こじらせ女子ですが、何か?

心臓外科医との婚約を解消して以後、恋愛に臆病になっていた理穂。そんな彼女の前に今度は耳鼻科医の先生が現れて!?

少女革命ウテナ。-【3】-

2023年04月10日 | 日記

(※『美少女革命ウテナ』に関して、ネタばれ☆があります。一応念のためご注意くださいませm(_ _)m)

  

 

 ウテナ語りが続きますm(_ _)m

 

 わたし、最後まで見終わって一番驚いたのが実は、ほぼこのOPの通りにお話が進んでいって終わったっていうことだったり(^^;)

 

 それで、最初のほうでウテナのバックには不自然なくらい人形っぽいというかロボットっぽいような男子生徒の群れ、それに姫宮アンシーの後ろには同じような女子生徒の群れがいますよね。

 

 これ、最後まで見終わってからOPに戻ってくると(あ、わたしの場合はアドゥレセンス見終わってからかな^^;)、彼らはようするに「鳳学園」という舞台設定におけるモブキャラだっていうことですよね。

 

 映画のマトリックスでいうところの、エージェントみたいな……まあ、たとえば暴れ馬→暴れ牛→暴れカンガルーとか、あるいは七実がカウベルつけたことでほんとに牛になっちゃったりとか、ある意味本当に起きてておかしくないという(^^;)

 

 人が夢を見てる時、全然知らない人がたくさんいる前で舞台に上がって歌ったり演技したりとか、その「知らない人たち」というのは、無意識に刷り込まれた、今日駅から学校や職場へ向かう途中になんとなく見たという人たちだったり……それで、その中で特に重要な意味を持つのって、実際には本当に数人だったりしますよね。

 

 ディオス王子=暁生の世界も、実はそういうことだったのかなって思いました。御影草時のいる「根室記念館」も、おそらくは昔そこに彼はいたことがあった。そして登場人物たちのほぼ全員が「世界の果て」という、向き合いたくない現実にぶち当たりそうになると、姫宮アンシーがその部分を避けられるように魔女としての力を行使する。

 

 わたし、御影草時がずっと話してる千唾馬宮が、実はアンシーがそのように彼に見せかけていただけってわかった時、最初はなんだかいいかげんな設定だなあ、とか思いました。そして、人間電子計算機とか呼ばれてる御影草時ですが、「根室記念館」に火を点けて燃やしたのは、千唾馬宮ではなく、本当は御影草時本人だった……彼はこの「現実」に向き合えないことから、鳳学園に囚われているらしいのだけれど、実際の彼のほうはもし生きていたとすれば、暁生と同じく、結構いい年したおっさんらしい。

 

 そして、千唾馬宮には姉がおり、御影草時は彼女に対して抱いていた初恋が破れたこと、また弟の馬宮が不治の病いにより、すでに死んでいるらしいことを考えると――まあ、アニメとして見る分にはそんなにハードな不幸とは感じないわけですけど、アスペルガー症候群っぽく見える彼が、生身の人間と関わろうとした結果、そのような心の中で処理しきれない感情をどうしていいかわからず、暴走してしまったんじゃないか……みたいなことは、すごく共感して感じることが出来ます

 

 それで、アドゥレセンスのほうを見ると、桐生冬芽が実は引き取られた先の養父に性的虐待を受けていたことが割と最初のほうで語られていて……最初わたし、「美形の可哀想キャラ語りかなあ」とか、ちょっと冷たいことを思ってました。また、これがTV版トーガが冷酷な性格をしてることの説明なんだろうなというのもわかったんですけど、「なんで今さらそれをここで語るかな」みたいに思ったわけです。あくまでも最初は。

 

 でも、アドゥレセンスを見終わって、「ここはこういうことなんじゃないか」みたいなことがわかってくると、冬芽が不憫になってくるのと同時、TV版最終回にて、樹璃の姉の命を助けたのは誰だったか――ということの、これは説明でもあるんだろうなと思ったんですよね。

