(※清水玲子先生の漫画『月の子』のネタばれ☆がありますので、くれぐれも御注意くださいませm(_ _)m)
久しぶりに清水玲子先生の『月の子』を読みました♪
初めて読んだのは、中学生くらいの頃だったかな……と記憶していますその後、『輝夜姫』や『秘密』といった清水先生の作品も読みましたが、実は今も一番好きなのは『月の子』だったりします
『月の子』を初めて読んでから、その後何年もの時が過ぎ――その時突然再び『月の子』が読みたい発作(?)が起きて、コミックスを全巻購入した記憶があります。しかもその時の理由が「何」だったかというと……わたし、今回文庫版を読んだのですが、こちらでいくと第6巻の内容になる、ジミーが蚊に刺されて痒くなり、アートとホリーの前で突然服をまくりあげ、「アート、かゆい!かいて!(>_<)」みたいになってるシーンが発作的にどうしても読みたくなった……というのがその理由です(^^;)
「ええっ、そこ!?」みたいな話ですが、結局『月の子』って1巻から最終巻まで、どこ読んでも面白いので――まあ、読みたいのはそこだけじゃないというか、その1巻だけ読んだらその前後も読みたくなるだろうし、結局全部読みたくなるのは間違いないので、全巻購入したわけです。。。
で、ですね。これは密林さんのレビュー書いてた方の文章読んでて思ったのですが、確かにわたしも文庫版よりコミックス版のほうがお得な気がしました。もちろん、文庫版のほうが若干費用としては安いかな?と思いますし、8巻には萩尾望都先生の解説がありますし(読んでて感動しました!)、自分的に超重要だったのはこの8巻であるとはいえ(笑)、コミックスのほうが清水玲子ファンにとっては絶対お得と思うんですよね
なんでかっていうと、コミックス版のほうには、連載時にはあらすじが書いてある場所とか、広告の入ってる1/4の柱の部分とかに清水先生の文章があったりして、そういうの読むのが好きな方は、絶対こっちのがお得と思うわけです。文庫版はそこにイラストが使われてるだけなので、清水先生のオコトバが一語もなかったりしますから(^^;)
さてさて、参考までと思ったので、例によって前置き長くなりましたが、肝心の内容について。。。
>>ベンジャミン(ジミー)とセツとティルトは、人魚族(マーメイド)で、産卵のために地球へ戻ってきた。ちょうど今は人魚たちの産卵のシーズンで、仲間たちがみな、宇宙の色々な場所から戻ってきている。ところが、ジミーは売れないダンサー・アートの車にぶつかり、記憶喪失に……3人の中で今、女性化して産卵する権利があるのはジミーなのに、彼(彼女)が人間と暮らしはじめアートに恋をしてしまったことから、話は意外な方向へ!?
というのが、最初のほうのあらすじ☆かな、なんて(^^;)
う゛~ん。でもまあ、やっぱりわたし、これで読むの3回目なので、ちょっと今回読んでて、前とその前に読んだ時と、どう読後感が違ったか、書いてみようかな~なんて思ったり
最初に読んだ時は、キャラクターについては割と全員平等に好きな感じだったんですよ。でも、その中でも特に、ティルトのことが突出して好きな感じだったかな~なんてなので、彼がセツのためを思い、手段を選ばず人まで殺してしまっても……まあ、ティルトを応援する気持ちにはまったくなんの変化もなかったというか(^^;)
2回目に読んだ時も、このあたりは変わりなかったと思うんですけど、今回3回目になると、セツのことが何故か一番好きになってました(笑)。自分でも「なんでだろう?」と思ったりしますが、とにかく好きなのがセツとティルトなんですよね。で、ジミーとアートのことも普通に(?)好きなのですが、3回目になると、何故か読んでて一番ドキドキしたのが、ショナとセツの関係性だったという
実は最初に読んだ時にはショナって、自分的にあんまし来ない感じでした。ジミーに「お兄さんがぼくを好きなのは、綺麗な女の人になるからなんだよっ」と言われて、「あの子が、そんなふうに思っていたなんて……」と、ショックを受けるショナですが、「そらそーだろ☆」とか、ただ冷静に突っ込みを入れるだけという(笑)。
でも、1回目に読んだ時も2回目に読んだ時も、ティルトが一番好きだったにも関わらず――今回3回目にしてセツが一番好きになるというこの不思議!それで、ティルト視点で見てセツが好きだったり、あるいはセツが好きということは、ティルトがそう願っているとおり、セツに幸せになって欲しいということであり……そして、セツに幸せになって欲しいということは、ショナと結ばれて欲しいということでもあり――だから、今回はジミーとアートのカップルはわたしの中ではサブ的立場で、セツとショナがベストカップルみたいな感じで読んでたと思います♪
そして、1回目に読んだ時も、2回目に読んだ時も、3回目に読んだ時も……たぶん一番感動したのが、セツが女性化したシーンだったと思います
もちろん、セツが女性化したということは、ジミーが死んだ可能性が高いわけで――そう考えると「感動どこじゃないでしょ、あんたっ!!」という話でもあるのですが、まあ、基本的にアートがジミーを殺すはずがないという頭があるので、そっちは絶対抜け道があると読者としては信じきっておるわけです。。。
正直、一番最初に読んだ時には、チェルノブイリとか、原発がどうこうとか、東日本大震災が起きる前のことだったせいもあり、難しいことは何も考えていなかった気がします。だから最後のほうとか、今読むと「アートがジミーをではなく、自分を刺したことにはどういう意味があったんだろう?」とか、ちょっと不思議なわけですが――その後については、「なんにしてもとにかく、みんなの願いが叶ったわけだし、細かいことはどーでもいいや☆」みたいに思って、最後のページを閉じていた気がします。
もちろん、ティルトもリタも可哀想(?)な感じで死んでゆきますし(あ、でもリタは勘違いしたまま死んでゆけて、幸せだったと思う^^;)、シーズンが終わったら人魚たちはみんな死んでしまうとはいえ――ショナには生きて、女性化したセツともっと幸せな時間を過ごして欲しかったとは思います
そうそう。セツが女性化するシーンと、そのあと、チェルノブイリ原子力発電所で、ショナが女性化したセツに気づくシーンとは、わたしの中では『月の子』に数ある名場面の中で、一番感動したシーンかもしれません
でも、セツが一番好きにも関わらず、中性体とはいえ女性化するまでは男の子として見てる気がするのに、女性化しても「あ、セツ、女性になっちゃった」と思うでもなく、「よかったあ。セツ、女性化することが出来て……」となるというのは、よく考えると不思議な気もします(笑)。
ではでは、次回は文庫版第8巻の萩尾先生のお言葉から、名作漫画『月の子』について、語ってみたいと思います♪
それではまた~!!