根岸章
10数年前、おふくろが亡くなった。
それから8年くらい後、親父も亡くなった。
折に触れ、
『老人ホームで息を引き取った親父は、寂しい思いをしなかっただろうか?』とか……
『お袋は、幸せだったのだろうか?』などと思ったものだ。
かく言う自身も、過去大病をして(医者から見れば、大した症例では無いのかも知れないが)、死を意識した事もあった。
『今まで好き勝手やって来たから、ここで果てるのも仕方がないか』と……。
死を間近に捉えると『死生観』が変わると言う。
変わると言うか、そもそも考えもしなかった事だ。
自分の幸せ、不幸せは、(犯罪に巻き込まれるなど)特別な場合を除き、考え方1つでどうにでもなる。
限られた時間、お金にも制約があり、決められたルールの中で、それでも自由はいくらでもあり、後ろ向きな考え方はせず、感受性豊かにすれば、小さな事でも喜びは得られるはずだ。
『銀河鉄道の夜』
原作者、宮沢賢治氏の、書した意図、
舞台演出、江ノ上先生の意図するもの、
……とは別に、改めて自分を見つめ直させてくれる、深く掘り下げてくれた作品だと思う。
撮影:Masami Gan Iwafune