 

 というのも、これが冬芽の向き合えない現実であるとしたら、彼はこれから先も永遠に「鳳学園」を去ることは出来ない。あんなに美形で女性にもモテモテなのに、この世界の創世者ともいえる暁生とも親しく、特別な階級と力を楽しめる地位にあるにも関わらず……実はこれって、現実の世界とは真逆の力として作用してるってことですよね。

 

 つまり、例のモブキャラの群れは、いくらでも入れ替えが可能であり、それの意味するところは、「毎日同じでつまんねーなー」とか、「部活でこんなことあって、心が傷ついた」とか、思春期にはほんと、色々ある。でもそのくらいだったら、「鳳学園」にはモブとして短期滞在することくらいしか出来ず、彼らのほうでも「なんかそんなよーな夢見たよーな……」くらいの感覚で、再び現実の学校生活のほうへ戻ってゆけるのだと思う。

 

 だから、一番わかりやすいのって若葉ですよね。彼女もまた少女漫画によくいる主人公の大親友だけど、さほど活躍するってほどでもなく……くらいなキャラクター。モブキャラというほどひどくはないけど、「鳳学園」の中核メンバーになるほどではないといったところ。ゆえに、若葉には若葉でそれなりに現実の学校生活において失恋とか、心の傷つく出来ごとがあったにしても――このくらいならまだ再び心が癒えた頃にでも元の現実世界へ戻れると思う、というか。

 

 でも、トラウマが重い人間ほどその過酷な現実と向き会えず、「鳳学園」に囚われ、さらにはこちらでは強い力や階級的なものを持てるのだとしたら……冬芽や御影草時といった人物たちは、本当に不幸だと思うわけです

 

 結局、アドゥレセンスでは、若葉の車に乗って、樹璃とミッキーと西園寺莢一は現実の世界へ脱出したらしきことを思うと……実はミッキーよりもコズエッキー(笑)のほうが、鳳学園に囚われる力が強かったということなのか、それともそもそも彼女はミッキーの心の傷となった実際にはすでに死んでいる妹か何かなのでしょうか。。。

 

 人物がよく影絵になる本作ですが、あれは光は影、闇は光、白が黒でクロがシロ(笑)的な、そうしたことなのかなって、あとから思いました。だから、樹璃を枝織の呪縛(?)から解き放そうとした榴果って……こちらでは病気で死んだらしいことを思うと、現実の世界のほうでは生きていて、これから樹璃と再会するということが、実はあったりするのかなって思ったりしました。

 

 わたし、アドゥレセンスのアンシーよりもTV版のアンシーのほうが容姿その他色々好きだったので、ちょっとがっかりしたんですけど……でも、それだけディオス=暁生の力が弱まり、アンシーのほうの自我の力が強まっていることを思うと、これは正解なんだなってこちらもあとから思ったような次第です。ウテナが革命を起こしたことにより、アンシーが車の鍵を手にした今……確かに暁生はもう自殺する以外なかっただろうなっていうのは理解できます。

 

 その~、ようするに向き合いたくない現実って、そういうことですよね。たとえばニートの少年や青年が、「学校へ行くくらいなら死んだほうがマシだ!」とか、「働くくらなら死んだほうがマシだ!」と思うのと同じく、そこからレボリューションできず(なんの奇跡も起こらず起こせずに)、明日突然またいじめっ子の待ってる学校へ放り込まれるとか、缶詰工場で見知らぬ人たちに囲まれて働かなきゃいけないのが怖くて不安で堪らないとか……それが耐え難い現実であったとしたら、自分の世界から出てこないためにはもう、自殺でもするしかない(鍵を失くすっていうのは、自分の部屋から出ていけないっていうことだっていうのは、よく言われることですよね)。

 

