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銀河への旅を終えて。Part⑧

2018-12-31 11:08:37 | 銀河鉄道の夜

『銀河鉄道の夜~Grayticket,Greenticket~』を創作するに当たり

 

この本に本当に助けられました。

 

宮沢賢治「銀河鉄道の夜」を読む 西田良子 編著

 

この著書の素晴らしいのは、

 

第1次原稿から第4次原稿までを1冊に纏め上げ、

 

比較できるように作られているところです。

 

本書を何度手に取りページを捲ったかわかりません。

 

どこが削除され、どこが追加されたのか、どう変化していったのか、

 

この本はそういったところを1冊で比較出来るのです。

 

この本は初演が2005年なので2004年に購入したと思います。

 

初演、再演の時には気づかなかった部分がたくさんありました。

 

10年もの間、繰り返し改稿され続け、遂に未完のまま

 

遺された作品を到底完全に理解するなど不可能です。

 

創作にあたっては、宮沢賢治に「こんな作品にしやがって!」

 

と、言われないようにすることだけでした。

 

それは、俺のやりたいことではなく、作者を尊敬し、作品を尊重することを念頭

 

に創作していくということです。

 

賢治になりきれるわけもないのですが、なりきろうという気概で進めたのです。

 

賢治は自らの文学を「心象スケッチ」と呼んでいます。

 

俺は賢治の言語を我々の身体を通して血を息を吹き込み、

 

「心象ムーブメント」と呼べるものにすることでした。

 

そのために出演者には罵声、怒声を浴びせ続けました。

 

みんなは、かなり追いつめられた状況になっていたと思います。

 

俺からのプレッシャー、そして…己からのプレッシャーに

 

押しつぶされるくらいだったと思います。

 

人の前に立つ…観ていただくには

 

楽で、軽く、薄っぺらな覚悟ではダメなんです。

 

今回の作品では…

 

賢治の作り上げた銀河を旅をする「切符」を手に入れられかどうかということです。

 

そして、みんな今回の旅を完遂してくれました。

 

本当に嬉しく思っています。

 

また、明かり、音、セットなど…すべてに妥協せず、最後まで全スタッフと共に

 

意見を交換しあい練り上げ、創り上げたのです。

 

費やした時間は演出家冥利に尽きる一瞬一瞬でした。

 

我々SOUKIはいつもパントマイムの可能性を追求しています。

 

この道は、果てしなくどこまで歩み続けてもゴールなどないでしょう。

 

しかし、それは…どこまでも行けるという希望だと思っています。

 

SOUKI代表 江ノ上陽一