今回の作品「Man's Fairy tale」は
パントマイムの基本技術「蝶」をモチーフにしたものです。
蝶が飛んでいるリズムで首を振りながら追いかけることで
何もない空間に「蝶」を現出させます。
夏の夜、「蚊」に刺されて寝られない中年男の部屋に、
一匹の「蝶」が迷い込んで始まるお話です。
蚊と蝶の命の重さの違いをテーマにしようと思ったんです。
先生の演出によって、
ステテコ腹巻の汚い男が野球中継を観ながら酒を飲んでる現実と、
後半の蝶との絡みがシャンソンの曲と相まって、
幻想的な「男の御伽噺」になりました。
座っている時と立っている時の静と動、
野球中継の日常と蝶の非日常感
ステテコ腹巻とシャンソンのミスマッチなど、
様々な先生の演出の仕込みによって
最後に一体蝶は現実のものなのか?
という、観る人の解釈に幅が生まれました。
徳利でお酒を注いだり、さきイカを食べたり、
リモコンでテレビを消したり、蚊を潰したり
何気ない仕草を演じるのがとても楽しかったです。
「飛んでいるのが汚い『蛾』に観られたら、お前がダメだってことだからな(笑)」
稽古中、先生によく言われました。
皆さんは、どんな虫に見えたでしょうか。
難波創太
写真撮影:(c) Masami Gan Iwafune