肩の凝らない漢方の話

漢方薬にまつわるあれこれを、気の向いた順に語っていきます。
私たちの生活に根差した漢方の世界をご紹介します。

桜のきせつです

2020-04-01 11:21:56 | 薬食同源
◆さくら◆ 古来花と云えば梅と桜でした。
 何時からか、梅と云えば実、桜と云えば花になってしまいました。梅の花は梅花、桜の実はさくらんぼ(桜のぼぼ)と多分桜の代表の「そめいよしの」は実生では繁殖しないためと、パット咲いてパット散る桜は日本人の感覚に合っていたからでしょうか。日本には約30種の桜の品種があります。薬用にするのは山桜系統のものが多いようです。
桜の樹皮は薬用として応用されます。
「あす来たらぶてと桜の皮をなめ」と云う古川柳があります。初鰹なのに古い物を売りつけられて下痢して桜の皮を嘗めている情景だそうです。食中毒、下痢の薬として江戸時代には民間的に使われていたようです。
 有名な華岡青洲も桜皮を煎じて飲めば食中毒、食傷、痢疾に効果が有ると述べています。
 また桜皮に殺菌作用のある成分が含まれていて、おできや蕁麻疹に煎じて飲むと良いそうです。
 かなり広く使われていたようで、一茶は「山桜皮を剥がれて咲にけり」と呼んでいます。
 樹皮から生成した「ブロチン」は鎮咳去痰薬として知られています。
 青洲の創生した「十味敗毒湯」は桜皮に柴胡、茯苓などの生薬を配合していて、化膿性疾患、蕁麻疹などに使われています。
 「桜湯に部屋の空気が虹になる」とか「飲みのこす湯に桜漬ひらきけり」とほのぼのし
た句があるように。桜の花弁を塩漬
けにした物にお湯を差して桜湯とし
て、結婚式などのおめでたい席に提
供されていました。この桜湯は二日酔いにも効果が有ると云います。
 この桜の季節出てくる和菓子に桜餅が有ります。お餅に塩漬けにした桜の葉を巻いたものです。
江戸時代に長命寺の門前で振舞われたのが始まりと聞いています。一種独特の香味があって春を感じさせるお菓子です。この香味は桜の葉に含まれるクマリンと云う殺菌成分によるものです。成分は知らなくても、餅を長持ちさせる効果は判っていたようです。
 桜餅には関東風の長命寺と関西風の道明寺が有ります。餅の原料が違うそうです。長命寺は小麦粉、道明寺は道明寺粉(干飯を粉にした物)だそうです。
 さて皆さんは桜餅の葉は食べますか?食べませんか?塩はゆくて美味しいとゆう人、モソモソして食べれないと云う人さまざまですね、私は歯にこまるので太い葉脈だけ外して食べています。
 桜餅の葉は山桜のものが多いそうです。
「葉桜も見事なるらん吉野山」濡遺文前に読んだ拙句です。
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