肩の凝らない漢方の話

漢方薬にまつわるあれこれを、気の向いた順に語っていきます。
私たちの生活に根差した漢方の世界をご紹介します。

お屠蘇と七草粥

2015-12-13 21:32:13 | 日記
★お正月の行事★ 「屠蘇」と「七草粥」は東洋医学から

お屠蘇とは、お正月に頂くお酒(お神酒)のことと思っていられる方も多いようです。
「お屠蘇気分が抜けない」などと使われますが、本来は中国の三国時代(200年頃)の名医華陀が創成したもので、数十種の薬草を酒に浸した薬酒のことを云います。日本では嵯峨天皇の弘仁2年(811年)に宮中の儀式として用いられたのが始まりと言われています。
 屠蘇の名前は邪気(よこしまな気、今日ではウィルスなど)を屠(ほふ)り、正気(免疫力、抵抗力)を蘇(よみがえ)らせるところから付けられました。
山椒、陳皮(蜜柑の皮)桂皮(肉桂の皮)山帰来(さるといばらの根)白朮(おけらの根茎)浜防風(はまぼうふうの根)桔梗の根などの薬草を寒冷紗の袋に入れて清酒または味醂に一晩浸けておきます。元日から三が日の間は雑煮を祝う前に年少者から順次、新年の縁起と長寿を祈念して頂きます。
また醤油に浸しておくと、独特の香りと風味が増して味を引き立たせる効果があります。
 屠蘇散として漢方薬屋さんには大抵置いてあると思います。

「七草なずな唐土の鳥が渡らぬ先にトントントン…」と歌いながら七草を刻んでお粥に入れて頂くのが七草粥です。旧暦の正月7日青野菜の少ない時期に野に出て若菜を摘み、お粥にして食すのは、正月のご馳走やお酒で荒れた「胃」を労り栄養補給に持ってこいの行事でした。「君がため、春の野に出て若菜摘む…」と万葉集で詠われているように若菜摘みは平安時代の優雅な行事でもあったようです。今は新暦ですので、野原には七草は出ていませんが、スーパーでセットで売っているのを見かけます。
 「せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろこれぞ七草」と詠われ春の七草と言われています。
 せり=セリ科、なずな=ペンペン草の根生葉・アブラナ科、ごぎょう=ハハコグサ・キク科、はこべら=ハコベ・ナデシコ科、ほとけのざ=コオニタラビコ・キク科、すずな=蕪・アブラナ科、すずしろ=大根・アブラナ科がその植物です。
 消化を助け、胃腸を強くし、利尿の働き、咳止めなどの働きがあり健康増進に良いお粥と言えます。
「唐土の鳥が渡らぬ先に」とは中国大陸から邪気がやって来るのを暗示しているようで、鳥ウィルスや新型ウィルスの襲来を思わせます。
古来の伝統行事もなかなか良いものです。大切にしてください。
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