして、なんともお見事な逆転劇!
半沢は東京中央銀行の危機を救い、東京中央銀行に復帰するのだった。 
 


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