 暁生って、実際のところはいい年したおっさんで、「鳳学園」の外へ一歩でも出たら、あの若さも格好良さも失ってしまうらしい。でも、アンシーってそんな彼に対して物凄く献身的ですよね。そして、あの「鳳学園」的世界っていうのは、誰のなんの犠牲もなく成り立つとは、到底思えない。それは、アンシーが数百万本もの剣に貫かれ、血を流し続けているから、薔薇がその血を養分にして育っているように……彼女の犠牲がなくなった瞬間から崩壊してしまう。

 

 その~、たとえば息子さんがニートでずっと家にいるといった場合、やっぱり誰かが現実の世界と向き合って働いているから、それで彼の引きこもり生活は成り立つと思うわけです。まあ、ある時までは成績もよく、スポーツも出来た自慢の息子が、ちょっとしたきっかけで引きこもってしまい、そのことで何か言ったりすると激しい口論となり、さらにそれが激しい暴力にまで発展したって、あると思うんですよね。

 

 ウィキとかちらほら見ると、暁生もアンシーもそもそも人間ではない何かで、結構長い年月生きてるらしいみたいに書いてあったり、わたしは「もしかして地球外生命体なのかな?」って思ったりもしたんですけど、案外そうじゃない可能性もあるような気がしたり(^^;)

 

 ディオス王子が王子さまとしての力を使いすぎて、その後アンシーが百万本の剣に突き刺されるという、あのトートツすぎるほどトートツな設定っていうのは……比喩として考えると、たとえはいくらでも無数に存在し得るような気がします。

 

 でも、その痛みを最初引き受けていたのはディオス王子で、その肩代わりをアンシーがするようになってのち――そこから、もうずっと長い時間、何も変わらなかった。息子はもう三十年も引きこもっていて、そこから出て来そうにない。毎日「鳳学園」どーたらいうバーチャル世界のゲームをやっていて、「少しくらい働いてほしい」というようなことを間接的にでも口にすると、暴力を振るいはじめて手がつけられなくなる。今日も、離婚したお父さんがある種のやましさから買い与えてくれた高級車に乗って、その後どこかへ行ってしまった。そして彼は車に乗って、「オレなんかもうどうなったっていいんだ」なんてことを思いつつラジオを聴き……DJの可愛い女の子の声を聞いているうち、助手席にミニスカートをはいた可愛い女の子がいるような気分になってきた。そして彼は彼女と遊園地で遊んでのち、ホテルへ行って初エッチ(※全部妄想)――ウテナとの第33話のあれっていうのは、ある意味そうしたことだったんじゃないかと、あとから思わなくもありません(^^;)

 

 王子さまってようするに、この場合イタイ王子ってことですよね。で、流石にこの妹のほうでもこの兄貴の面倒を見てられなくなって、家から出ていった……「根室記念館」の研究とかいうのも、永遠にこんなふうにして、自分の好きなことだけして、外の現実と向き合わなくてもいいように出来るためにはどうすればいいか、そんな奇跡が起きないか、「永遠」に関して研究してるって思わなくもなかったり。。。

 

 あとから考えてみると、ウテナって、ある意味最初から勝敗の決まっているような戦いを戦い、暁生の誘惑に負けて処女まで捧げてしまい、「あんなことになるとは思わなかった」とか言ってるのも……ディオス=暁生王子の世界にいるわけだから、そうなってしまったのも当然すぎるほど当然なことだったのかもしれません。

 

 そうですよね。わたし、あんまりこういう考え方するのって嫌なんですけど……「うちの息子だって引きこもる前まではあんなじゃなかった」とか、最初は王子さまのようだった息子が、いつしか部屋から出てこない何を考えているのかわからない怪物王子に――とか思うと、結構怖い話だったんだなとも思う(^^;)

 

 やれやれ。一体どこからこんな話になったやらと、自分でもそう思いますが、ウテナ語り(?)はまだもう少し続きます

 

 それではまた~!!

 

 

 


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